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チュニジアのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、チュニジアのニンジン・カブ類の生産量は長期的に増加傾向を示しています。1961年の23,000トンから2000年代初頭にかけて緩やかに増加し、その後2012年から急激に成長し、2023年には209,147トンという高い生産量を記録しています。この大幅な増加には農業技術の発展や政策的支援が起因していると考えられます。また、データからは2010年代以降に生産量が横ばいとなっていることも確認され、停滞の要因と未来への課題も浮かび上がります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 209,147
-0.52% ↓
2022年 210,238
0.15% ↑
2021年 209,923
-0.01% ↓
2020年 209,940
-0.43% ↓
2019年 210,852
0.9% ↑
2018年 208,976
-0.48% ↓
2017年 209,992
-1.68% ↓
2016年 213,586
-2.16% ↓
2015年 218,293
-1% ↓
2014年 220,500
-0.5% ↓
2013年 221,600
9.49% ↑
2012年 202,400
233.7% ↑
2011年 60,654
6.6% ↑
2010年 56,900
-30.95% ↓
2009年 82,400
2.74% ↑
2008年 80,200
8.82% ↑
2007年 73,700
0.96% ↑
2006年 73,000
5.8% ↑
2005年 69,000
-0.72% ↓
2004年 69,500
1.16% ↑
2003年 68,700
9.74% ↑
2002年 62,600
-2.64% ↓
2001年 64,300
5.41% ↑
2000年 61,000
3.39% ↑
1999年 59,000
9.26% ↑
1998年 54,000
2.86% ↑
1997年 52,500
2.94% ↑
1996年 51,000
3.03% ↑
1995年 49,500
3.13% ↑
1994年 48,000
2.13% ↑
1993年 47,000 -
1992年 47,000
5.62% ↑
1991年 44,500
11.25% ↑
1990年 40,000
-21.1% ↓
1989年 50,700
-3.98% ↓
1988年 52,800
20.27% ↑
1987年 43,900
0.92% ↑
1986年 43,500
33.03% ↑
1985年 32,700
-13.95% ↓
1984年 38,000
1.6% ↑
1983年 37,400
10.98% ↑
1982年 33,700
-3.16% ↓
1981年 34,800
-2.25% ↓
1980年 35,600
1.71% ↑
1979年 35,000
12.9% ↑
1978年 31,000
10.71% ↑
1977年 28,000
-3.45% ↓
1976年 29,000
5.07% ↑
1975年 27,600
10.4% ↑
1974年 25,000
3.31% ↑
1973年 24,200
-12.32% ↓
1972年 27,600
-0.36% ↓
1971年 27,700
12.6% ↑
1970年 24,600
4.68% ↑
1969年 23,500
-11.65% ↓
1968年 26,600
-19.88% ↓
1967年 33,200
31.75% ↑
1966年 25,200
27.27% ↑
1965年 19,800
-5.26% ↓
1964年 20,900
-16.4% ↓
1963年 25,000
13.64% ↑
1962年 22,000
-4.35% ↓
1961年 23,000 -

1961年から2023年までのチュニジアのニンジン・カブ類の生産量推移を見ると、全体的にはかなり安定した増加傾向が見て取れます。特に、1961年から1980年代にかけては、増加速度はそれほど高くなく、気象条件や農業インフラの不足がその背景にある可能性があります。この時期、最も低い生産量を記録したのは1965年の19,800トンでしたが、その後の技術の改良や耕作地の拡大によって徐々に生産が改善されています。

1980年代後半から1990年代は、より顕著な成長が見られる時期となっています。この時期、平均的な増加傾向が観測されるとともに、1998年以降の50,000トン以上という数値は、チュニジアの農業基盤が強化されたことを示しています。さらに、2008年以降の80,000トンを超える生産量は、効率的な灌漑技術の拡大や、品種改良による収量向上が影響していると推測されます。

2012年には、生産量が202,400トンと急増し、その後2013年以降は200,000トン以上を維持する新たなフェーズへと移行しました。この変化は、政府主導の農業改革プログラムや気候変動に対応する新たな栽培方法の導入が主な要因と考えられます。しかし、注目すべきは2018年以降の期間で、生産量がほぼ横ばい、またはわずかな減少を示しています。これには、土地の過剰利用による土壌の劣化、気候変動の進行、農村部の労働力減少といった課題が影響している可能性があります。

また、チュニジアの地政学的背景を考慮すると、国際市場の需要に応じた作物の輸出大国としての役割も増しています。特にヨーロッパや中東諸国との貿易が活発化しており、これが農業部門の成長を支えています。一方で、こうした輸出中心の農業モデルは、国内消費向けの供給不足や小規模農家の競争力低下を引き起こすリスクを伴います。

将来的には、以下のような具体的な政策や対策が求められます。まず、土壌の保全と持続可能な農業を推進する法律の整備が重要です。これには、輪作の導入や農薬・化学肥料の使用基準の厳格化が含まれます。また、若年労働者を農村部に引き込むためのインセンティブ策の導入も検討すべきです。さらに、気候変動への適応を目的とした研究資金の増加が、生産量の安定化に寄与するでしょう。

さらに、自然災害や地域衝突が与える影響についても留意すべきです。特に2020年代の新型コロナウイルスの影響により、一時的に物流網への圧力がかかりましたが、大規模な生産減少は回避されました。この経験をもとに、パンデミックへの備えを強化するための農産物の供給チェーンの改善が課題として浮上しています。地中海地域では水資源の利用競争が激化することが予測されるため、近隣諸国と連携した水管理政策も重要なテーマです。

結論として、データはチュニジアが過去数十年間でニンジン・カブ類生産を大きく向上させた一方で、現在直面している課題をも浮き彫りにしています。持続可能な農業の実現と気候変動への適応策を積極的に講じることで、国際市場での競争力を維持しつつ、国内の食料安全保障を強化することが必要です。