国連食糧農業機関(FAO)が2024年に更新した最新データによると、アルバニアの桃(モモ)・ネクタリンの生産量は、1961年の2,000トンから2023年には22,937トンまで増加しています。この62年間で、アルバニアの生産量は約11倍に成長しており、特に2000年代以降に急激な増加が見られます。また、生産量には大きな変動が見られる時期もあり、アルバニアの農業生産には多様な歴史的・経済的・環境的要因が影響していることが示されています。
アルバニアの桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 22,937 |
2.07% ↑
|
2022年 | 22,472 |
9.02% ↑
|
2021年 | 20,612 |
1.08% ↑
|
2020年 | 20,392 |
2.55% ↑
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2019年 | 19,884 |
2.12% ↑
|
2018年 | 19,472 |
6.06% ↑
|
2017年 | 18,359 |
-1.68% ↓
|
2016年 | 18,673 |
16.69% ↑
|
2015年 | 16,002 |
10.97% ↑
|
2014年 | 14,420 |
-0.07% ↓
|
2013年 | 14,430 |
-1.7% ↓
|
2012年 | 14,680 |
12.06% ↑
|
2011年 | 13,100 |
13.67% ↑
|
2010年 | 11,525 |
4.33% ↑
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2009年 | 11,047 |
22.74% ↑
|
2008年 | 9,000 |
20% ↑
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2007年 | 7,500 |
-0.53% ↓
|
2006年 | 7,540 |
34.64% ↑
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2005年 | 5,600 |
16.67% ↑
|
2004年 | 4,800 |
9.09% ↑
|
2003年 | 4,400 |
10% ↑
|
2002年 | 4,000 |
-34.43% ↓
|
2001年 | 6,100 |
205% ↑
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2000年 | 2,000 | - |
1999年 | 2,000 | - |
1998年 | 2,000 |
11.11% ↑
|
1997年 | 1,800 |
12.5% ↑
|
1996年 | 1,600 |
-20% ↓
|
1995年 | 2,000 |
-20% ↓
|
1994年 | 2,500 |
-16.67% ↓
|
1993年 | 3,000 |
17.65% ↑
|
1992年 | 2,550 |
-12.07% ↓
|
1991年 | 2,900 |
-32.56% ↓
|
1990年 | 4,300 |
-10.42% ↓
|
1989年 | 4,800 |
23.08% ↑
|
1988年 | 3,900 | - |
1987年 | 3,900 |
-20.41% ↓
|
1986年 | 4,900 |
88.46% ↑
|
1985年 | 2,600 |
-13.33% ↓
|
1984年 | 3,000 |
-9.09% ↓
|
1983年 | 3,300 |
-5.71% ↓
|
1982年 | 3,500 |
-5.41% ↓
|
1981年 | 3,700 |
-21.28% ↓
|
1980年 | 4,700 |
-6% ↓
|
1979年 | 5,000 | - |
1978年 | 5,000 |
25% ↑
|
1977年 | 4,000 | - |
1976年 | 4,000 |
33.33% ↑
|
1975年 | 3,000 | - |
1974年 | 3,000 |
50% ↑
|
1973年 | 2,000 | - |
1972年 | 2,000 | - |
1971年 | 2,000 | - |
1970年 | 2,000 |
33.33% ↑
|
1969年 | 1,500 |
50% ↑
|
1968年 | 1,000 |
11.11% ↑
|
1967年 | 900 |
-91% ↓
|
1966年 | 10,000 |
1011.11% ↑
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1965年 | 900 | - |
1964年 | 900 | - |
1963年 | 900 |
-10% ↓
|
1962年 | 1,000 |
-50% ↓
|
1961年 | 2,000 | - |
アルバニアにおける桃・ネクタリンの生産量の推移は、同国の経済的、地政学的、そして農業技術の進歩を反映しています。このデータを見ると、初期の1960年代には生産量が安定せず、大きな変動があるのが特徴です。1966年には一時的に10,000トンに急増していますが、翌年には900トンに急減しており、この期間の生産量の不安定さは、当時の社会的・政治的状況やインフラ整備の不足、あるいは災害の影響が原因である可能性が考えられます。
1970年代以降はおおむね緩やかな増加基調にあり、1980年代には4,000トン前後で一旦安定します。しかし、1990年代初頭になると、アルバニアの政治的転換期が生産量に影響を及ぼし、再び生産量が減少しています。1991年から数年間にわたる生産低迷期は、市場経済への移行や農業政策の不整備が要因となったと考えられます。
2000年代に入り、桃・ネクタリンの生産量は著しく増加し始めます。この背景には、農業技術の発展、灌漑設備の整備、そして国際市場への輸出拡大が寄与していると考えられます。また、気候変動や農業支援政策の強化によって、アルバニアの果物農業がより持続可能な形に進化したことも影響しているでしょう。特に2009年以降は急成長が見られ、生産量は順調に増加を続け、2023年には22,937トンという過去最高を記録しています。
地域課題としては、アルバニアは地中海性気候が果樹栽培に適している一方で、干ばつなど気候変動の影響を受けやすい地域でもあります。生産量の安定化には気候変動への適応策が求められています。一例として、耐乾性の高い品種の導入や水資源の効率的な利用のための技術開発が挙げられます。また、アルバニアは小規模農家が多いため、組合の設立や共同販売ネットワークの構築を強化することで、農家の収益を安定させるとともに、効率的な流通体制の整備が期待されます。
さらに、気候変動に加えて地政学的リスクも考慮する必要があります。アルバニアの輸出市場は欧州諸国に依存しており、EU内の貿易政策や関税変更が同国の商品価値に影響を与える可能性があります。このため、他地域との貿易協定や外交活動による市場拡大が重要な課題です。また、パンデミックや地域紛争の影響で輸出が停滞した場合にも、国内消費の活性化や地域協力による相互支援を進めることが予防策となるでしょう。
データは、アルバニアが農業の近代化を進める中で大きな成功を収めつつも、新たな課題を抱えていることを示しています。これからの対策としては、気候変動対策を農業政策に組み込み、小規模農家への支援を充実させるとともに、国際市場の多角化を図ることが不可欠です。FAOやEUからの支援の活用、隣国との技術交流の推進も効果的でしょう。これらを実現することで、アルバニアは桃・ネクタリン生産においてさらに競争力を高めることができると考えられます。