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チュニジアのニンニク生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、チュニジアのニンニク生産量は過去数十年で大きな変化を見せてきました。特に1970年代から1980年代は顕著な生産量の変動があり、1990年代後半以降からは比較的安定的で、徐々に増加の傾向を示しました。2010年以降、成長は目覚ましく、特に2011年以降25,000トンを超える生産量を維持しています。2023年の生産量は25,432トンで、近年非常に安定した生産を見せています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 25,432
0.02% ↑
2022年 25,426
1.12% ↑
2021年 25,146
0.69% ↑
2020年 24,974
-4.53% ↓
2019年 26,159
7.63% ↑
2018年 24,303
-0.64% ↓
2017年 24,461
-1.11% ↓
2016年 24,736
-5.25% ↓
2015年 26,107
5.27% ↑
2014年 24,800
6.44% ↑
2013年 23,300
7.87% ↑
2012年 21,600
-0.55% ↓
2011年 21,720
35.75% ↑
2010年 16,000
110.53% ↑
2009年 7,600 -
2008年 7,600
-3.8% ↓
2007年 7,900
54.9% ↑
2006年 5,100
-8.93% ↓
2005年 5,600
12% ↑
2004年 5,000
-23.08% ↓
2003年 6,500
14.04% ↑
2002年 5,700
-1.72% ↓
2001年 5,800
23.4% ↑
2000年 4,700
-21.67% ↓
1999年 6,000
-33.33% ↓
1998年 9,000
50% ↑
1997年 6,000
-25% ↓
1996年 8,000
33.33% ↑
1995年 6,000
7.14% ↑
1994年 5,600
-6.67% ↓
1993年 6,000
50% ↑
1992年 4,000
14.29% ↑
1991年 3,500
16.67% ↑
1990年 3,000
-50% ↓
1989年 6,000
76.47% ↑
1988年 3,400
-10.53% ↓
1987年 3,800
52% ↑
1986年 2,500
-43.18% ↓
1985年 4,400
25.71% ↑
1984年 3,500
105.88% ↑
1983年 1,700
-15% ↓
1982年 2,000
-9.09% ↓
1981年 2,200
-63.33% ↓
1980年 6,000
57.89% ↑
1979年 3,800
100% ↑
1978年 1,900
-5% ↓
1977年 2,000
-39.39% ↓
1976年 3,300
-35.29% ↓
1975年 5,100
10.87% ↑
1974年 4,600
27.78% ↑
1973年 3,600
24.14% ↑
1972年 2,900
-23.68% ↓
1971年 3,800
33.33% ↑
1970年 2,850
-24% ↓
1969年 3,750
-3.85% ↓
1968年 3,900
18.18% ↑
1967年 3,300
-33.33% ↓
1966年 4,950
7.61% ↑
1965年 4,600
15% ↑
1964年 4,000
-33.33% ↓
1963年 6,000
100% ↑
1962年 3,000
-25% ↓
1961年 4,000 -

チュニジアのニンニク生産量は、農業の発展や気候条件、政策の影響を強く受けていることがデータから分かります。この生産量データをさかのぼると、1961年から1980年までは、ニンニク生産が主に3,000~6,000トンの範囲で推移していたことが確認できます。この時期は農業技術や生産体制が限定的だったことから、収量は大きな変動を見せています。とりわけ1977年から1983年までは、干ばつや地域的な農業環境の不安定さが影響したのか、平均2,000トン台にまで落ち込みました。

しかし1990年代に入ると、チュニジアのニンニク生産量は徐々に増加傾向を見せ、1996年には8,000トン、1998年には9,000トンに到達しました。この成長の背景には、国内での農業政策の改善や市場需要の増大が挙げられます。それでも2000年代初頭には再び波が生じ、4,700~7,900トンの間を推移し、安定生産への課題が残されていました。

転機となったのは2010年以降です。特に2011年には生産量が21,720トンに成長し、2013年には23,300トン、2015年には26,107トンを記録しました。継続的に25,000トンを超える水準を維持している現在(2023年)に至るまで、チュニジアのニンニク生産は大きな進歩を遂げたと言えます。この急激な成長には、農業技術の向上や広域的な市場開拓の成功が影響していると考えられます。また、地域間での協力体制や農業従事者への支援も好影響を与えたことでしょう。

一方で、気候条件や水資源の不安定さが今後の課題として挙げられる可能性があります。ニンニクは気候の影響を受けやすい作物であるため、気温上昇や異常気象が頻発している昨今、持続可能な生産体制を築くことが急務です。これに対応するため、チュニジアは灌漑施設の整備を進め、気候変動に強い品種の導入や農作物の多様性を高める施策を取る必要があります。

また、国際比較を行うと、中国が世界最大のニンニク生産国であるのに対し、チュニジアの生産規模は小規模の範囲に属することが分かります。しかし、チュニジアでは主に国内消費を目的としており、輸出に特化した大規模生産体制を追求する他国のモデルとは異なっています。この点において、チュニジアはローカル市場のニーズを満たしつつ、地域市場に進出する道を模索するべきでしょう。

さらに、地政学的リスクも重要です。チュニジアは地中海地域に位置しており、輸出ルートの安定性や地域紛争への対応が農業収益を左右する可能性があります。特に、近年の物流の不安定さや輸出に関連した規制の増加が、ニンニクの国際市場への進出に影響する可能性が懸念されます。この観点から、地域協力の枠組みや農業生産のサプライチェーンを強化する方策が求められます。

これらの課題を踏まえたうえで、チュニジアには、持続可能な農業モデルを構築することが求められます。具体的には、省水型の農業や、気候変動に対する適応技術の採用、農地の効率的な使用が重要です。同時に、生産者への技術や金融面での支援を拡大し、国際市場で競争力を高めることも必要です。そして、本分野でのデジタル技術やデータ分析を活用することで、生産予測モデルを精度よく構築することが可能になります。

チュニジアのニンニク生産にはさらなる成長の可能性がありますが、それに向けては数々の挑戦が待ち受けています。国際的な視点を取り入れつつ、国内外の協力を強化すれば、チュニジアは将来的にこの分野での新たなリーダー的存在となり得るでしょう。

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