国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、チュニジアのレモン・ライム生産量は大きな変動を伴いながらも、長期的に見ると成長傾向を示しています。1961年の16,600トンから始まり、2023年には59,355トンと約3.6倍に増加しました。特に2000年代以降、生産量は急激に増加し、2017年には72,300トンと過去最高を記録しました。しかし、その後はやや減少と安定を繰り返している様子が見られます。
チュニジアのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 59,355 |
4.13% ↑
|
2022年 | 57,000 |
3.64% ↑
|
2021年 | 55,000 |
8.91% ↑
|
2020年 | 50,500 |
-7% ↓
|
2019年 | 54,300 |
4.42% ↑
|
2018年 | 52,000 |
-28.08% ↓
|
2017年 | 72,300 |
24.66% ↑
|
2016年 | 58,000 |
17.17% ↑
|
2015年 | 49,500 |
-16.81% ↓
|
2014年 | 59,500 |
35.23% ↑
|
2013年 | 44,000 |
-10.2% ↓
|
2012年 | 49,000 |
3.16% ↑
|
2011年 | 47,500 |
28.38% ↑
|
2010年 | 37,000 |
-11.48% ↓
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2009年 | 41,800 |
11.47% ↑
|
2008年 | 37,500 |
16.82% ↑
|
2007年 | 32,100 |
18.89% ↑
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2006年 | 27,000 |
-3.57% ↓
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2005年 | 28,000 |
39.3% ↑
|
2004年 | 20,100 |
-25.56% ↓
|
2003年 | 27,000 |
10.2% ↑
|
2002年 | 24,500 |
7.46% ↑
|
2001年 | 22,800 |
24.59% ↑
|
2000年 | 18,300 |
7.65% ↑
|
1999年 | 17,000 |
15.65% ↑
|
1998年 | 14,700 |
33.64% ↑
|
1997年 | 11,000 |
-23.08% ↓
|
1996年 | 14,300 |
14.4% ↑
|
1995年 | 12,500 |
-32.07% ↓
|
1994年 | 18,400 |
8.24% ↑
|
1993年 | 17,000 |
-3.95% ↓
|
1992年 | 17,700 |
22.92% ↑
|
1991年 | 14,400 |
-13.77% ↓
|
1990年 | 16,700 |
-6.18% ↓
|
1989年 | 17,800 |
11.25% ↑
|
1988年 | 16,000 |
-11.11% ↓
|
1987年 | 18,000 |
19.21% ↑
|
1986年 | 15,100 |
-24.5% ↓
|
1985年 | 20,000 |
-15.97% ↓
|
1984年 | 23,800 |
9.68% ↑
|
1983年 | 21,700 |
11.28% ↑
|
1982年 | 19,500 |
-16.31% ↓
|
1981年 | 23,300 |
26.63% ↑
|
1980年 | 18,400 |
-2.13% ↓
|
1979年 | 18,800 |
-21.67% ↓
|
1978年 | 24,000 |
-4.38% ↓
|
1977年 | 25,100 |
35.68% ↑
|
1976年 | 18,500 |
23.33% ↑
|
1975年 | 15,000 | - |
1974年 | 15,000 |
44.23% ↑
|
1973年 | 10,400 |
-35.8% ↓
|
1972年 | 16,200 |
19.12% ↑
|
1971年 | 13,600 |
0.74% ↑
|
1970年 | 13,500 |
2.27% ↑
|
1969年 | 13,200 |
30.69% ↑
|
1968年 | 10,100 |
-24.63% ↓
|
1967年 | 13,400 |
-5.63% ↓
|
1966年 | 14,200 |
5.19% ↑
|
1965年 | 13,500 | - |
1964年 | 13,500 |
11.57% ↑
|
1963年 | 12,100 |
-3.2% ↓
|
1962年 | 12,500 |
-24.7% ↓
|
1961年 | 16,600 | - |
チュニジアのレモン・ライム生産量は、1960年代から現在に至るまでさまざまな要因に左右され、大きな増減の波を経験してきました。例えば、1960年代から1990年代までは比較的低調で、不安定な生産量が続いていました。この背景には、天候の不安定さ、灌漑設備の不足、農業技術の限界などが影響していたと考えられます。また、この期間中の経済の開発段階や農業政策も生産量の伸びを妨げる要因だった可能性があります。
一方で、2000年代に入ると生産量は徐々に増加し始め、2009年には41,800トン、2017年には72,300トンと大幅な成長を見せました。この成長の主な要因として、農業技術の進展や効率的な灌漑システムの導入、政府や国際機関による農家支援が挙げられるでしょう。また、地中海性気候に適応した果樹栽培の普及も一因と考えられます。しかし、2017年のピーク以降、徐々に生産量は減少傾向を示しつつも、50,000~59,000トンの安定した水準に保たれています。
最近の生産量を安定的に保っている要因として挙げられるのが、技術革新や国の政策支援に加え、輸出市場の需要による影響です。特にEU諸国市場における需要の高まりは、チュニジアの農家にとって大きなプラス要因となっています。しかし、天候変動や地中海地域での干ばつ問題が生産量を依然として脅かしています。また、新型コロナウイルスによる物流の停滞も、最近の生産・流通に悪影響を及ぼしました。
将来的な課題としては、まず気候変動への適応が挙げられます。チュニジアのレモン・ライム生産は、水資源や適切な気象条件に依存しているため、干ばつや高温に対応できる耐性を持つ品種の導入が急務です。さらに、水資源の有効利用のための灌漑システムのさらなる改善も重要です。そして、これらの基盤的な取り組みに加えて、政府が農家を経済的に支援することで、果樹園の管理や新技術の導入が図られるべきです。
地域的な地政学的影響についても注目する必要があります。例えば、地中海地域は農業用水を巡る国際的な対立が発生する可能性があり、その影響は食品供給チェーン全体に波及することが予測されます。特に近隣諸国との農業協力体制を強化し、リスクを分散する取り組みが効果的と考えられます。また、サプライチェーンの多様化によって、突発的な国際物流問題への対応力を高めることが提案されます。
結論として、チュニジアのレモン・ライム生産の推移は、国内の農業の成長と課題への取り組みを象徴する重要な指標です。技術革新や政策支援の継続的な強化が、今後の生産量の維持と拡大に寄与することは間違いありません。同時に、気候変動への対策と地域的な協力体制の構築が、この産業の持続可能性を確保する鍵となるでしょう。