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イギリスのジャガイモ生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、イギリスのジャガイモ生産量は1960年代から変動を伴いながらも長期的には減少傾向にあります。ピーク時の1965年には8,006,000トンを記録しましたが、2022年には4,797,301トンとほぼ半減しています。このデータは農業生産の現状と課題、及び環境や経済の影響を示唆しています。

年度 生産量(トン)
2022年 4,797,301
2021年 5,127,387
2020年 5,512,813
2019年 5,307,000
2018年 5,060,000
2017年 6,218,000
2016年 5,395,000
2015年 5,644,000
2014年 5,911,000
2013年 5,685,000
2012年 4,553,000
2011年 6,310,000
2010年 6,056,000
2009年 6,396,000
2008年 5,999,000
2007年 5,635,000
2006年 5,864,000
2005年 5,979,000
2004年 6,316,500
2003年 5,918,000
2002年 6,966,000
2001年 6,649,000
2000年 6,636,000
1999年 7,130,900
1998年 6,422,000
1997年 7,128,000
1996年 7,228,000
1995年 6,404,000
1994年 6,542,000
1993年 7,072,000
1992年 7,814,000
1991年 6,267,000
1990年 6,467,000
1989年 6,266,000
1988年 6,899,000
1987年 6,760,000
1986年 6,412,000
1985年 6,892,000
1984年 7,398,000
1983年 5,885,000
1982年 6,875,000
1981年 6,214,000
1980年 7,105,000
1979年 6,485,000
1978年 7,331,000
1977年 6,621,000
1976年 4,789,000
1975年 4,787,000
1974年 7,157,000
1973年 7,091,000
1972年 6,863,000
1971年 7,744,000
1970年 7,821,000
1969年 6,513,000
1968年 7,273,000
1967年 7,559,000
1966年 6,897,000
1965年 8,006,000
1964年 7,549,000
1963年 7,196,000
1962年 7,185,000
1961年 6,811,000

イギリスのジャガイモ生産量の推移を見ると、大きな変動が確認できます。1960年代から1980年代までは6,000,000トンから8,000,000トンの間で比較的安定した水準を維持していました。しかし、1975年から1976年の急激な減少(約4,800,000トン)を皮切りに、生産量は徐々に下降トレンドへと移行しています。2022年の生産量は4,797,301トンであり、1965年のピークに比べて約40%の減少となります。

この推移の背景には複数の要因があります。まず、地政学的背景や政策的影響としては、イギリス国内における農業の構造転換が挙げられます。特にEU(欧州連合)加盟時代には、農地利用政策や生産補助金の影響で一部の作物に特化する農業構造が進み、ジャガイモ栽培面積の減少が進みました。そして、2020年のEU離脱(ブレグジット)後、輸出入に関わる貿易関係が見直されたことで、食料市場への影響がさらなる生産効率向上圧力をもたらしています。

また、環境条件も重要な要素です。近年、気候変動による極端な気象イベントがイギリス農業に影響を与えており、2012年や2018年に記録された雨不足や異常気象はジャガイモ生産量に大きなマイナス効果を及ぼしました。これらの年の生産量は、それぞれ4,553,000トンや5,060,000トンと他の年に比べて明らかに低い水準となっています。

さらに、消費者の嗜好や食生活の変化も無視できない要因です。近年、人々の食生活はより多様化しており、特に健康志向の高まりや炭水化物摂取を抑える食事習慣の影響で、伝統的なジャガイモ製品の需要が減少している可能性があります。これにより、農業生産者がジャガイモから他の作物へ切り替える傾向も見受けられます。

これらの課題に対応するためには、いくつかの対策が提案できます。第一に、持続可能な農業技術の導入と気候変動緩和への対応が不可欠です。具体的には、ジャガイモ品種を耐寒性・耐熱性のあるものへ改良したり、水資源管理を効率化するための灌漑技術を活用することが考えられます。また、デジタル農業技術(例:ドローンを活用したモニタリングやAIを用いた収穫予測)の導入によって生産性を向上させることが可能です。

また、農業補助政策の再考も重要です。特に小規模農家が市場競争力を維持するための支援が求められます。政府や市場関係者が連携して農産物のブランド価値を高めることで、国内外マーケットへのアクセスを拡充させることができます。その一例として、「地産地消」型の農産物流通の拡大や、ジャガイモ製品に特化した付加価値産業の発展が挙げられます。

結論として、イギリスのジャガイモ生産量は長期的に見て減少傾向にあるものの、これは一部の対策により改善の余地があります。気候変動や市場の変化といった外的な要因を見据えた上で、持続可能で多様性のある農業モデルへの移行が必要不可欠です。国際連携の強化やスマート農業の推進などを通じて、将来的な生産安定化と経済的持続可能性の両立が期待されます。