Skip to main content

イギリスのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の2024年7月に更新された最新データによると、イギリスにおけるカリフラワーとブロッコリーの生産量は1960年代から2023年までの間に大きな変動を見せています。ピーク時には年間374,564トン(1967年)を記録しましたが、近年は減少傾向が顕著で、2023年には134,328トンという低水準に達しました。この変化は、農業政策、経済状況、気候変動、輸入依存度の増加など、複数の要因によりもたらされています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 134,328
-9.7% ↓
2022年 148,763
-13.05% ↓
2021年 171,093
-7.56% ↓
2020年 185,082
20.15% ↑
2019年 154,040
4.9% ↑
2018年 146,841
-7.65% ↓
2017年 159,011
4.76% ↑
2016年 151,779
-6.88% ↓
2015年 163,000
1.31% ↑
2014年 160,900
0.56% ↑
2013年 160,000
2.37% ↑
2012年 156,300
-13.21% ↓
2011年 180,100
-4.41% ↓
2010年 188,400
1.18% ↑
2009年 186,200
-1.43% ↓
2008年 188,900
-0.79% ↓
2007年 190,400
-2.61% ↓
2006年 195,500
-11.3% ↓
2005年 220,400
-5.73% ↓
2004年 233,800
24.36% ↑
2003年 188,000
10.91% ↑
2002年 169,500
1.5% ↑
2001年 167,000
-23.36% ↓
2000年 217,900
-10.26% ↓
1999年 242,800
-5.96% ↓
1998年 258,200
-1.15% ↓
1997年 261,200
9.29% ↑
1996年 239,000
-2.05% ↓
1995年 244,000
-15.57% ↓
1994年 289,000
-6.47% ↓
1993年 309,000
-9.38% ↓
1992年 341,000
9.29% ↑
1991年 312,000
1.96% ↑
1990年 306,000
-0.65% ↓
1989年 308,000
-10.47% ↓
1988年 344,000
21.13% ↑
1987年 284,000
-15.98% ↓
1986年 338,000
-4.76% ↓
1985年 354,905
3.11% ↑
1984年 344,200
15.31% ↑
1983年 298,500
-15.44% ↓
1982年 353,000
-0.81% ↓
1981年 355,900
-2.92% ↓
1980年 366,600
22.98% ↑
1979年 298,100
-18.71% ↓
1978年 366,700
19.99% ↑
1977年 305,600
28.78% ↑
1976年 237,300
-19.72% ↓
1975年 295,600
-13.82% ↓
1974年 343,000
-5.29% ↓
1973年 362,168
2.47% ↑
1972年 353,430
6.52% ↑
1971年 331,788
5.86% ↑
1970年 313,433
-1.35% ↓
1969年 317,709
-1.98% ↓
1968年 324,121
-13.47% ↓
1967年 374,564
9.02% ↑
1966年 343,582
-0.25% ↓
1965年 344,441
7.28% ↑
1964年 321,072
-2.17% ↓
1963年 328,184
68.23% ↑
1962年 195,082
-30.93% ↓
1961年 282,461 -

イギリスのカリフラワーとブロッコリー生産量データを見ると、1960年代から1980年代前半にかけては30万トン以上の生産量を維持する安定期が続きました。しかし、1990年代以降、生産量は減少し始め、2000年代に入るとさらにその傾向が加速しました。2000年以降、20万トンを超える年は少なく、2018年以降はおおむね15万トン以下で推移するなど全体として縮小が続いています。2023年には134,328トンとなり、記録が始まった1961年の生産量282,461トンと比べて50%以上減少しました。

こうした生産量の長期的な減少傾向に影響を与える要素としては、複数の要因が挙げられます。第一に、イギリスの農業政策の転換です。特に欧州連合(EU)との関係が変化する中で、共通農業政策(CAP)からの支援が減少し、農家の生産コストが増加しました。これにより、収益性が低い作物とされるカリフラワーやブロッコリーの作付けを控える農家が増加したと考えられます。第二に、輸入量の増加です。イギリスのスーパーマーケットは、新鮮な野菜を年中供給するために、スペインやイタリアなど温暖な気候に恵まれた国からの輸入を拡大しています。これにより、国内生産への圧力が高まりました。

さらに、気候変動の影響も無視できません。カリフラワーやブロッコリーは冷涼な気候を好む作物ですが、近年の地球温暖化や極端気象によりその栽培環境が悪化しています。特に、異常な高温や降雨量の減少が生産量に負の影響を及ぼしており、これが近年の減少傾向につながっています。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、2020年には輸送や労働力の不足で一時的に生産が回復しましたが、持続的な改善には至らず、2021年以降再び低下しました。

この長期的な減少傾向を乗り越えるためにはいくつかの具体的な対策が考えられます。たとえば、農業技術の革新と導入が重要です。気候変動に逆らう形で農作物を生産するために、温室や高度な灌漑技術を用いることが効果的です。さらに、政府による農業支援策の強化や、地元産野菜の消費を促進するキャンペーンの実施も効果があるでしょう。例えば、地元で生産されたカリフラワーやブロッコリーを選ぶエココンシャスな消費行動を奨励することは、地産地消の推進につながります。

また、地政学的な観点からも課題に目を向ける必要があります。イギリスが輸入に大きく依存している現在の状況では、国際的な貿易摩擦や物流の遅延が国内市場に大きな影響を及ぼします。そのため国内の食料安全保障を強化するためには、国内生産の復興と並行して、他国との協力枠組みを整備し、安定した供給ラインの構築も重要です。

結論として、イギリスのカリフラワーとブロッコリーの生産量は、長期的な減少傾向に直面しており、これに対しては技術革新、政策支援、地元消費の奨励といった多角的なアプローチが必要です。国際的な農業の競争が激化する中で、イギリスの農業が安定的かつ持続可能な形で発展するためには、これらの取り組みを包括的に推進することが求められています。

キーワード検索
楽天おすすめ