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イギリスの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、イギリスの鶏卵生産量は1960年代の増加期から、その後、1980年代後半に大きく減少しました。最近では、生産量は回復傾向にあり、2021年には80万6千トンとピークに近づきましたが、2022年に大幅な減少を記録しました。2023年にはやや回復し、73万3,400トンとなっています。これは、新型コロナウイルスの影響や経済の不安定性、輸入飼料など地政学的リスクが関係している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 733,400
15.68% ↑
2022年 634,000
-21.34% ↓
2021年 806,000
4.13% ↑
2020年 774,000
-2.15% ↓
2019年 791,000
1.8% ↑
2018年 777,000
3.32% ↑
2017年 752,000
4.16% ↑
2016年 722,000
3.29% ↑
2015年 699,000
2.79% ↑
2014年 680,000
1.19% ↑
2013年 672,000
4.51% ↑
2012年 643,000
-2.13% ↓
2011年 657,000
-0.15% ↓
2010年 658,000
9.12% ↑
2009年 603,000
0.48% ↑
2008年 600,102
3.6% ↑
2007年 579,245
-2.48% ↓
2006年 594,000
-2.46% ↓
2005年 609,000
-1.9% ↓
2004年 620,800
5.81% ↑
2003年 586,700
-1.53% ↓
2002年 595,800
-0.58% ↓
2001年 599,250
5.39% ↑
2000年 568,600
-2.96% ↓
1999年 585,918
-12.69% ↓
1998年 671,100
7.87% ↑
1997年 622,147
-1.02% ↓
1996年 628,560
0.46% ↑
1995年 625,680
-1.07% ↓
1994年 632,476
1.26% ↑
1993年 624,600
-0.33% ↓
1992年 626,678
-1.13% ↓
1991年 633,832
1.86% ↑
1990年 622,270
4.95% ↑
1989年 592,900
-11.33% ↓
1988年 668,690
-6.85% ↓
1987年 717,855
1.86% ↑
1986年 704,780
-7.62% ↓
1985年 762,910
6.53% ↑
1984年 716,163
-2.12% ↓
1983年 731,694
-8.99% ↓
1982年 804,000
0.37% ↑
1981年 801,000
-2.55% ↓
1980年 822,000
-6.48% ↓
1979年 879,000
-0.57% ↓
1978年 884,000
4.37% ↑
1977年 847,000
0.59% ↑
1976年 842,000
3.82% ↑
1975年 811,000
-4.36% ↓
1974年 848,000
2.71% ↑
1973年 825,621
-6.67% ↓
1972年 884,606
0.68% ↑
1971年 878,605
-1.46% ↓
1970年 891,612
3.37% ↑
1969年 862,580
-0.65% ↓
1968年 868,180
-0.27% ↓
1967年 870,570
4.31% ↑
1966年 834,610
-0.13% ↓
1965年 835,700
-3.28% ↓
1964年 864,000
11.92% ↑
1963年 771,980
-0.99% ↓
1962年 779,670
3.35% ↑
1961年 754,380 -

イギリスの鶏卵生産量の推移を振り返ると、1960年代は生産量が増加し、特に1964年には86万4千トンを記録しました。この時期の成長は、第2次世界大戦後の経済復興に伴う農業技術の改善や、家庭での食品消費の拡大によるものでした。しかし、その後は1980年代に向かって生産量が減少していき、1989年には最も低い59万2,900トンと落ち込みました。これには、飼料価格の高騰や国内農業政策の変化が影響したと考えられます。

21世紀初頭に入ると、鶏卵生産量はやや安定した水準を保ちましたが、2010年以降、再び増加傾向が見られます。これは、畜産業全体の効率化や、健康志向の高まりで卵の消費が増えたことなどが影響を及ぼしている可能性があります。2021年には80万6千トンに達し、かつての水準にも匹敵する状況に回復しました。しかし、2022年には63万4千トンと大幅な減少を記録しました。この変動は、新型コロナウイルスの影響による労働力不足、生産サプライチェーンの混乱、さらにはロシアとウクライナの軍事衝突が飼料価格や輸入関係に与える影響が関連していると考えられます。

2023年に再び生産量が73万3,400トンまで回復したものの、これが継続するかどうかは不透明です。地政学的背景、例えば飼料用穀物の主要供給源である国々での安定性や、エネルギーコストの変動などが今後の推移に大きく関わると予想されます。そして、環境保護への意識の高まりにより、畜産業全体が結束して生産方法を見直す必要があるとともに、持続可能な飼料やエネルギーの利用が求められています。

今後の政策としては、まず国内の飼料自給率を高めるために、農地利用の効率化やイノベーション投資が挙げられます。また、地元生産者を支援するための助成金制度や輸入依存を軽減するための地域間協力が鍵となるでしょう。併せて、消費者にも環境に配慮した選択を促すキャンペーンを展開することで、長期的に国内産業を持続可能な方向に進めることが重要です。

結論として、イギリスの鶏卵生産量は世界の需要の変化や地政学的なリスクの影響を大きく受けています。したがって、政府や産業界が連携して、効率的で持続可能な生産体系を確立し、柔軟に環境変動に対応できる体制作りを目指すことが不可欠です。