国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データによると、チュニジアのキウイフルーツの生産量は、2000年から2023年にかけて全体的に増加している傾向が見られます。2000年から2006年までは安定して25トンまたはそれ以下の水準で推移していました。2008年以降に30トンを超える年が現れ、2012年からは安定的に30トン台を維持しています。2023年には35トンと、2000年と比べて40%増の伸びを記録しました。
チュニジアのキウイフルーツ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 35 |
1.46% ↑
|
2022年 | 34 |
-0.35% ↓
|
2021年 | 34 |
0.23% ↑
|
2020年 | 34 |
0.59% ↑
|
2019年 | 34 |
-1.81% ↓
|
2018年 | 35 |
1.93% ↑
|
2017年 | 34 |
1.7% ↑
|
2016年 | 34 |
2.07% ↑
|
2015年 | 33 |
2.05% ↑
|
2014年 | 32 |
1.45% ↑
|
2013年 | 32 |
-6.59% ↓
|
2012年 | 34 |
16.24% ↑
|
2011年 | 29 |
-0.95% ↓
|
2010年 | 30 |
24.08% ↑
|
2009年 | 24 |
-20.53% ↓
|
2008年 | 30 |
24.17% ↑
|
2007年 | 24 |
-0.66% ↓
|
2006年 | 24 |
-0.61% ↓
|
2005年 | 24 |
-0.57% ↓
|
2004年 | 25 |
-0.53% ↓
|
2003年 | 25 |
-1.2% ↓
|
2002年 | 25 |
0.4% ↑
|
2001年 | 25 |
-0.4% ↓
|
2000年 | 25 | - |
チュニジアにおけるキウイフルーツ生産量の推移を見ると、2000年から2007年まではほぼ安定しており、生産量に大きな変動はありませんでした。この期間、平均生産量は25トン程度にとどまり、他国と比べると小規模な生産地域であることがわかります。しかし、2008年に初めて30トンを達成し、それ以降のデータでは生産量が徐々に増加しています。特に2012年以降は30トン台を維持し、2023年には35トンまで拡大しました。これには、気候条件や農業技術の向上の他、品質を重視した栽培技術へのシフトの影響が考えられます。
また、世界的な生産量と比較すると、チュニジアのキウイフルーツ生産は依然として非常に小規模です。たとえば、中国は世界最大のキウイフルーツ生産国で、年間200万トン以上を誇り、その規模感は桁違いです。また、ヨーロッパ主要国であるイタリアやギリシャと比べても1万分の1以下の規模にとどまっています。このため、チュニジアのキウイフルーツは基本的に国内消費向けであり、輸出志向型の作物とはなっていません。
地政学的背景や自然条件についても考慮する必要があります。チュニジアは地中海沿岸に位置し、比較的温暖な気候を持っていますが、キウイフルーツの栽培には冬の冷涼な温度と適切な降水量が欠かせません。そのため、国内の栽培地は限定的であり、特定の地域のみでの生産に依存している可能性があります。このような気候の制約は、生産量が一定以上伸びない要因の一つと考えられます。
さらに、2020年以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について触れると、労働力不足や物流の停滞による農業生産の減退が世界的な課題でしたが、チュニジアのキウイフルーツ生産量には大きな影響が見られませんでした。これも、生産が小規模であることや国内需要を主とした安定した経済活動における特徴を示していると考えられます。
課題として挙げられるのは、農業インフラの改善と灌漑技術の向上です。チュニジアの農業全般では水資源の制約が重要な課題となっており、気候変動による干ばつのリスクも無視できません。これに対応するためには、農業政策のなかで効率的な水の管理と新たな技術導入が必須となります。また、国内外の農産物市場へのアプローチを強化することも必要です。チュニジア特産のキウイフルーツとしてブランド化し、輸出市場を目指すことで農業収益を高める可能性が考えられます。
今後の方向性としては、まずは安定的な生産量の維持を基盤にした品質向上を図ることが重要です。また、地中海地域における農業協力の枠組みを活用し、地域間技術交流を通じてより効率的な農業生産体制を構築することも提案されます。さらに、国際連合や地域団体と連携した食糧支援プロジェクトを積極的に推進することで、国内農業の発展に向けた長期的な基盤を強化することが可能です。
結論として、チュニジアのキウイフルーツ生産量は小規模ながらも着実に増加しており、今後さらに発展する可能性を秘めています。しかし、気候条件や水資源の制約に対応するための具体的な農業政策と技術導入が必要不可欠です。長期的には品質向上とブランド戦略を通じて、地域農業の競争力を高めることが求められます。