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チュニジアのトマト生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organizationが発表した最新データによると、チュニジアのトマト生産量は、1961年の58,200トンから2022年の1,160,000トンまで大幅に増加しています。特に2000年代以降、年による変動はあるものの、全般的に拡大傾向が続いています。近年では2019年に過去最高の1,534,000トンを記録しましたが、2022年には1,160,000トンとやや減少しています。この長期的なトレンドは、農業技術の向上や政策支援の成果を反映している一方、短期的な変動は天候や経済的要因に影響されていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,287,545
11% ↑
2022年 1,160,000
-20.55% ↓
2021年 1,460,000
2.6% ↑
2020年 1,423,000
-7.24% ↓
2019年 1,534,000
29.23% ↑
2018年 1,187,000
-2.63% ↓
2017年 1,219,000
-8.28% ↓
2016年 1,329,000
-1.56% ↓
2015年 1,350,000
8% ↑
2014年 1,250,000
23.4% ↑
2013年 1,013,000
-25.35% ↓
2012年 1,357,000
5.69% ↑
2011年 1,284,000
-0.93% ↓
2010年 1,296,000
14.19% ↑
2009年 1,135,000
-5.42% ↓
2008年 1,200,000
16.5% ↑
2007年 1,030,000
20.47% ↑
2006年 855,000
-10.94% ↓
2005年 960,000
-1.03% ↓
2004年 970,000
10.23% ↑
2003年 880,000
8.64% ↑
2002年 810,000
8% ↑
2001年 750,000
-21.05% ↓
2000年 950,000
2.15% ↑
1999年 930,000
40.27% ↑
1998年 663,000
32.6% ↑
1997年 500,000
-28.57% ↓
1996年 700,000
20.69% ↑
1995年 580,000
20.83% ↑
1994年 480,000
14.29% ↑
1993年 420,000
-23.64% ↓
1992年 550,000
-5.17% ↓
1991年 580,000
9.43% ↑
1990年 530,000
20.45% ↑
1989年 440,000
10% ↑
1988年 400,000
-17.53% ↓
1987年 485,000
15.48% ↑
1986年 420,000 -
1985年 420,000
-2.33% ↓
1984年 430,000
19.44% ↑
1983年 360,000
38.46% ↑
1982年 260,000
-31.58% ↓
1981年 380,000
35.71% ↑
1980年 280,000 -
1979年 280,000
7.69% ↑
1978年 260,000
-18.75% ↓
1977年 320,000
28% ↑
1976年 250,000
-3.85% ↓
1975年 260,000
9.24% ↑
1974年 238,000
4.85% ↑
1973年 227,000
28.25% ↑
1972年 177,000
9.6% ↑
1971年 161,500
-2.12% ↓
1970年 165,000
7.84% ↑
1969年 153,000
61.05% ↑
1968年 95,000
-18.8% ↓
1967年 117,000
-21.84% ↓
1966年 149,700
11.97% ↑
1965年 133,700
31.08% ↑
1964年 102,000
9.8% ↑
1963年 92,900
-0.11% ↓
1962年 93,000
59.79% ↑
1961年 58,200 -

チュニジアのトマト生産は、この60年余りで目覚ましい成長を遂げています。1961年に58,200トンだった生産量は、農業の近代化とともに1970年代には平均で20万トンを上回り、2000年代初頭には50万トンを超える水準に達しました。この成長は、灌漑技術の普及、新しい栽培品種の導入、国内外市場向けの生産拡大が大きく寄与していると考えられます。特に2007年以降、チュニジアのトマト生産量は一時100万トンを超え、その後も年間生産量が概ね100万トン以上を維持しています。

長期的な増加傾向の背景には、チュニジア政府による農業政策の支援や、トマト加工品市場の拡大が挙げられます。トマトは国内消費のみならず、加工食品としての輸出産業にも重要な役割を果たしており、これが生産の「持続的な増加」を押し上げる要因となっていると見られます。また、気候条件が比較的穏やかであることも、重要な要因の一つです。

一方で、データは生産量が不規則な変動を見せることも示しています。1997年や2001年には急激な減少が見られ、最近では2022年に1,160,000トンとここ数年の平均を下回る数字となっています。これらの減少には、干ばつや洪水などの自然災害、経済的不安定性、あるいは地政学的問題が影響している可能性があります。特にチュニジアは地中海地域に位置し、気候変動の影響を受けやすい国の一つとして知られています。干ばつや異常気象は灌漑水の確保に課題をもたらし、収穫量の変動をさらに増幅させる原因となっています。

また、国際市場への依存も一因と言えるでしょう。特に欧州市場への輸出依存度が高いため、輸出条件や貿易摩擦が生産体制に直面するリスクを増やしています。さらに、国内の農業従事者の高齢化や就業者の減少は、持続可能な生産体制を支える上で深刻な課題となる可能性があります。

これらの問題に対処するためには、まず水資源管理のさらなる効率化が必要です。例えば、ドリップ灌漑システムの普及拡大や新しい水再利用技術の導入は、自然災害の影響を軽減する手段となりえます。さらに、気候変動への適応策として、干ばつに強い新品種の開発が重要です。また、地域の農業従事者を育成し、新しい世代が農業に参入しやすい環境を整えるための政策も求められます。

国際的には、チュニジアが安定した輸出収益を確保するには、多角化した市場戦略が必要です。特にアフリカや中東市場への輸出を強化することで、欧州依存のリスクを軽減することができます。さらに、地政学的リスクが生産や貿易に与える影響を軽減するため、地域間協力を強化し、災害時の緊急対応や技術共有の枠組みを構築することも重要です。

結論として、チュニジアのトマト生産量の長期的な増加は顕著ですが、それを持続可能なものとするためには、直面するリスクに対処し、政策や技術の両面で適切な対応が必要です。特に気候変動や灌漑水管理の課題への対応は喫緊の課題であり、国内外の協力を通じて安定した生産と輸出体制を確立することが求められます。