Skip to main content

グルジアの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、グルジアの牛乳生産量は1990年代以降、増加と減少を繰り返しながら推移しています。1990年代には大幅な増加が見られましたが、2000年以降は一時的な減少傾向、2002年から2005年までは比較的安定、そして2006年以降には再度減少に転じています。特に2015年から2018年にかけて顕著な減少が確認され、その後は緩やかに回復し、2021年には605,640トンを記録しましたが、2022年には再びやや低下した598,563トンとなっています。こうした変動には経済、農業技術、地政学的状況など、多くの要因が関与していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 598,563
-1.17% ↓
2021年 605,640
3.34% ↑
2020年 586,070
1.28% ↑
2019年 578,654
1.17% ↑
2018年 571,959
5.09% ↑
2017年 544,252
-2.17% ↓
2016年 556,303
-4.63% ↓
2015年 583,289
-3.82% ↓
2014年 606,464
-2.63% ↓
2013年 622,841
2.58% ↑
2012年 607,185
1.27% ↑
2011年 599,563
-0.95% ↓
2010年 605,331
6.58% ↑
2009年 567,942
-14.65% ↓
2008年 665,452
3.42% ↑
2007年 643,441
3.09% ↑
2006年 624,180
-20.15% ↓
2005年 781,701
0.82% ↑
2004年 775,327
-1.95% ↓
2003年 790,721
3.1% ↑
2002年 766,941
4.43% ↑
2001年 734,412
15.2% ↑
2000年 637,507
-6.27% ↓
1999年 680,155
6.57% ↑
1998年 638,206
4.49% ↑
1997年 610,800
15.18% ↑
1996年 530,300
11.55% ↑
1995年 475,400
10.74% ↑
1994年 429,300
10.79% ↑
1993年 387,500
1.92% ↑
1992年 380,200 -

グルジアの牛乳生産量はここ30年間で変動を繰り返しており、その推移は同国の経済的・社会的変化、政策の影響を反映しています。1992年、グルジアが独立を果たした後の初期段階では、380,200トンの生産量を記録し、その後も順調に増加しました。1997年には610,800トンに達し、2000年代初頭にはさらに700,000トン以上を超えるピーク期間が続きました。この生産量の上昇は、独立後の農業改革の推進と国内需要の増加に裏打ちされていると考えられます。

しかし、2005年以降、牛乳生産量は減少に転じています。この背景には、国内農業の競争力低下、設備の老朽化や資本投資の不足などがあります。さらに、2008年のロシアとの軍事紛争やその後の経済低迷も影響を及ぼしたと考えられます。同年の生産量は665,452トンに留まり、以降も断続的な減少が見られました。

特に2015年から2017年にかけては深刻な低下がありました。この期間、牛乳の生産量は583,289トンから544,252トンとなり、30年間の最小値に近い水準となりました。この減少は、経済不安や農村部からの労働力流出、高齢化する農家人口が原因となっている可能性があります。さらに、この時期には気候変動の影響も考慮されるべきで、干ばつや降水量の変動が牧草地への悪影響を及ぼしました。

一方、2018年以降は回復の兆しが見られました。技術革新や政府の農業支援政策により、2021年には605,640トンに達するまで回復し、安定傾向を示しています。ただし、2022年には再び減少に陥り598,563トンとなり、持続的な成長への課題が浮き彫りとなっています。

グルジアの牛乳生産を強化するための提案としては、一つ目に、農業者への近代的技術導入支援が挙げられます。例えば、効率的な飼料管理や品種改良に資するインフラ整備が必要です。二つ目に、小規模農家を支援する政策の強化が求められます。市場へのアクセス向上や農業協同組合の設立促進が含まれます。三つ目として、欧州連合(EU)との貿易関係を強化し、付加価値の高い乳製品の輸出を増やす取り組みが有効です。

また、地政学的リスクも無視できません。特にロシアとの緊張は輸出ルートやエネルギー価格に影響を及ぼし、農業全体のコスト増大を招く可能性があります。そのため、近隣諸国や国際機関との農業分野での連携を深化させ、外部ショックに対する耐性を向上させる必要があります。

今後の持続的な発展のためには、気候変動への対策を一層進める必要があります。例えば、干ばつリスクを軽減するために水資源管理を強化し、耐干ばつ性の高い牧草の育成を推進することが有効です。また、疫病や予期せぬ災害による影響を最小限に抑えるために、農家向け保険制度の充実を進めるべきです。

結論として、グルジアの牛乳生産量は短期的な回復と長期的な課題が混在している現状です。今後、国内外の需要動向や政治的・経済的環境を注視しつつ、農業基盤の強化や国際的ネットワークの活用を進めることが必要です。これにより、安定的かつ持続的な成長を実現することが期待されます。