Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、チュニジアのブドウ生産量は長期的に大きな変動を伴っています。特に1961年から1970年代にかけて急激な減少が見られる一方、近年の2022年には166,000トンと過去十数年における上昇が確認されています。2023年は159,627トンと、わずかながら減少傾向が見られますが、ほぼ前年の水準を維持しています。
チュニジアのブドウ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 159,627 |
-3.84% ↓
|
2022年 | 166,000 |
18.57% ↑
|
2021年 | 140,000 |
-6.67% ↓
|
2020年 | 150,000 |
1.35% ↑
|
2019年 | 148,000 |
-3.9% ↓
|
2018年 | 154,000 |
5.05% ↑
|
2017年 | 146,600 |
9.4% ↑
|
2016年 | 134,000 |
-10.84% ↓
|
2015年 | 150,300 |
9.71% ↑
|
2014年 | 137,000 |
3.79% ↑
|
2013年 | 132,000 |
-10.2% ↓
|
2012年 | 147,000 |
-0.41% ↓
|
2011年 | 147,600 |
14.42% ↑
|
2010年 | 129,000 |
-3.01% ↓
|
2009年 | 133,000 |
9.02% ↑
|
2008年 | 122,000 |
28.42% ↑
|
2007年 | 95,000 |
-28.41% ↓
|
2006年 | 132,700 |
8.77% ↑
|
2005年 | 122,000 |
-3.94% ↓
|
2004年 | 127,000 |
18.69% ↑
|
2003年 | 107,000 |
-5.31% ↓
|
2002年 | 113,000 |
-6.61% ↓
|
2001年 | 121,000 |
-13.88% ↓
|
2000年 | 140,500 |
8.08% ↑
|
1999年 | 130,000 |
23.81% ↑
|
1998年 | 105,000 |
-3.67% ↓
|
1997年 | 109,000 |
23.86% ↑
|
1996年 | 88,000 |
-16.19% ↓
|
1995年 | 105,000 |
1.94% ↑
|
1994年 | 103,000 |
-4.63% ↓
|
1993年 | 108,000 |
11.34% ↑
|
1992年 | 97,000 |
-19.17% ↓
|
1991年 | 120,000 |
55.14% ↑
|
1990年 | 77,350 |
-8.04% ↓
|
1989年 | 84,112 |
-35.3% ↓
|
1988年 | 130,000 |
11.11% ↑
|
1987年 | 117,000 |
10.38% ↑
|
1986年 | 106,000 |
-11.67% ↓
|
1985年 | 120,000 |
7.14% ↑
|
1984年 | 112,000 |
6.67% ↑
|
1983年 | 105,000 |
15.38% ↑
|
1982年 | 91,000 |
-13.33% ↓
|
1981年 | 105,000 |
-22.22% ↓
|
1980年 | 135,000 |
4.65% ↑
|
1979年 | 129,000 |
22.76% ↑
|
1978年 | 105,086 |
-4.47% ↓
|
1977年 | 110,000 |
-20.86% ↓
|
1976年 | 139,000 |
-18.71% ↓
|
1975年 | 171,000 |
-5% ↓
|
1974年 | 180,000 |
12.5% ↑
|
1973年 | 160,000 |
-1.23% ↓
|
1972年 | 162,000 |
5.19% ↑
|
1971年 | 154,000 |
71.11% ↑
|
1970年 | 90,000 |
-30.77% ↓
|
1969年 | 130,000 |
-6.54% ↓
|
1968年 | 139,100 |
-6.39% ↓
|
1967年 | 148,600 |
-10.7% ↓
|
1966年 | 166,400 |
-30.58% ↓
|
1965年 | 239,700 |
-6.11% ↓
|
1964年 | 255,300 |
-8.23% ↓
|
1963年 | 278,200 |
1.02% ↑
|
1962年 | 275,400 |
11.5% ↑
|
1961年 | 247,000 | - |
チュニジアのブドウ生産量は、1960年代初頭では247,000トンという高い生産量に達していましたが、1966年以降顕著な減少が始まり、1970年には90,000トンという最小値を記録しました。この時期の大幅な下落は、気候変動や農業技術の未成熟、さらには経済的不安定性や地域的な紛争の影響も考えられます。この後、1970年代以降の数十年間は比較的安定した推移を見せており、10万トン前後での生産が続きましたが、劇的な回復とはなりませんでした。
2000年代に入ると、技術革新や農業政策の改善により一定の増加傾向が見られるようになりました。しかしながら、生産量の年次変動幅は大きく、たとえば2007年には前年度より急激に減少し95,000トンとなる結果も出ています。このような振る舞いは、依然として気候条件に対する脆弱性が高いことを示しています。
近年のデータを見ると、2022年には166,000トンと、生産量が大幅に上昇し、以前のピークに肉薄していることが分かります。この背景には、気候変動への対策としての灌漑技術の導入や、ブドウ栽培の地域をより適応性の高い環境へシフトしたことが影響していると考えられます。一方で2023年には159,627トンとやや減少していますが、これは収穫期の気象条件やそれに伴う作業効率の低下が原因と予測されます。
地域特有の課題として、チュニジアは地中海性気候の影響を強く受けるため、気候変動が直接的なリスクとなります。例えば、高温乾燥の夏が長期化すると収穫量にダメージを与えます。また、経済面ではブドウ栽培に関する資金や技術面での支援の不均衡が指摘されており、これも収量や品質の変動を引き起こす要因です。
ブドウ生産をさらに安定化・向上させるためには、気候リスクを緩和するための多角的な施策が必要です。具体的には、耐乾燥性の強いブドウ品種の開発や普及、効率的な水資源管理、そして農業労働者への技術研修の充実が挙げられます。また、気候変動モデルを用いた予測システムを農村部に導入することで、突発的な気象変動への対応力を高めることが期待されます。
さらに、国際的な枠組みを通じて周辺諸国と技術や知識の共有を促進することは、長期的な持続可能性を確保するために非常に重要です。特に、地中海沿岸諸国間での協力は、地理や気候条件の近似性も相まって相乗効果が期待できます。
結論として、チュニジアのブドウ生産量はこれまで多くの課題を克服してきましたが、依然として気候や経済の外的要因に左右されやすい脆弱性を抱えています。これを改善するには、国家が中心となった長期的な戦略の策定が重要であり、それに加えて国際協力の枠組みを強化することで、さらなる発展と持続可能性を実現することが可能となるでしょう。