Food and Agriculture Organization(FAO)が発表した最新データによると、チュニジアのキャベツ生産量は、1960年代から現在に至るまで大きな変動を経つつも、全体的には着実な増加傾向を示しています。特に2000年代以降、生産量は顕著に増加し、2010年代後半から2020年代にかけて約30,000トン前後で安定しています。この増加の背景には、農業技術の進展や需要増加が関与していると考えられます。
チュニジアのキャベツ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 30,167 |
2021年 | 30,205 |
2020年 | 30,197 |
2019年 | 30,099 |
2018年 | 30,318 |
2017年 | 30,175 |
2016年 | 29,802 |
2015年 | 30,977 |
2014年 | 29,746 |
2013年 | 28,684 |
2012年 | 27,309 |
2011年 | 22,736 |
2010年 | 26,500 |
2009年 | 25,400 |
2008年 | 23,600 |
2007年 | 26,200 |
2006年 | 19,000 |
2005年 | 18,800 |
2004年 | 18,200 |
2003年 | 12,000 |
2002年 | 13,900 |
2001年 | 15,700 |
2000年 | 11,700 |
1999年 | 12,000 |
1998年 | 9,000 |
1997年 | 13,000 |
1996年 | 9,000 |
1995年 | 7,500 |
1994年 | 7,000 |
1993年 | 6,000 |
1992年 | 6,000 |
1991年 | 5,000 |
1990年 | 5,000 |
1989年 | 6,500 |
1988年 | 6,200 |
1987年 | 6,100 |
1986年 | 4,500 |
1985年 | 5,400 |
1984年 | 6,400 |
1983年 | 5,500 |
1982年 | 5,500 |
1981年 | 5,200 |
1980年 | 5,400 |
1979年 | 5,700 |
1978年 | 6,700 |
1977年 | 6,500 |
1976年 | 6,400 |
1975年 | 5,000 |
1974年 | 4,500 |
1973年 | 3,300 |
1972年 | 3,900 |
1971年 | 3,350 |
1970年 | 3,700 |
1969年 | 3,700 |
1968年 | 3,700 |
1967年 | 3,700 |
1966年 | 3,100 |
1965年 | 4,300 |
1964年 | 3,300 |
1963年 | 4,400 |
1962年 | 3,500 |
1961年 | 3,550 |
チュニジアのキャベツ生産量は、1961年の3,550トンから始まりました。その後1970年代以降、5,000トンを超え徐々に増加する傾向が見られましたが、1970年代初めから1980年代半ばにかけては生産量が安定せず、年によって4,000トン台から6,000トン台を行き来している状況でした。これは当時の農業の不安定な基盤、気候変動への脆弱性、そして限られた農業資源による影響を反映していると考えられます。
しかし、1990年代には生産量が飛躍的に増加する傾向が見られ、1997年には13,000トンに達しました。これは、それ以前と比較して二倍以上の生産量を記録しており、農業政策の改善や農家への技術支援が生産性向上に寄与したと考えられます。さらに2000年代前半には15,000トンを超え、2004年には18,200トンへ、そして2007年には26,200トンへと急増し、ここで大幅な成長期を迎えています。この間、灌漑設備の向上や種子の改良、需要増加による市場拡大がこれを支えた要因と考えられます。
2010年代に入ると、生産量はさらに強固な安定期を迎えます。2012年に27,309トン、2014年には29,746トンを記録し、2018年から2022年にかけての5年間では約30,000トン前後でほぼ安定しました。この期間の安定は、農業技術が成熟期に達したことを示唆しています。ただし、この安定傾向が続く一方で、新たな成長を妨げるいくつかの課題も浮かび上がっています。
課題としては、まずチュニジア特有の地中海性気候が近年の気候変動によって影響を受けやすい点が挙げられます。雨量不足や高温化は農作物に悪影響を及ぼすほか、水資源の競争激化も懸念されています。さらに、キャベツに対する国際市場での需要と供給のバランスが崩れると、収益性が下がる危険性も存在します。
これを受けて、今後取るべき具体的な対策として、まずは気候変動の影響を軽減するための気候適応型農業技術の導入が推奨されます。例えば、乾燥地でも利用可能な耐旱性品種の研究や、省水型灌漑技術の普及が重要です。また、地元農家が市場の需要動向を適切に把握できるよう、デジタル技術を活用した情報共有基盤の整備も急務となります。さらに、キャベツ以外の農作物との輪作を活用し、土壌の肥沃度維持を図ることも長期的にキャベツ生産を持続可能にする戦略の一つです。
地政学的な背景として、チュニジアは北アフリカの中心国に位置しており、欧州や中東との貿易関係が深い地域です。このため、近年のウクライナ情勢やエネルギー価格の高騰が肥料や農業資材調達に与える影響を無視することはできません。また、砂漠化の進行による耕地面積の減少も長期的なリスクとして考慮される必要があります。
結論として、チュニジアのキャベツ生産量は持続可能な成長を遂げており、ここ数年にわたる安定は農業技術の進展を象徴しています。しかし、気候変動や国際市場の変化による潜在的なリスクに備えるため、持続可能な農業モデルの構築が不可欠です。国や国際機関は、この安定基盤を活かし、チュニジア農業の強化と地域の食料安全保障の確保に向けたさらなる支援を行うべきです。