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チュニジアのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年に更新した最新データによると、チュニジアのオリーブ油生産量は年ごとに大きな変動が見られます。2020年には399,900トンとピークを迎えましたが、その後は減少傾向となり、2021年には144,200トンまで低下しました。この変動幅には、気候条件や生産体制、経済的要素が深く関わっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 144,200
-63.94% ↓
2020年 399,900
66.97% ↑
2019年 239,500
-13.94% ↓
2018年 278,300
47.56% ↑
2017年 188,600
33.95% ↑
2016年 140,800
-53.28% ↓
2015年 301,400
67.72% ↑
2014年 179,700
-4.67% ↓
2013年 188,500
-2.13% ↓
2012年 192,600
71.35% ↑
2011年 112,400
-35.62% ↓
2010年 174,600
16.4% ↑
2009年 150,000
-6.25% ↓
2008年 160,000
-20% ↓
2007年 200,000
11.11% ↑
2006年 180,000
-14.29% ↓
2005年 210,000
61.54% ↑
2004年 130,000
-53.57% ↓
2003年 280,000
288.89% ↑
2002年 72,000
140% ↑
2001年 30,000
-73.91% ↓
2000年 115,000
-48.89% ↓
1999年 225,000
25% ↑
1998年 180,000
100% ↑
1997年 90,000
-70.97% ↓
1996年 310,000
416.67% ↑
1995年 60,000
-14.29% ↓
1994年 70,000
-66.67% ↓
1993年 210,000
75% ↑
1992年 120,000
-54.72% ↓
1991年 265,000
60.61% ↑
1990年 165,000
26.92% ↑
1989年 130,000
124.14% ↑
1988年 58,000
-38.95% ↓
1987年 95,000
-20.83% ↓
1986年 120,000
14.29% ↑
1985年 105,000
10.53% ↑
1984年 95,000
-36.67% ↓
1983年 150,000
172.73% ↑
1982年 55,000
-21.43% ↓
1981年 70,000
-39.13% ↓
1980年 115,000
35.29% ↑
1979年 85,000 -
1978年 85,000
-34.62% ↓
1977年 130,000
52.94% ↑
1976年 85,000
-52.78% ↓
1975年 180,000
53.85% ↑
1974年 117,000
-10% ↓
1973年 130,000
85.71% ↑
1972年 70,000
-58.08% ↓
1971年 167,000
85.56% ↑
1970年 90,000
260% ↑
1969年 25,000
-54.55% ↓
1968年 55,000
7.84% ↑
1967年 51,000
161.54% ↑
1966年 19,500
-59.16% ↓
1965年 47,750
-54.88% ↓
1964年 105,840
5.76% ↑
1963年 100,076
101.89% ↑
1962年 49,570
32.08% ↑
1961年 37,530 -

チュニジアのオリーブ油生産量推移を見ると、長期的には増加の傾向が伺えますが、年度ごとの差は極めて大きく、一定のパターンが存在しない不安定な状況が浮き彫りになっています。特に、2020年の399,900トンという高い生産量は目覚ましいものの、その直後の2021年には144,200トンまで急減しました。これは、オリーブ油生産が単一の要素だけでなく、多くの内外的な要因に依存していることを示しています。

まず、気候変動の影響が挙げられます。オリーブは乾燥地帯に適応する果樹ですが、急激な気温変化や降水パターンの乱れは収穫量に深刻な影響を与えます。チュニジアは地中海性気候の恩恵を受けていますが、近年の異常気象によって収穫量が不安定になっている可能性があります。また、持続的な水資源の確保はこの地域特有の重要課題であり、地中海地域の他国(例:イタリアやスペイン)も同様の課題に直面しています。

次に、2020年の記録的な生産量には、一部で豊作年が循環的に訪れる現象が背景にあると考えられます。これは「隔年結果」という現象で、オリーブの木が多収穫の年と低収穫の年を交互に迎える傾向を持つことを指します。この現象は管理技術が改善されることである程度緩和することが可能ですが、資金や技術の投入が必要です。

さらに、経済状況や政策も重要な見地です。チュニジアにおいてオリーブ油は主要な輸出品であり、国内経済や国際貿易戦略に大きな影響を与える品目です。特に欧州連合(EU)市場への輸出依存度が高いことから、関税政策や国際価格変動の影響を受けやすい状況です。この点においては、アメリカや中国のように国際市場での競争力を高めるため、さらなる品質向上やブランド価値の確立が求められています。

また、新型コロナウイルスの影響も無視できません。パンデミック期間中、物流の遅延や需要の変化が輸出に打撃を与えた可能性があります。この時期には国際市場そのものが不安定であったため、チュニジアのオリーブ油産業も影響を受けたことが想定されます。

未来への具体的な提言として、まず気候変動に対応するための農業技術の改良が挙げられます。例えば、耐乾性に優れたオリーブ品種の育成や、効率的な灌漑技術を導入することで、気候変動の影響を緩和できます。さらに、農業の収益性を高めるため、生産から輸出までのバリューチェーン全体を改善し、品質管理やマーケティングに重点を置くことが重要です。また、国内市場の拡大やEU以外の新たな輸出市場の開拓も進めるべきです。

チュニジアのオリーブ油は質が高く、国際市場でも評価されていますが、供給の安定性という課題があります。これを克服するためには、公共・民間セクターが協力する長期的な戦略が必要です。特に、地域協力の強化や国連機関を活用した技術支援、資金援助の取り組みも推進すべきです。

結論として、チュニジアのオリーブ油生産量推移はポテンシャルと課題の両面を浮き彫りにしています。この産業はチュニジアの経済にとって必要不可欠ですが、外部要因に依存せず持続可能性を重視した対策が望まれます。