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イギリスの大麦生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)の最新データ(2024年7月時点)によると、イギリスの大麦生産量は、1961年の約505万トンから1970年代にかけて増加し、一時的には1000万トンを超えました。1980年代後半から減少傾向が見られ、21世紀に入ってからは年間500~800万トンの間で推移しています。最近の2023年には約696万トンとなり、この分野の生産量は安定傾向が見受けられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,963,000
-5.71% ↓
2022年 7,385,000
6.09% ↑
2021年 6,961,000
-14.24% ↓
2020年 8,117,000
0.86% ↑
2019年 8,048,000
23.63% ↑
2018年 6,510,000
-9.19% ↓
2017年 7,169,000
7.72% ↑
2016年 6,655,000
-9.7% ↓
2015年 7,370,000
6.64% ↑
2014年 6,911,000
-2.55% ↓
2013年 7,092,000
28.43% ↑
2012年 5,522,000
0.51% ↑
2011年 5,494,000
4.61% ↑
2010年 5,252,000
-21.24% ↓
2009年 6,668,000
8.53% ↑
2008年 6,144,000
20.97% ↑
2007年 5,079,000
-3.05% ↓
2006年 5,239,000
-4.66% ↓
2005年 5,495,000
-5.24% ↓
2004年 5,799,000
-8.82% ↓
2003年 6,360,000
3.79% ↑
2002年 6,128,000
-7.99% ↓
2001年 6,660,000
2.59% ↑
2000年 6,492,000
-1.35% ↓
1999年 6,581,000
-0.63% ↓
1998年 6,623,000
-15.39% ↓
1997年 7,828,000
0.97% ↑
1996年 7,753,000
13.45% ↑
1995年 6,834,000
14.95% ↑
1994年 5,945,000
-1.54% ↓
1993年 6,038,000
-17.96% ↓
1992年 7,360,000
-3.46% ↓
1991年 7,624,000
-3.46% ↓
1990年 7,897,000
-2.18% ↓
1989年 8,072,655
-7.32% ↓
1988年 8,710,000
-5.63% ↓
1987年 9,230,000
-7.83% ↓
1986年 10,014,000
2.81% ↑
1985年 9,740,000
-11.97% ↓
1984年 11,064,000
10.86% ↑
1983年 9,980,000
-8.94% ↓
1982年 10,960,000
7.14% ↑
1981年 10,230,000
-0.87% ↓
1980年 10,320,000
7.24% ↑
1979年 9,623,000
-2.3% ↓
1978年 9,850,000
-6.47% ↓
1977年 10,531,000
37.7% ↑
1976年 7,648,000
-10.16% ↓
1975年 8,513,000
-6.86% ↓
1974年 9,140,100
1.41% ↑
1973年 9,013,000
-2.57% ↓
1972年 9,251,000
8.01% ↑
1971年 8,564,794
13.67% ↑
1970年 7,534,893
-13.1% ↓
1969年 8,670,401
4.75% ↑
1968年 8,277,503
-10.23% ↓
1967年 9,221,300
5.62% ↑
1966年 8,730,350
6.58% ↑
1965年 8,191,000
8.88% ↑
1964年 7,522,834
12.2% ↑
1963年 6,704,914
14.31% ↑
1962年 5,865,657
16.06% ↑
1961年 5,053,833 -

イギリスにおける大麦生産量の推移を見ると、1960年代には500万トンを超えていた生産量が、同年代終盤から1970年代にかけて機械化農業の普及と市場需要の拡大によって急速に増加しました。この頃には食糧としての役割のほか、ビールやウイスキーの原料としての大麦の需要が高まり、輸出の拡大も生産向上の一因として挙げられます。1977年には過去最高となる約1053万トンを記録しました。

しかしながら、1980年代後半には生産量が減少に転じました。この減少傾向の背景には、ヨーロッパ全体での農業政策の見直し、特に生産量の制限を目的とした「共同農業政策(CAP)」の改革が影響しました。また、気候の変動や耕作地の減少といった要因も相まって生産量が変動するようになりました。この間、需要に対する供給過剰の抑制は価格の安定化に寄与しましたが、生産者の経済状況に大きな負担を与える問題も浮上しました。

21世紀に入ると、イギリスの大麦生産量は比較的安定しつつも、年間500万~800万トンの範囲内で推移しています。たとえば、2000年代中頃以降の低迷は、気候変動による干ばつや豪雨の発生頻度の増加に関連していると考えられます。一方で、近年の2019年や2020年には再び800万トンを超える水準となりました。この上昇の一因には、天候条件の改善や地域的な施設改革と効率的な作付け計画の導入が挙げられます。

イギリスが大麦生産の安定を維持する上で直面する課題として、地政学的背景を無視することはできません。たとえば、EU離脱(ブレグジット)による農業補助金システムの変化が、生産者に広範囲な影響を及ぼしたことが議論されています。これにより市場へのアクセスが制限される一方、国内需要の維持、国内市場の拡大が政策的課題となっています。また、気候変動リスクとして、予測される気候変動による天候の不安定化や極端な気象現象への適応が求められます。たとえば、干ばつや洪水の発生は作物の収量に直接影響を与えるため、防災や災害に強い品種の開発が急務です。

対策としては、持続可能な農業技術の導入やイノベーションの推進が挙げられます。例えば、水の効率的な使用と農作物保護技術の改善、また気候変動に強い品種開発への資金投入です。さらに、政府は農業従事者へ安定した補助を提供すると同時に、輸出市場拡大のための国際的な協力の枠組み作りが重要です。現在、イギリスでは持続可能な経済政策と農業提供政策の一体化が進められていますが、アメリカやフランス、ドイツといった他国との比較において、多くの技術革新ポイントをモデルとして導入すべきです。

結論として、イギリスの大麦生産量は過去から現在にかけて成長と減少を経つつ、安定的な供給基盤を維持しています。しかし今後も施策の改善や研究開発の推進を欠かすことはできません。長期的には、国内外の市場環境と気候変動リスクに対応して、農業の競争力と持続可能性を強化する必要があります。その実現には、国際機関や科学コミュニティとの連携も欠かせない要素です。