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ノルウェーのラズベリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、ノルウェーのラズベリー生産量は1960年代から高度成長期を迎えた1980年代後半にかけて増加基調が続いてきました。1988年には4,111トンに達し、最も高い生産水準を記録しました。しかし、1990年代に急激な減少期を経た後、2000年代には回復の兆しを見せました。直近2023年では2,035トンを記録し、おおむね安定した生産水準にあるものの、近年は再び減少傾向が続いています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,035
6.94% ↑
2022年 1,903
5.84% ↑
2021年 1,798
-12.8% ↓
2020年 2,062
-13.72% ↓
2019年 2,390
-8.04% ↓
2018年 2,599
-13.19% ↓
2017年 2,994
1.77% ↑
2016年 2,942
3.48% ↑
2015年 2,843
11.93% ↑
2014年 2,540
23.54% ↑
2013年 2,056
-8.01% ↓
2012年 2,235
14.32% ↑
2011年 1,955
-8.82% ↓
2010年 2,144
-37.2% ↓
2009年 3,414
31.71% ↑
2008年 2,592
12.5% ↑
2007年 2,304
-13.25% ↓
2006年 2,656
19.91% ↑
2005年 2,215
22.31% ↑
2004年 1,811
6.4% ↑
2003年 1,702
0.89% ↑
2002年 1,687
20.41% ↑
2001年 1,401
-3.78% ↓
2000年 1,456
17.14% ↑
1999年 1,243
43.2% ↑
1998年 868
-21.16% ↓
1997年 1,101
-3.59% ↓
1996年 1,142
-3.63% ↓
1995年 1,185
-32.56% ↓
1994年 1,757
-0.68% ↓
1993年 1,769
-1.83% ↓
1992年 1,802
15.14% ↑
1991年 1,565
-61.83% ↓
1990年 4,100
2.14% ↑
1989年 4,014
-2.36% ↓
1988年 4,111
29.24% ↑
1987年 3,181
-11.52% ↓
1986年 3,595
4.45% ↑
1985年 3,442
-14.23% ↓
1984年 4,013
17.07% ↑
1983年 3,428
-8.68% ↓
1982年 3,754
32.37% ↑
1981年 2,836
-9.31% ↓
1980年 3,127
2.73% ↑
1979年 3,044
10.49% ↑
1978年 2,755
-13.69% ↓
1977年 3,192
50.42% ↑
1976年 2,122
-23.59% ↓
1975年 2,777
16.1% ↑
1974年 2,392
-18.25% ↓
1973年 2,926
17.75% ↑
1972年 2,485
-8.37% ↓
1971年 2,712
12.72% ↑
1970年 2,406
1.6% ↑
1969年 2,368
-0.71% ↓
1968年 2,385
11.5% ↑
1967年 2,139
-0.93% ↓
1966年 2,159
9.54% ↑
1965年 1,971
7.53% ↑
1964年 1,833
-6.67% ↓
1963年 1,964
8.51% ↑
1962年 1,810
-8.68% ↓
1961年 1,982 -

ノルウェーのラズベリー生産量推移を見ると、いくつかの特徴的な変動が際立っています。1960年代から1980年代半ばにかけて、増産傾向が明らかであり、とくに1980年代になると3,000トンを超える年が続きました。この時期は農業技術の向上や市場需要の影響が生産量を押し上げたと見られます。特に1988年の4,111トンはノルウェーのラズベリー農業のピークを象徴する数値といえます。

しかし、1990年代に入ると、生産量が急激に減少し、2000年以降も2,000トン前後を上下する低水準が続きました。1995年の1,185トンまで落ち込んだ原因としては、政府の農業補助政策の変更や輸入品との競争、地球温暖化による気候変動の影響が挙げられます。さらに、消費者の嗜好の変化や国内市場での需要減少も背景として考えられます。また、ラズベリーの栽培は繊細な管理を要するスキルを必要とするため、担い手不足や農業従事者の高齢化も影響した可能性が高いです。

2000年代に入ると、国内の農業支援政策と技術革新により生産量は持ち直し、2009年の3,414トンなど一時的な増加も見られました。しかし、それ以降の変動幅が小さく、2010年代後半から再び下降傾向が続いています。これは、ノルウェー特有の寒冷な気候条件が温暖化の影響で変化し、作付け時期の調整や病害虫対策が難しくなっていることと関連があると考えられます。

また、地政学的リスクや近年の新型コロナウイルス感染症による供給網の混乱も、ラズベリー農家の経済的安定性に影響を及ぼしました。人手不足や輸送の遅れが顕著になり、生産と流通の両面で課題が山積しています。他国との比較では、特にアメリカやオランダといった農業技術の高度化が進む国々が、ラズベリーの主要輸出国として地位を高めています。これが、ノルウェー国内市場における輸入果物との競争をさらに難化させています。

将来的な課題としては、持続可能な農業を推進するための政策が重要です。たとえば、若年層を農業分野に引き込むための教育プログラムの充実や、技術導入への助成金の拡充が挙げられます。また、ラズベリーは生のまま消費されるだけでなく加工品としての需要も高いことから、地元での加工施設の構築と地域ブランドの創出を通じて付加価値を高める取り組みも有効です。

さらに、気候変動への対応として、寒冷地農業に適応した新しいラズベリー品種の開発が必要となるでしょう。こうした研究開発には国家レベルでの投資と国際的な協力が欠かせません。特に、北欧諸国やEUとの連携を強化し、地域全体の農業の強靭性を高めるべきです。

総じて、ノルウェーのラズベリー生産は外部要因の影響を強く受けている状況にありますが、政策と技術を組み合わせれば、安定した生産基盤を築いていくことが可能です。今後は国連の持続可能な開発目標(SDGs)に沿った形で、地域農業の強化と地球規模課題への対応を進めていくことが求められます。

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