Food and Agriculture Organization(国連食糧農業機関)が2024年7月に公開した最新データによると、モルドバ共和国のラズベリー生産量は過去数十年で激しい変動を示した後、特に2010年代後半から急増しています。1990年代には300~1,000トン規模で推移していた生産量は、2017年以降から大幅に増加し、2023年には7,964トンに達しました。これは1992年の500トンから約16倍の増加となり、モルドバのラズベリー生産が近年劇的に拡大していることがわかります。
モルドバ共和国のラズベリー生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 2023年 | 7,964 |
15.42% ↑
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| 2022年 | 6,900 |
35.29% ↑
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| 2021年 | 5,100 |
13.59% ↑
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| 2020年 | 4,490 |
-2.24% ↓
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| 2019年 | 4,593 |
76.79% ↑
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| 2018年 | 2,598 |
21.97% ↑
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| 2017年 | 2,130 |
31.4% ↑
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| 2016年 | 1,621 |
26.25% ↑
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| 2015年 | 1,284 |
-13.18% ↓
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| 2014年 | 1,479 |
250.47% ↑
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| 2013年 | 422 |
20.57% ↑
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| 2012年 | 350 |
-43.82% ↓
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| 2011年 | 623 |
-12.75% ↓
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| 2010年 | 714 |
-10.08% ↓
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| 2009年 | 794 |
-2.34% ↓
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| 2008年 | 813 |
30.71% ↑
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| 2007年 | 622 |
-23.59% ↓
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| 2006年 | 814 |
-18.6% ↓
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| 2005年 | 1,000 |
-33.33% ↓
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| 2004年 | 1,500 |
-17.31% ↓
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| 2003年 | 1,814 |
5.83% ↑
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| 2002年 | 1,714 |
102.6% ↑
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| 2001年 | 846 |
182% ↑
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| 2000年 | 300 | - | |
| 1999年 | 300 |
-62.5% ↓
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| 1998年 | 800 |
60% ↑
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| 1997年 | 500 | - | |
| 1996年 | 500 |
2.67% ↑
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| 1995年 | 487 |
-2.6% ↓
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| 1994年 | 500 |
-50% ↓
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| 1993年 | 1,000 |
100% ↑
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| 1992年 | 500 | - | |
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モルドバ共和国は小規模だが肥沃な農業国であり、その農業の中心には果実生産が含まれています。特にラズベリーの生産は、近年世界市場で高まる健康食品需要と相まって、注目を浴びています。1992年からのデータでは、生産量は500~1,000トンの範囲で低伸していましたが、2000年代に入ると少しずつ高まる傾向が見られ、2002年には1,714トンに到達しました。しかし、この時期の生産には天候や政策変動の影響が大きく、2000年代後半には再び低下する年もありました。
特に注目すべきは2017年以降の爆発的な増加です。2017年の2,130トンから2023年には7,964トンと、約6年間で4倍近い急成長を遂げました。この背景の一つとして、EU市場へのラズベリー輸出増加や、国内外の投資を得た生産技術の向上が挙げられます。また、モルドバ特有の豊かな黒土(チェルノーゼム)や温暖な気候条件が、効率的なラズベリー栽培を支えています。
一方、この成長にはいくつかの課題も潜んでいます。まず、急速な生産増加に伴い、価格変動や供給過剰による市場の安定性が懸念されています。例えば、近隣諸国であるウクライナやポーランドはすでにラズベリー生産大国として知られており、モルドバがこれらの国々と競争し続けるためには、高品質な製品生産や差別化が必要です。また、地域の地政学的リスクも無視できません。特に、ウクライナ紛争やロシアとの緊張はモルドバにとって輸出ルートや市場環境にも影響を及ぼす可能性があります。
さらに、気候変動が農業に与える影響も考慮しなければならない重要な要素です。モルドバのような中小国家においては、気温の上昇や乾燥化が関連作物の生産性を大きく左右します。このため、灌漑施設の整備や天候変動に強い栽培技術の開発など、持続可能な農業技術への投資が求められます。
このような背景を受け、モルドバが将来に向けて取るべき具体的な対策としては、いくつかが挙げられます。まず、国内のラズベリー生産者組合を強化し、輸出市場での価格競争力を高めることが重要です。また、EUや隣国との貿易協定を活用し、輸出ルートを分散することで地政学的リスクにも対応できます。それに加え、農業ITや新たな栽培技術を積極的に導入し、生産効率を向上させる取り組みが現実的です。そして、品質管理制度の確立により、国際的な信用を高めることも国際市場での競争力を上げるカギとなるでしょう。
結論として、モルドバのラズベリー生産は過去数十年間で飛躍的な成長を遂げていますが、これを持続可能な成長に転じるためには、輸出市場の拡大、品質の向上、気候変動対応への積極的な取り組みが必要です。このような取り組みが進めば、モルドバはラズベリー生産における世界の主要国の一角を担う存在となる可能性を秘めています。
モルドバの統計データ
- モルドバの総人口推移【1950年~2100年】
- モルドバの平均寿命推移【1950年~2100年】
- モルドバの平均年齢推移【1950年~2100年】
- モルドバの人口増加推移【1950年~2100年】
- モルドバの鶏卵生産量の推移
- モルドバの馬肉生産量の推移
- モルドバのトウモロコシ生産量の推移
- モルドバの米生産量の推移
- モルドバの小麦生産量の推移
- モルドバの大豆生産量の推移
- モルドバのジャガイモ生産量の推移
- モルドバの天然蜂蜜生産量の推移
- モルドバのテンサイ(甜菜)生産量の推移
- モルドバのアーモンド生産量の推移
- モルドバのクルミ(胡桃)生産量の推移
- モルドバのキャベツ生産量の推移
- モルドバのトマト生産量の推移
- モルドバのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移
- モルドバのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量の推移
- モルドバのキュウリ類生産量の推移
- モルドバのナス生産量の推移
- モルドバのニンニク生産量の推移
- モルドバのネギ生産量の推移
- モルドバの牛乳生産量の推移
- モルドバのエンドウ豆(生)生産量の推移
- モルドバのニンジン・カブ類生産量の推移
- モルドバの大麦生産量の推移
- モルドバのキノコ・トリュフ生産量の推移
- モルドバのリンゴ生産量の推移
- モルドバのナシ生産量の推移
- モルドバのサワーチェリー生産量の推移
- モルドバのさくらんぼ生産量の推移
- モルドバの桃(モモ)・ネクタリン生産量の推移
- モルドバのイチゴ生産量の推移
- モルドバのラズベリー生産量の推移
- モルドバの豚飼育数の推移
- モルドバの鶏飼養数の推移
- モルドバのヤギ飼養頭数の推移
- モルドバの牛飼養数の推移
- モルドバの馬飼養数の推移
- モルドバのブドウ生産量の推移
- モルドバのスイカ生産量の推移
- モルドバのメロン生産量の推移
- モルドバのオート麦生産量の推移
- モルドバの牛乳生産量の推移
- モルドバのそば生産量の推移
- モルドバの羊飼養数の推移
- モルドバの羊肉生産量の推移
- モルドバの羊の毛生産量の推移
- モルドバのプラムとスロー生産量の推移