国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、チュニジアにおけるカリフラワーとブロッコリーの生産量は、1961年に2,100トンから始まり、長期的にはアップダウンを繰り返しながらも増加傾向を示しています。ピークは2011年の20,964トンで、その後の数年間に急減が見られたものの、2015年以降は概ね10,000トン台で推移しています。ただし、2023年の10,384トンはわずかな減少を示しています。
チュニジアのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 10,384 |
-4.73% ↓
|
2022年 | 10,899 |
-0.85% ↓
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2021年 | 10,993 |
-0.45% ↓
|
2020年 | 11,043 |
6.88% ↑
|
2019年 | 10,332 |
-2.19% ↓
|
2018年 | 10,563 |
12.88% ↑
|
2017年 | 9,358 |
-15.5% ↓
|
2016年 | 11,074 |
-1.63% ↓
|
2015年 | 11,257 |
96.02% ↑
|
2014年 | 5,743 |
-64.6% ↓
|
2013年 | 16,222 |
7.77% ↑
|
2012年 | 15,053 |
-28.2% ↓
|
2011年 | 20,964 |
67.71% ↑
|
2010年 | 12,500 |
-4.58% ↓
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2009年 | 13,100 |
6.5% ↑
|
2008年 | 12,300 |
6.96% ↑
|
2007年 | 11,500 |
4.55% ↑
|
2006年 | 11,000 |
10% ↑
|
2005年 | 10,000 |
9.89% ↑
|
2004年 | 9,100 |
51.67% ↑
|
2003年 | 6,000 |
-47.37% ↓
|
2002年 | 11,400 |
80.95% ↑
|
2001年 | 6,300 |
-10% ↓
|
2000年 | 7,000 |
16.67% ↑
|
1999年 | 6,000 | - |
1998年 | 6,000 |
76.47% ↑
|
1997年 | 3,400 |
-32% ↓
|
1996年 | 5,000 | - |
1995年 | 5,000 |
-9.09% ↓
|
1994年 | 5,500 |
-8.33% ↓
|
1993年 | 6,000 |
-7.69% ↓
|
1992年 | 6,500 |
8.33% ↑
|
1991年 | 6,000 |
50% ↑
|
1990年 | 4,000 |
-48.72% ↓
|
1989年 | 7,800 |
27.87% ↑
|
1988年 | 6,100 |
3.39% ↑
|
1987年 | 5,900 | - |
1986年 | 5,900 |
11.32% ↑
|
1985年 | 5,300 |
-11.67% ↓
|
1984年 | 6,000 |
3.45% ↑
|
1983年 | 5,800 |
45% ↑
|
1982年 | 4,000 |
-32.2% ↓
|
1981年 | 5,900 |
37.21% ↑
|
1980年 | 4,300 |
16.22% ↑
|
1979年 | 3,700 |
-32.73% ↓
|
1978年 | 5,500 | - |
1977年 | 5,500 |
-6.78% ↓
|
1976年 | 5,900 |
13.46% ↑
|
1975年 | 5,200 |
-5.45% ↓
|
1974年 | 5,500 |
27.91% ↑
|
1973年 | 4,300 |
10.26% ↑
|
1972年 | 3,900 |
-6.02% ↓
|
1971年 | 4,150 |
16.9% ↑
|
1970年 | 3,550 |
42% ↑
|
1969年 | 2,500 | - |
1968年 | 2,500 |
11.11% ↑
|
1967年 | 2,250 |
2.27% ↑
|
1966年 | 2,200 |
-20% ↓
|
1965年 | 2,750 |
5.77% ↑
|
1964年 | 2,600 |
-10.34% ↓
|
1963年 | 2,900 |
61.11% ↑
|
1962年 | 1,800 |
-14.29% ↓
|
1961年 | 2,100 | - |
チュニジアにおけるカリフラワーとブロッコリーの生産量の推移を見ると、農業生産の進化や外部要因の影響が長期にわたる変動をもたらしていることが分かります。初期の1961年から1975年にかけては緩やかな増加が見られましたが、その後は不安定な変動が続きました。この時期には、気象条件や農業技術の発展、さらには市場需要の変化などが生産量に影響を与えたと考えられます。
注目すべきは、2008年以降の顕著な生産増加です。この背景には、農業の近代化やより効率的な栽培技術の導入があると推測されます。しかし2011年に記録された20,964トンという歴史的なピークの後、2014年には5,743トンまで急減しました。これは、アラブの春の影響による政治的不安定や社会経済の混乱が深刻な影響を及ぼしたと考えられます。その後、安定化が進むにつれて生産量も回復しましたが、20,000トンを超えるレベルには戻らず、現在では10,000トン前後で比較的安定的に推移しています。
他国との比較では、近隣の地中海諸国や農業大国のインド、中国に比べ、チュニジアの生産量は小規模です。例えば、インドではカリフラワーやブロッコリー類の生産量が年間数百万トンに達しており、中国ではさらにそれを上回る規模です。この差は、地理的条件、農業インフラの整備度、栽培技術の普及率などに起因します。
現状の最大の課題は、気候変動による新たなリスクや労働力不足が、現在の生産量維持に影響を及ぼす可能性がある点です。特に、近年の干ばつや極端な気象条件は、チュニジアの農業全般に対して負の影響を与えており、灌漑設備の老朽化や水資源の枯渇も課題として浮上しています。また、国内市場での需要増加だけでなく、国際市場での競争力の強化も喫緊の課題といえるでしょう。
このような状況を改善するには、効率的な生産方法の普及に加え、気候変動に対応した農業技術の導入が必要です。例えば、耐乾性の高い品種の開発・導入や先進的な水管理技術の採用はその一例です。また、輸出競争力を高めるためには、国際的な品質基準の遵守やブランディング戦略も重要です。加えて、小規模農家への補助や技術指導、農業インフラの整備を行うことで、持続可能な生産環境を整備する必要があります。
さらに、地域の地政学的安定と食糧安保の観点から、周辺諸国と協力した農業計画の策定も一案です。紛争のリスクが高まれば、食料輸出や物流が混乱し、地元経済に悪影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを軽減するため、アフリカ連合や地中海地域の国々と共同で農業関連政策を推進する枠組みが求められます。
カリフラワーとブロッコリーは、ビタミンや食物繊維を豊富に含み、健康的な食生活を支える食材として、国内外での需要が今後も期待されます。持続可能な農業政策と市場戦略を適切に実施することで、チュニジアはこの重要な農産物の生産国としての地位をさらに向上させることができるでしょう。