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チュニジアのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に提供した最新データによると、チュニジアのヤギ肉生産量は、1961年には1,980トンでしたが、長期的に増加し、2023年には10,960トンを記録しています。特に1970年代後半から1980年代にかけて急激な増加が見られ、その後はやや緩やかな成長を示しています。近年では、2020年以降に再び生産量が増加する傾向が見られています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 10,960
-2.23% ↓
2022年 11,210
0.09% ↑
2021年 11,200
9.8% ↑
2020年 10,200
6.25% ↑
2019年 9,600
1.05% ↑
2018年 9,500 -
2017年 9,500
-0.52% ↓
2016年 9,550
-1.55% ↓
2015年 9,700
1.04% ↑
2014年 9,600
4.35% ↑
2013年 9,200
2.22% ↑
2012年 9,000
-4.26% ↓
2011年 9,400 -
2010年 9,400
-4.08% ↓
2009年 9,800
-2% ↓
2008年 10,000
-11.5% ↓
2007年 11,300
4.63% ↑
2006年 10,800
1.89% ↑
2005年 10,600
12.77% ↑
2004年 9,400 -
2003年 9,400
-1.05% ↓
2002年 9,500
2.15% ↑
2001年 9,300
1.09% ↑
2000年 9,200
-6.12% ↓
1999年 9,800
6.52% ↑
1998年 9,200
10.84% ↑
1997年 8,300 -
1996年 8,300 -
1995年 8,300 -
1994年 8,300
5.06% ↑
1993年 7,900
5.33% ↑
1992年 7,500
5.63% ↑
1991年 7,100
-2.74% ↓
1990年 7,300
7.35% ↑
1989年 6,800
-6.85% ↓
1988年 7,300
17.74% ↑
1987年 6,200
6.9% ↑
1986年 5,800
3.57% ↑
1985年 5,600
7.69% ↑
1984年 5,200
6.12% ↑
1983年 4,900
40.24% ↑
1982年 3,494
2.46% ↑
1981年 3,410
8.95% ↑
1980年 3,130
14.23% ↑
1979年 2,740
-29.56% ↓
1978年 3,890
-12.98% ↓
1977年 4,470
-13.04% ↓
1976年 5,140
52.52% ↑
1975年 3,370
14.24% ↑
1974年 2,950
4.24% ↑
1973年 2,830
-2.75% ↓
1972年 2,910
12.79% ↑
1971年 2,580
48.28% ↑
1970年 1,740
50% ↑
1969年 1,160
-25.64% ↓
1968年 1,560
-4.29% ↓
1967年 1,630
-20.87% ↓
1966年 2,060
28.75% ↑
1965年 1,600
33.33% ↑
1964年 1,200
-28.57% ↓
1963年 1,680
-5.35% ↓
1962年 1,775
-10.35% ↓
1961年 1,980 -

チュニジアにおけるヤギ肉の生産量は、ここ60年以上にわたり漸進的な増加を遂げてきました。1961年のデータでは1,980トンと記録され、生産量は比較的低位で推移していましたが、1970年代中盤以降急激に拡大しました。この期間において、特に1976年の5,140トンへの急増や、1980年代後半の年平均7,000トン以上への到達は、農業政策の進展や産業構造の変化が影響している可能性があります。

1990年代から2000年代初頭にかけて、ヤギ肉の生産量は年間8,000トンから9,000トンの間で安定していました。この安定した推移は、チュニジアが家畜管理技術を成熟させ、持続可能な生産基盤を構築したことを示していると考えられます。また、この時期の安定は、国内市場の需要が一定水準にあり、過剰生産を抑制する政策が機能していた可能性を示唆しています。

近年では、2012年から2018年の間にかけてやや停滞し、年間生産量が9,000トン付近にとどまっていました。しかし、2020年以降になると再び増加の兆しが見られ、2022年には過去最高となる11,210トンを記録しました。この増加傾向は、新しい飼育技術の導入や気候変動への対応策、ヤギ肉の需要増加が背景にあると推測されます。

しかしながら、生産量の変動には課題も残されています。たとえば、1970年代末から1980年代初頭にかけては、短期間ながら生産の減少が見られました。また、2008年から2012年の間でも一時的な減少が発生しています。これらの現象は、干ばつのような気象条件の影響や、エサの供給問題、病気の流行など、農業生産を脅かす要因があることを示しています。特に、気候変動による降雨パターンの変化や土地の劣化は、今後のヤギ肉生産にも直接的な影響を与えると考えられます。

未来への具体的な課題と提案として、まず第一に、持続可能な生産体制を強化する必要性があります。これは、特に干ばつのリスクを軽減するための効率的な水資源管理や、耐性のある作物や牧草の開発等を含みます。次に、地域間での協力を促進し、市場アクセスを改善することで、生産者が安定収入を得られる仕組み作りを進めることが求められます。また、ヤギ肉の輸出を拡大し、地政学的なリスクを緩和するためにも、国際市場での競争力を高める取り組みが重要です。

さらに、疫病の影響を最小限に抑えるための家畜衛生管理の強化や、公衆衛生の向上も不可欠です。新型コロナウイルスのパンデミックがもたらした物流障害や需要変化といった課題は、より包括的な感染症対策の重要性を浮き彫りにしました。チュニジアはこの経験を基に、新たな災害や疫病への迅速な対応力を構築する必要があります。

結論として、長期的な生産量増加は、チュニジアの農業や家畜産業の発展を物語っています。ただし、気候リスクや疾病管理、市場の課題などを包括的に捉えた政策の実施が不可欠であり、国際協力や技術革新を活用することで、安定的な供給と収益性の向上が達成されると期待されます。現在の増加傾向を維持し、持続可能な未来を築くためには、政府や国際機関、地域社会が一体となって取り組むことが求められます。