国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、グルジアの羊肉生産量は1990年代に安定した増加を見せたものの、2000年代以降変動が大きく、2010年代には大幅な減少を記録しました。2023年の生産量は5,000トンで、2018年の9,100トンという直近のピークから減少しています。生産量減少の背景には経済的要因や地政学的影響、自然環境の変化が考えられます。
グルジアの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 5,000 |
-3.85% ↓
|
2022年 | 5,200 |
18.18% ↑
|
2021年 | 4,400 |
-10.2% ↓
|
2020年 | 4,900 |
-16.95% ↓
|
2019年 | 5,900 |
-35.16% ↓
|
2018年 | 9,100 |
35.82% ↑
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2017年 | 6,700 |
45.65% ↑
|
2016年 | 4,600 |
-4.17% ↓
|
2015年 | 4,800 |
17.07% ↑
|
2014年 | 4,100 |
46.43% ↑
|
2013年 | 2,800 |
12% ↑
|
2012年 | 2,500 |
-37.5% ↓
|
2011年 | 4,000 |
-18.37% ↓
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2010年 | 4,900 |
20.69% ↑
|
2009年 | 4,060 |
-45.5% ↓
|
2008年 | 7,450 | - |
2007年 | 7,450 |
-1.59% ↓
|
2006年 | 7,570 |
-20.96% ↓
|
2005年 | 9,577 |
4.11% ↑
|
2004年 | 9,199 |
9.34% ↑
|
2003年 | 8,413 |
2.85% ↑
|
2002年 | 8,180 |
7.1% ↑
|
2001年 | 7,638 |
-13.73% ↓
|
2000年 | 8,854 |
27.8% ↑
|
1999年 | 6,928 |
-16.42% ↓
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1998年 | 8,289 |
27.52% ↑
|
1997年 | 6,500 |
-30.85% ↓
|
1996年 | 9,400 |
13.25% ↑
|
1995年 | 8,300 |
12.16% ↑
|
1994年 | 7,400 |
10.45% ↑
|
1993年 | 6,700 |
9.84% ↑
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1992年 | 6,100 | - |
グルジアにおける羊肉生産量の推移を見ると、1992年から1996年にかけて安定的に増加し、1996年には9,400トンに達しました。この時期は畜産業が国内の主要な産業の一つとして成長した時代です。しかし、1997年以降、羊肉生産量には大きな変動が見られ、2009年以降は特に著しい減少傾向が確認されます。2011年から2013年にかけては最も低迷し、わずか2,500トンにまで落ち込みました。その要因として、当時の経済的混乱や地域紛争の影響、さらには農業従事者の減少が挙げられます。
2018年に9,100トンの比較的高い生産量が記録されていますが、その後再び下降し、2023年には5,000トンに減少しています。このような波状的な変化は、外的要因に大きく左右されている可能性があります。例えば、グルジアは地政学的に戦略的な位置にあります。ここでは過去の紛争や貿易制限が農業生産に影響を及ぼしました。また、近年の気候変動による干ばつや自然環境の変化が家畜飼育に与える影響は無視できません。
日本や韓国のような羊肉の輸入依存が高い国と異なり、グルジアでは経済的・文化的に畜産業が国内自給の重要な役割を果たしています。一方で、中国やインドなど大規模な人口を抱える国々では需要が急増しており、これが輸出市場での競争を激化させています。この背景において、グルジアの羊肉生産量減少は、内需の安定と輸出競争力維持という点で課題を抱えています。
今後の課題としては、羊肉生産を持続可能な形で増加させるための政策が挙げられます。具体的には、畜産に適した地域の開発支援や、気候変動に対応した家畜飼養システムの導入が重要です。さらに、グルジア政府は地域間協力や国際機関との連携を強化し、新しい輸出市場を開拓するとともに、畜産業全体の近代化に取り組む必要があります。例えば、先進国で導入されているスマート農業技術を参考に、効率的で持続可能な生産システムを構築することが効果的です。
結論として、グルジアの羊肉生産量の推移は、経済、地政学、環境といった多面的な課題を反映した動向と言えます。グルジアがこの重要な産業を復興させ、安定化させるためには、持続可能な政策と国際的な協調が不可欠です。これにより国内の食糧安全保障を改善し、国際市場での競争力を強化する可能性が広がるでしょう。