Skip to main content

チュニジアのスイカ生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)の最新のデータによると、チュニジアのスイカ生産量において、特に近年の生産量は増減を繰り返しながらも50万トン前後で推移しています。2023年のスイカ生産量は460,752トンと記録され、前年度と比べわずかに増加しました。1960年代には10万トン以下の年が多い一方、2000年代中盤には40万~50万トンに拡大し、2015年には最高の642,000トンを記録しました。以後は現在に至るまで減少と増加を繰り返していますが、量的には顕著な成長期の後、横ばいもしくは緩やかな下降が見られています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 460,752
2.39% ↑
2022年 450,000
-15.25% ↓
2021年 531,000
18% ↑
2020年 450,000
-8.35% ↓
2019年 491,000
-7.18% ↓
2018年 529,000
-7.36% ↓
2017年 571,000
5.35% ↑
2016年 542,000
-15.58% ↓
2015年 642,000
23.46% ↑
2014年 520,000
6.12% ↑
2013年 490,000
31.9% ↑
2012年 371,500
21.8% ↑
2011年 305,000
-12.86% ↓
2010年 350,000
-26.32% ↓
2009年 475,000
2.15% ↑
2008年 465,000
-0.21% ↓
2007年 466,000
-0.21% ↓
2006年 467,000
4.71% ↑
2005年 446,000
-0.89% ↓
2004年 450,000
13.92% ↑
2003年 395,000
26.6% ↑
2002年 312,000
9.09% ↑
2001年 286,000
-1.04% ↓
2000年 289,000
-0.34% ↓
1999年 290,000
-3.33% ↓
1998年 300,000
-4.76% ↓
1997年 315,000
9% ↑
1996年 289,000
23.5% ↑
1995年 234,000
-20.14% ↓
1994年 293,000
4.76% ↑
1993年 279,700
-6.08% ↓
1992年 297,800
8.41% ↑
1991年 274,700
-22.12% ↓
1990年 352,700
79.95% ↑
1989年 196,000
-2% ↓
1988年 200,000
-23.08% ↓
1987年 260,000
4% ↑
1986年 250,000
4.17% ↑
1985年 240,000
6.67% ↑
1984年 225,000
-6.25% ↓
1983年 240,000
20% ↑
1982年 200,000
-4.76% ↓
1981年 210,000
7.69% ↑
1980年 195,000
-7.14% ↓
1979年 210,000
31.25% ↑
1978年 160,000
8.84% ↑
1977年 147,000
-13.53% ↓
1976年 170,000
15.65% ↑
1975年 147,000
-2% ↓
1974年 150,000
17.19% ↑
1973年 128,000
8.66% ↑
1972年 117,800
29.45% ↑
1971年 91,000
39.36% ↑
1970年 65,300
-13.28% ↓
1969年 75,300
-11.52% ↓
1968年 85,100
42.07% ↑
1967年 59,900
-20.56% ↓
1966年 75,400
8.8% ↑
1965年 69,300
-0.86% ↓
1964年 69,900
-19.93% ↓
1963年 87,300
-22.4% ↓
1962年 112,500
36.36% ↑
1961年 82,500 -

チュニジアのスイカ生産量は、長期のデータを見ると、1960年代は10万トン以下、1970~1980年代にかけては20~30万トンの間で推移し、その後、1990年代から急速に成長しました。特に2000年代以降は40万トンを超えることが一般的になり、生産技術の向上や灌漑設備の整備、農業政策の改善が影響していると考えられます。

2015年には642,000トンを記録し、これはチュニジアのスイカ生産における過去最高値であり、輸出や国内需要の増加と、気候条件が非常に恵まれたことが要因として挙げられます。しかし、この最高値以降は下降傾向にあり、2023年の生産量は最盛期に比べて180,000トン以上も少なく、これは国内農業における多くの課題を反映している可能性があります。たとえば、気候変動による干ばつの深刻化、農業労働人口の減少、さらには新型コロナウイルス感染症の影響が生産体制に与えた影響が挙げられます。

生産量推移データから見ると、特に2010年代後半以降の要因として考えられるのは、降雨量の不足、農業製品への投資の減少、農家の収入面での課題です。近隣諸国のモロッコやエジプトも同じ北アフリカ地域に属し、類似の環境条件に直面していますが、一方で輸出市場への攻勢に成功した一部の国々は、持続可能な農業モデルを構築することで生産を拡大できました。チュニジアも同様の戦略を取り入れる余地があります。

また、地政学的リスクも無視できません。チュニジアでは近年の政治的不安定性が農業政策の継続性に影響を与えており、このことは生産性の低下に結びついています。さらに、気候変動による影響は農業全般に甚大であり、高温や干ばつの増加はスイカの生産性を脅かし続ける懸念材料となります。

特に2023年のデータを見ると、2022年の450,000トンからわずかに増加しており、一定の回復傾向が見られますが、依然として2015年のピークには遠く及びません。ここから考えられる対策としては、まずスイカ栽培における技術革新を取り入れ、効率的な水の使用を可能にする灌漑技術を普及させることです。また、気候変動への適応策として、耐干ばつ性の高い品種の導入も検討すべきです。

同時に国内外市場の需要を的確にとらえた栽培量の調整や、農家への補助金政策を拡充することで、利益率を向上させる必要があります。さらに、政府および国際機関との協力を通じて、気候変動への影響を最小化するための長期的な農業戦略を策定することも重要です。

結論として、チュニジアのスイカ生産量は1960年代以降、地道な成長を遂げる中で2015年に最高点を迎えましたが、その後の課題に直面しています。データが示す現状を踏まえ、技術的・政策的な対応を進めることで、生産を安定的に拡大し、国内外の需要に応えられる体制を築いていくべきです。