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ペルーの桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、ペルーの桃・ネクタリン生産量は、1961年には28,000トンで始まり、その後の数十年間にわたり増減を繰り返し、特に1986年以降、大幅な増加傾向が確認できました。2013年から2015年にかけてピークとなり、50,000トンを超える大規模な生産量に達しました。その後、若干の減少が見られるものの、2022年には再び47,910トンとなり回復傾向を示しています。しかし最新の2023年のデータでは41,431トンに減少がみられ、持続的な成長にはいくつかの課題が浮上しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 41,431
-13.52% ↓
2022年 47,910
2.73% ↑
2021年 46,637
14.23% ↑
2020年 40,827
-9.84% ↓
2019年 45,281
0.39% ↑
2018年 45,103
-1.28% ↓
2017年 45,688
-10.33% ↓
2016年 50,954
-0.58% ↓
2015年 51,249
-2.59% ↓
2014年 52,610
4.81% ↑
2013年 50,197
5.66% ↑
2012年 47,506
4.35% ↑
2011年 45,526
3.35% ↑
2010年 44,052
-3.18% ↓
2009年 45,497
4.98% ↑
2008年 43,339
17.52% ↑
2007年 36,879
12.45% ↑
2006年 32,797
-8.39% ↓
2005年 35,802
-0.24% ↓
2004年 35,887
-4.27% ↓
2003年 37,489
-7.17% ↓
2002年 40,383
11.94% ↑
2001年 36,076
-1.78% ↓
2000年 36,728
3.56% ↑
1999年 35,465
92.19% ↑
1998年 18,453
-56.02% ↓
1997年 41,962
-4.56% ↓
1996年 43,965
15.67% ↑
1995年 38,010
7.72% ↑
1994年 35,285
6.42% ↑
1993年 33,157
-3.89% ↓
1992年 34,499
-4.55% ↓
1991年 36,144
-9.55% ↓
1990年 39,958
6.71% ↑
1989年 37,444
-7.09% ↓
1988年 40,301
-1.93% ↓
1987年 41,093
2.35% ↑
1986年 40,149
37.82% ↑
1985年 29,132
3.56% ↑
1984年 28,131
1.46% ↑
1983年 27,727
-2.55% ↓
1982年 28,453
8.68% ↑
1981年 26,180
4.8% ↑
1980年 24,980
-1.55% ↓
1979年 25,372
-0.76% ↓
1978年 25,566
-5.61% ↓
1977年 27,086
-10.17% ↓
1976年 30,151
-1.85% ↓
1975年 30,720
2.52% ↑
1974年 29,964
5.03% ↑
1973年 28,528
-0.17% ↓
1972年 28,577
-2.61% ↓
1971年 29,343
-10.29% ↓
1970年 32,710
3.11% ↑
1969年 31,724
6.65% ↑
1968年 29,747
-4.3% ↓
1967年 31,085
0.25% ↑
1966年 31,009
55.05% ↑
1965年 20,000
-42.86% ↓
1964年 35,000
20.69% ↑
1963年 29,000
3.57% ↑
1962年 28,000 -
1961年 28,000 -

ペルーの桃・ネクタリン生産量の推移は、この国の経済的・地理的状況や自然環境の影響を色濃く反映しています。1960年代の28,000トンから70年代には30,000トン台を安定的に維持していましたが、1986年には40,000トンを超え、その後の数年間、大量生産の時代に突入しました。特に2013年から2015年にかけては、ペルーの農産業における技術革新や輸出需要の増加が相まって、この時期の記録的な高水準、最大で52,610トンの生産量に達しました。

しかし、この成長が一貫して持続しているわけではありません。2016年以降、全体的な増減が継続し、2020年には40,827トンまで落ち込みました。これは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済的な混乱や供給チェーンの制約が影響した可能性があります。この時期、労働力不足や農業資材の供給遅延が国際的にも広く見られ、それがペルーにおける農業生産にも波及したと考えられます。2022年には47,910トンへと再び持ち直す動きを見せたものの、2023年には41,431トンと再度減少しており、持続的な生産モデルの構築が急務とされています。

ペルーの桃・ネクタリン生産に影響を与える要因は、自然環境と地政学的要因、そして農業政策や国際市場の需要変動など多岐にわたります。まず、南米特有の気象条件やエルニーニョ現象などの気候変動が大きなリスクとして挙げられます。1998年の急激な生産量減少(18,453トン)は、その典型例といえ、異常気象がペルーの農産業全体へ甚大な影響を与えたことを物語っています。また、地元のインフラや灌漑設備の整備状況にも課題があり、農地の効率的利用が生産量のばらつきに影響を与えていると見受けられます。

こうした課題を解決するには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、気候変動対策および異常気象への適応策の実行が不可欠です。耐乾性のある桃・ネクタリン品種への転換や灌漑システムの改良、土壌の調整による自然条件への対応が考えられます。さらに、輸出市場強化のための物流インフラや貯蔵施設の近代化、および農業従事者向けの技術研修も重要です。これにより、生産量の変動を抑え、国際的な競争力を築くことが可能となるでしょう。

ペルーの地理的位置と農業資源からは、多様な市場ポテンシャルも示唆されます。たとえば、隣接するブラジル市場や、桃・ネクタリンの需要が拡大しているアジア諸国(中国や日本など)への輸出拡大が提案されます。日本では高品質な果物が高値で取引されているため、ペルー産の桃やネクタリンが独自性を打ち出すことが可能です。

地政学的リスクとしては、隣国との貿易協定や政治的不安定さが懸念されます。このリスクを緩和するために、地域間協力の枠組み(たとえば、アリーナクア地域開発協力など)を強化することが推奨されます。これにより、貿易摩擦のリスクを抑え、安定した市場供給が実現します。

結論として、ペルーの桃・ネクタリン生産量の推移データは、この国の農業の可能性を示すものである一方で、多くのリスクや課題が存在します。安定的な生産量の確保と市場競争力の向上には、気候変動への対応、農業技術の改善、国際市場への積極的アプローチが不可欠です。国際連合食糧農業機関や地元政府による積極的な協力が期待されます。