Food and Agriculture Organization(FAO)の最新データによると、グルジアにおける鶏卵の生産量は、長期にわたる増減を経て、1992年の16,480トンから2023年には42,785トンに達しています。特に2014年以降の生産量の増加が顕著で、2019年には43,309トンと過去最高値に近づきました。しかし、その後2020年をピークに若干の減少傾向が見られています。
グルジアの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 42,785 |
-0.23% ↓
|
2022年 | 42,883 |
-0.01% ↓
|
2021年 | 42,888 |
-2.92% ↓
|
2020年 | 44,180 |
2.01% ↑
|
2019年 | 43,309 |
4.16% ↑
|
2018年 | 41,579 |
5.78% ↑
|
2017年 | 39,307 |
1.64% ↑
|
2016年 | 38,671 |
-1.78% ↓
|
2015年 | 39,370 |
9.05% ↑
|
2014年 | 36,102 |
31.76% ↑
|
2013年 | 27,400 |
4.18% ↑
|
2012年 | 26,300 |
-1.87% ↓
|
2011年 | 26,800 |
8.94% ↑
|
2010年 | 24,600 |
2.93% ↑
|
2009年 | 23,900 |
-1.65% ↓
|
2008年 | 24,300 | - |
2007年 | 24,300 |
74.82% ↑
|
2006年 | 13,900 |
-50.36% ↓
|
2005年 | 28,000 |
1.45% ↑
|
2004年 | 27,600 |
8.66% ↑
|
2003年 | 25,400 |
12.06% ↑
|
2002年 | 22,666 |
3.31% ↑
|
2001年 | 21,941 |
9.32% ↑
|
2000年 | 20,070 |
-7.51% ↓
|
1999年 | 21,700 |
2.36% ↑
|
1998年 | 21,200 |
2.76% ↑
|
1997年 | 20,630 |
5.79% ↑
|
1996年 | 19,500 |
30.7% ↑
|
1995年 | 14,920 |
7.3% ↑
|
1994年 | 13,905 |
3.12% ↑
|
1993年 | 13,484 |
-18.18% ↓
|
1992年 | 16,480 | - |
グルジアの鶏卵生産量は、1992年から2023年までの30年以上にわたるデータを振り返ると、大きな変化を経て着実に成長してきたことがわかります。特に1990年代初頭は、生産量が16,000トン台と低水準にありました。この時期は旧ソビエト連邦の崩壊後、経済の混乱やインフラの不足が深刻だったことが背景にあると考えられます。1996年から2005年にかけては徐々に安定し、20,000トン台後半へと回復しました。しかし、2006年には生産量が13,900トンに急減し、この原因としては国内の経済危機や外部の地政学的リスク、2008年のロシア・グルジア戦争が鶏卵生産の一時的な落ち込みに寄与した可能性が挙げられます。
その後、2010年代に入ると状況は改善し、2014年に36,102トン、2019年には43,309トンという大幅な生産量の増加が見られました。この増加は、農業分野への投資やインフラの回復、そして地域間での経済的な協力が進展したことが影響しています。また、鶏卵は多くの家庭で手軽なタンパク源として消費されるため、需要が高まったことも重要な要因です。
一方で、2020年以降若干の減少傾向がみられます。これは世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大による物流の停滞や、労働力不足が産業全般に影響を及ぼしたためと推測されます。また、2020年代においては、世界的な飼料価格の高騰が鶏卵生産コストを増大させ、生産性に負の影響を与えた可能性も考えられます。
今後の課題として、まず国内外への輸送網の強化が重要です。グルジアが地域間貿易をさらに広げることで、鶏卵の余剰生産を近隣諸国に供給し、収益を向上させる可能性があります。例えば、トルコやアゼルバイジャンといった周辺国との農産物取引の拡充を検討することが効果的でしょう。また、気候変動による農業への影響が懸念されていることもあり、飼料や設備の効率化を進めることで、災害や地政学的リスクへの耐性を高める必要があります。
さらに、将来的には鶏卵の生産と消費のバランスを見直し、国際機関や非政府組織と連携して持続可能な農業方針を策定することが求められます。地域的な衝突や貿易摩擦の影響を最小限に抑えるためには、多国間協力を強化する枠組みの構築が欠かせません。同時に、国内の生産者を支えるための政府の政策支援や補助金制度の導入・充実化が重要となります。
総じて、グルジアの鶏卵生産量推移は、経済回復と政策対応の進展に伴い長期的な成長を遂げてきた一方で、依然として外部要因に対する脆弱性が残っています。これに対応するためには、生産体制の効率化、地域間の経済協力の強化、そして持続可能な農業政策の推進が必要不可欠です。このような取り組みにより、同国の鶏卵生産はさらに高いレベルでの発展が期待されます。