国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、2023年のチュニジアにおけるアーモンド生産量は70,939トンです。1961年の5,800トンから始まり、この60年以上でおよそ12倍にまで成長しています。生産量は年ごとに変動があるものの、2000年代以降全体的に増加傾向が続いています。特に、2012年以降の生産量は概ね高い水準を維持しており、安定的な成長を示しています。
チュニジアのアーモンド生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 70,939 |
1.34% ↑
|
2022年 | 70,000 |
6.06% ↑
|
2021年 | 66,000 |
6.45% ↑
|
2020年 | 62,000 |
-17.33% ↓
|
2019年 | 75,000 |
10.29% ↑
|
2018年 | 68,000 |
1.49% ↑
|
2017年 | 67,000 |
9.84% ↑
|
2016年 | 61,000 |
-13.48% ↓
|
2015年 | 70,500 |
5.22% ↑
|
2014年 | 67,000 |
28.85% ↑
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2013年 | 52,000 |
-25.71% ↓
|
2012年 | 70,000 |
14.75% ↑
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2011年 | 61,000 |
17.31% ↑
|
2010年 | 52,000 |
-13.33% ↓
|
2009年 | 60,000 |
16.5% ↑
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2008年 | 51,500 |
-11.21% ↓
|
2007年 | 58,000 |
3.57% ↑
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2006年 | 56,000 |
30.23% ↑
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2005年 | 43,000 |
-2.27% ↓
|
2004年 | 44,000 |
22.22% ↑
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2003年 | 36,000 |
100% ↑
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2002年 | 18,000 |
-43.75% ↓
|
2001年 | 32,000 |
-46.67% ↓
|
2000年 | 60,000 |
3.45% ↑
|
1999年 | 58,000 |
-1.19% ↓
|
1998年 | 58,700 |
15.1% ↑
|
1997年 | 51,000 |
21.43% ↑
|
1996年 | 42,000 |
20% ↑
|
1995年 | 35,000 |
-32.69% ↓
|
1994年 | 52,000 |
10.64% ↑
|
1993年 | 47,000 |
4.44% ↑
|
1992年 | 45,000 |
12.5% ↑
|
1991年 | 40,000 |
-23.37% ↓
|
1990年 | 52,200 |
49.14% ↑
|
1989年 | 35,000 |
16.67% ↑
|
1988年 | 30,000 |
-34.78% ↓
|
1987年 | 46,000 |
9.52% ↑
|
1986年 | 42,000 |
-17.65% ↓
|
1985年 | 51,000 |
21.43% ↑
|
1984年 | 42,000 |
13.51% ↑
|
1983年 | 37,000 |
23.33% ↑
|
1982年 | 30,000 |
-14.29% ↓
|
1981年 | 35,000 |
-5.41% ↓
|
1980年 | 37,000 |
23.33% ↑
|
1979年 | 30,000 |
-14.29% ↓
|
1978年 | 35,000 |
34.62% ↑
|
1977年 | 26,000 |
9.7% ↑
|
1976年 | 23,700 |
-2.07% ↓
|
1975年 | 24,200 |
6.61% ↑
|
1974年 | 22,700 |
13.5% ↑
|
1973年 | 20,000 |
33.33% ↑
|
1972年 | 15,000 |
15.38% ↑
|
1971年 | 13,000 |
23.81% ↑
|
1970年 | 10,500 |
72.13% ↑
|
1969年 | 6,100 |
-50.41% ↓
|
1968年 | 12,300 |
59.74% ↑
|
1967年 | 7,700 |
-21.43% ↓
|
1966年 | 9,800 |
22.5% ↑
|
1965年 | 8,000 |
12.68% ↑
|
1964年 | 7,100 |
22.41% ↑
|
1963年 | 5,800 |
-13.43% ↓
|
1962年 | 6,700 |
15.52% ↑
|
1961年 | 5,800 | - |
チュニジアのアーモンド生産量の推移を見ると、いくつかの重要なトレンドと課題が浮かび上がってきます。まず歴史的に見て、1960年代から1980年代にかけて生産量が徐々に増加し、地域農業の発展にともなって安定した成長基調が確立されました。アーモンドはチュニジアの農業にとって重要な作物のひとつであり、その栽培は乾燥気候に適応した効率的な農業手法によるものと考えられます。特に、1973年以降生産量が一時的に20,000トン台を上回るようになり、1980年代には収穫量が50,000トンに近づく大きな成長を遂げました。
2000年代に入ると、気候変動や水不足、土壌の乾燥化などの影響が顕在化し、生産量に一定の変動が見られるようになります。最も顕著なのは2002年の18,000トンという大幅な減少で、これは例外的に低い数値として記録されています。その後は持ち直し、2012年には70,000トンを初めて超え、ここ10年間では比較的高い水準で推移しています。このような回復の背景には、農業技術の改善や農地利用の最適化が挙げられます。
生産量の年間推移には天候要因も大きく関係しています。チュニジアは乾燥地帯の特徴を持つため、降雨量や水資源の利用効率が直接的にアーモンドの収穫量に影響を及ぼします。こうした状況の下、将来の課題として、気候変動への適応と持続可能な灌漑システムの整備が挙げられます。また、収穫期における自然災害の影響を最小限に抑えるための早期警報システムの導入も重要と考えられます。
一方で、チュニジアはアフリカ北部の地理的利点を生かし、輸出市場において競争力を高める可能性を持っています。アーモンドは国際市場で需要が高い作物であり、特に欧州諸国では健康志向の広がりに伴い、その消費量が増加しています。スペインやアメリカ、オーストラリアといった主要生産国と競争するためには、生産の品質向上だけでなく、物流インフラの改善も不可欠です。
地政学的背景においては、チュニジア周辺地域の政治的安定性や貿易経路の安全確保が重要です。不安定な状況が続くと輸出活動に影響が及び、収益性の低下を招く可能性もあります。そのため地域連携を強化し、国際的な協力の枠組みを構築することが望まれます。
結論として、チュニジアのアーモンド生産は過去数十年間の持続的な成長に加え、今後も輸出市場を含む更なる成長の余地があると考えられます。そのためには、気候変動などのリスクを考慮しつつ、持続可能な農業技術の導入や水資源の効率的な管理を進めることが鍵となります。同時に、輸出戦略を強化し、地域および国際市場での地位を高めるための支援政策を導入する必要があります。