Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2023年度のラズベリー生産量ランキングによると、1位はロシア連邦(219,338トン)、2位はメキシコ(190,412トン)、3位はセルビア(98,674トン)となりました。これら3か国が全体の生産を大きく牽引しており、特にロシアとメキシコは20万トンを超える量を誇ります。一方、アジア諸国やアフリカ諸国のランキングは総じて低く、地域間で大きな格差が見られます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 219,338 |
| 2 |
|
南アメリカ | 190,412 |
| 3 |
|
ヨーロッパ | 98,674 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 96,100 |
| 5 |
|
北アメリカ | 62,640 |
| 6 |
|
アフリカ | 61,182 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 35,660 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 33,540 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 33,070 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 15,953 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 12,080 |
| 12 |
|
南アメリカ | 11,835 |
| 13 |
|
アジア | 11,811 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 7,964 |
| 15 |
|
北アメリカ | 6,720 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 6,670 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 6,300 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 5,660 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 3,637 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 3,210 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 2,750 |
| 22 |
|
アジア | 2,606 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 2,035 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 1,720 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 1,450 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 1,370 |
| 27 |
|
アジア | 1,200 |
| 28 |
|
オセアニア | 647 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 630 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 610 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 550 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 530 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 500 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 430 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 410 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 354 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 160 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 140 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 100 |
| 40 |
|
アフリカ | 98 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 80 |
| 42 |
|
ヨーロッパ | 70 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 40 |
| 44 |
|
アジア | 19 |
| 45 |
|
オセアニア | 15 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 10 |
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2023年度のランキングでは、ロシア連邦が他を大きく引き離してトップとなりました。同国の生産量は219,338トンで、2位のメキシコにおける生産量190,412トンを数万トン上回っています。この結果は、ロシアが近年進めている農業政策の強化、とりわけ気候帯を活かしたラズベリー生産の活性化が功を奏していることを示しています。また、メキシコが2位に位置している要因については、北米市場を主要ターゲットとした商業生産の拡大が背景にあります。
3位以下では、セルビア(98,674トン)やポーランド(96,100トン)といった中央・東欧の国々が目立ちます。これらの地域では、小規模農家による伝統的なラズベリー栽培が根付いている一方で、ヨーロッパ市場に向けた輸出主導型の農業も進行しています。米国(5位)やモロッコ(6位)が中規模生産国として続きますが、これらの国々は主に国内市場や一部の輸出市場をターゲットにしており、生産量の伸びはやや限定的です。同様に、ポルトガルやスペインなど南ヨーロッパの国々もランキング上位に位置しているものの、北部諸国と比べて輸出依存度が異なる点に特色があります。
一方、アジアやオセアニア、アフリカの国々では、ラズベリー生産が全体として非常に限られており、世界市場での存在感はほぼありません。中国やインドのような大国がこのリストに入っていないことは、ラズベリーが気候や市場構造、消費文化的にこれらの国々で広がっていないことを反映しています。この地域間の不均衡は、ラズベリーの地理的条件や需要の集中性、さらには生産技術の発展度の違いを如実に示していると言えます。
課題としては、主要生産国においては気候変動が大きなリスクとして挙げられます。ラズベリーは気温や土壌条件への影響を受けやすい農産物であり、特に湿度条件の変化が収穫量や品質に直結します。この点で、近年の異常気象や水不足が中長期的な課題となることは避けられません。また、紛争地域や地政学的リスクが生産・輸出に与える影響もまた無視できない問題となります。たとえば、ウクライナ(33,540トン)は従来の主要生産国のひとつでしたが、現在の政治的・軍事的状況が生産量にも及ぼしている可能性があります。
さらに、世界全体での需要と供給のバランスについても考慮が必要です。特に、ラズベリーの需要が北米やヨーロッパ地域を中心に高まる一方、地域間の供給格差や市場価格の変動が課題となるでしょう。国際市場への輸出依存度が高い国々では、輸送インフラや保存技術の向上が欠かせません。逆に、国内消費中心の生産国では競争力を高めることが求められます。
未来を見据えた対策としては、主要生産国における気候への適応技術の導入が鍵を握るでしょう。具体的には、高耐性品種の育成や水資源管理の効率化が挙げられます。また、生産国間の連携や技術共有を促進することも有効です。たとえば、ヨーロッパ諸国間での共同研究やアフリカ諸国での支援プロジェクトが考えられます。さらに、消費国においても、需要喚起のためのマーケティング戦略や地産地消の推進を図ることが重要です。
結論として、2023年度のラズベリー生産量ランキングは、主要生産国による集中生産という特徴を明確に示しました。今後、気候変動や地政学リスクに対応するための持続可能な政策が求められます。国際機関や各国政府が協力して、技術革新やインフラ整備を進めることで、地域間格差の是正や生産全体の安定化を実現することが期待されます。