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イギリスのラズベリー生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、イギリスのラズベリー生産量は1960年代から2023年までの間で変動を繰り返しているが、1990年代以降は減少傾向が目立つ時期も見受けられます。特に2000年代初頭には年間生産量が7,000トン台にまで低下しましたが、その後徐々に回復し、近年では15,000~17,000トン程度で推移しています。このデータは、気候条件、農業技術、政策の変化など多くの要因に影響されていることを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 15,953
-2.39% ↓
2022年 16,343
4.14% ↑
2021年 15,694
4.77% ↑
2020年 14,980
-13.57% ↓
2019年 17,332
9.7% ↑
2018年 15,799
-4.19% ↓
2017年 16,490
10.61% ↑
2016年 14,908
-13.54% ↓
2015年 17,242
-2.94% ↓
2014年 17,765
21.94% ↑
2013年 14,569
-6.48% ↓
2012年 15,578
0.21% ↑
2011年 15,546
-8.55% ↓
2010年 17,000
11.11% ↑
2009年 15,300
-1.29% ↓
2008年 15,500
4.73% ↑
2007年 14,800
21.11% ↑
2006年 12,220
0.16% ↑
2005年 12,200
22% ↑
2004年 10,000
17.65% ↑
2003年 8,500
16.44% ↑
2002年 7,300
-5.19% ↓
2001年 7,700
-21.43% ↓
2000年 9,800
-10.91% ↓
1999年 11,000
-14.06% ↓
1998年 12,800
34.74% ↑
1997年 9,500
-22.13% ↓
1996年 12,200
16.19% ↑
1995年 10,500
-39.66% ↓
1994年 17,400
-6.95% ↓
1993年 18,700
-2.09% ↓
1992年 19,100
-2.3% ↓
1991年 19,549
1.92% ↑
1990年 19,180
-16.26% ↓
1989年 22,903
-4.36% ↓
1988年 23,948
-0.35% ↓
1987年 24,033
2.49% ↑
1986年 23,450
3.73% ↑
1985年 22,607
-7.35% ↓
1984年 24,400
11.93% ↑
1983年 21,800
-9.54% ↓
1982年 24,100
11.06% ↑
1981年 21,700
-2.69% ↓
1980年 22,300
9.31% ↑
1979年 20,400
-5.99% ↓
1978年 21,700
19.23% ↑
1977年 18,200
15.19% ↑
1976年 15,800
-17.28% ↓
1975年 19,100
-19.75% ↓
1974年 23,800
52.11% ↑
1973年 15,647
-10.99% ↓
1972年 17,578
16.11% ↑
1971年 15,139
-19.46% ↓
1970年 18,797
-15.52% ↓
1969年 22,250
17.73% ↑
1968年 18,899
37.78% ↑
1967年 13,717
-14.01% ↓
1966年 15,952
2.61% ↑
1965年 15,546
-13.56% ↓
1964年 17,984
14.2% ↑
1963年 15,748
1.31% ↑
1962年 15,545
10.87% ↑
1961年 14,021 -

イギリスのラズベリー生産は歴史的に見ると、1961年には14,021トンで始まり、その後20年間はおおむね安定した増加傾向を見せ、1980年代には20,000トンを超える年も多く見られました。しかし、1990年代に入るとしだいに生産量が低下し、2000年代初頭には一時的に7,000~12,000トン程度にまで減少しました。この大幅な生産量の減少は、複数の要因によるものと考えられます。具体的には、農地の転用、国内市場における競争の激化、輸入果物の影響、さらには気候変動による影響が挙げられます。

1990年代と2000年代初頭の低迷を経て、農業技術の改良や新たな栽培方法が導入され、生産量は2007年以降徐々に回復基調を見せるようになりました。しかし、2020年以降はCOVID-19パンデミックによる労働力不足が一因となり、回復傾向が一時的に停滞しました。この問題はEU離脱後の労働政策にも絡んでおり、農業労働者の確保が困難となったことが影響しています。

イギリスのラズベリー生産は、多くの場合国内需要と直接結びついていますが、輸入ラズベリーとの競争が年々激しさを増しています。たとえば、ラズベリーの主な輸出国であるスペインやポーランドからの輸入が国内市場における価格競争を引き起こしており、イギリスの農家にとって生産コストの圧縮が大きな課題となっています。この問題に対処するためには、イギリス国内の農業支援政策をより包括的かつ具体的に設計する必要があると考えられます。

環境面から見ると、気候変動がイギリス国内のラズベリー生産に与える影響も無視できません。2020年代に入ってからは、極端な気温変化や降水量の増減が、収穫量の変化に大きく寄与していると考えられています。この点に対応するためには、耐病性や耐寒性に優れたラズベリー品種の開発が急務と言えます。また、灌漑技術や農地保全の取り組みに投資することにより、気候変動の影響の軽減を図るべきです。

このような背景を踏まえ、イギリスのラズベリー生産に関する具体的な提言として、以下の3点が挙げられます。第一に、労働力不足を解消するため、季節労働者に対する移民政策の柔軟化を進めるべきです。第二に、輸入品に対抗するための国内市場向けブランディング戦略、大規模栽培支援、ならびに地元の小規模農家向けのマーケティング支援の強化が必要です。第三に、政府および研究機関が連携し、新品種の開発や持続可能な農業技術の普及を加速させることが求められます。

総じて、数十年間のイギリスのラズベリー生産量推移を見ると、農業生産は常に地政学的な状況、気候変動、技術進化、そして市場競争の影響を受けていることが分かります。将来的に国内のフルーツ市場を安定させ、世界の競争市場での優位性を確保するためには、短期的な問題解決と長期的な戦略の両方が求められるでしょう。

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