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ロシア連邦のラズベリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月更新データによると、ロシア連邦のラズベリー生産量は2023年に219,338トンを記録し、これまでで最も高い数値を示しました。1990年代の約70,000 - 90,000トンから継続的な成長を遂げ、2020年代に入り急激な増加が見られます。2020年から2023年の間だけでも約37,000トンの増加を記録しており、生産性向上の要因と今後の課題について深掘りします。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 219,338
3.32% ↑
2022年 212,300
7.44% ↑
2021年 197,600
8.57% ↑
2020年 182,000
4.6% ↑
2019年 174,000
4.95% ↑
2018年 165,800
24.47% ↑
2017年 133,200
-12.2% ↓
2016年 151,700
10.09% ↑
2015年 137,800
-4.31% ↓
2014年 144,000
0.7% ↑
2013年 143,000
7.52% ↑
2012年 133,000
-5% ↓
2011年 140,000
12% ↑
2010年 125,000
-10.71% ↓
2009年 140,000
2.19% ↑
2008年 137,000
-21.71% ↓
2007年 175,000 -
2006年 175,000 -
2005年 175,000
2.94% ↑
2004年 170,000
13.33% ↑
2003年 150,000
-9.09% ↓
2002年 165,000
17.86% ↑
2001年 140,000
7.69% ↑
2000年 130,000
8.33% ↑
1999年 120,000
26.32% ↑
1998年 95,000
1.06% ↑
1997年 94,000
4.44% ↑
1996年 90,000
5.88% ↑
1995年 85,000
2.66% ↑
1994年 82,800
1.72% ↑
1993年 81,400
14.81% ↑
1992年 70,900 -

ロシア連邦におけるラズベリー生産量は、1990年代から2023年までに約3倍の増加を遂げています。この拡大は、農業技術の進歩や品種改良、さらには政府主導の農業支援策の成果と考えられます。特に1999年から2005年にかけての成長率が顕著で、一時的な停滞や気候変動による影響が見られた2008年や2010年を除いて、全般的に増加基調を保っています。

2020年代に急増している背景には、いくつかの要因が挙げられます。第一に、ロシア国内ではラズベリーが重要な果実作物として認識され始めており、輸出用の農産物市場での需要増加が挙げられます。また、地元消費の増加に伴い、高品質で環境に配慮した生産基準への移行が進むなど、生産プロセスの高度化も進行しています。加えて、ウクライナ情勢や国際的な経済制裁がロシア国内産業の振興を促し、農産物の内需拡大政策に寄与した側面もあります。

一方で、いくつかの課題も存在します。まず、異常気象や温暖化の影響により、安定した生産が年々困難になりつつあります。特に2008年や2010年のような生産量の急激な減少は、自然災害や寒波などの予期せぬ影響によるものと推測されます。このため、灌漑技術の導入や耐寒性の高い品種の育成は不可欠です。さらに、地政学的リスクによる資材供給の不安定化や、農地の適切な管理体制の不足によって、長期的な視野での持続可能な農業運営が求められています。

また、ラズベリーの市場競争力を考慮すると、中国、アメリカ、ポーランドといった主要生産国に対抗するためには、より高付加価値のある商品の開発が重要です。特にヨーロッパ市場では、オーガニック製品の需要が急増しているため、ロシア産ラズベリーにもこうした認証取得の動きが必要とされるでしょう。

政策的には、国内生産者への補助金拡充や、輸送インフラの整備が優先課題といえます。一方で、技術支援や国際協力により、科学的な研究を通じてより効率的な生産システムの導入を進めることが大切です。さらに、輸出促進に向けた地域間協力の枠組みを構築し、国際市場での地位を高める必要もあります。これらの取り組みが積極的に進めば、2023年以降も持続的な成長が見込まれるでしょう。

総じて、ロシアのラズベリー生産の過去30年間の推移を見ると、着実な成長が確認できる一方で、気候変動や地政学的リスクといった長期的な課題にも直面しています。その解決のためには、各種政策の実行や技術的革新を通じて、持続可能性のある農業体制を築いていくことが不可欠です。

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