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スロベニアのラズベリー生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月時点の最新データによると、スロベニアのラズベリー生産量は1990年代前半に比較的高水準を示したものの、1995年以降急減し、その後2010年ごろにはほぼ壊滅的な水準にまで下落しました。その後、2018年を契機に大幅な回復を遂げましたが、2019年以降は生産量が再び減少傾向にあります。2023年のラズベリー生産量は140トンとなっており、2020年以降は年間約20トンずつ減少しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 140
-12.5% ↓
2022年 160
-11.11% ↓
2021年 180
-10% ↓
2020年 200
-13.04% ↓
2019年 230
-8% ↓
2018年 250
49900% ↑
2017年 1
-3.85% ↓
2016年 1
4% ↑
2015年 1
8.7% ↑
2014年 0
-75% ↓
2012年 2 -
2011年 2
82.18% ↑
2010年 1
-99.16% ↓
2001年 120
-33.33% ↓
2000年 180
50% ↑
1999年 120
50% ↑
1998年 80
19.4% ↑
1997年 67
-16.25% ↓
1996年 80
-20% ↓
1995年 100
-65.64% ↓
1994年 291
28.19% ↑
1993年 227
-20.07% ↓
1992年 284 -

スロベニアのラズベリー生産量の長期的な推移を俯瞰すると、1990年代初頭の高水準から1995年以降急激に減少し、一部の年ではほぼゼロに近い水準にまで落ち込んでいます。このような減少は、生産の基盤となる農業労働力や農業技術の問題、天候や市場の需要の変化など複合的な要因が影響したと推測されます。特にスロベニアはEU加盟後、農業政策がヨーロッパ全体の基準に沿った形に変更されたことから、国内農業が一定の混乱に見舞われた可能性が考えられます。

近年のデータを見ると、2018年を起点に急激な回復が見られます。この回復は、当時の好条件な気候や農業技術の向上、または海外市場での需要の高まりが影響した可能性が高いと考えられます。しかし2019年以降は、再び生産量が減少傾向に転じ、2023年には140トンと、おおむね前年比20トン程度ずつ減少している状況が明らかです。この背景としては、2020年からの新型コロナウイルス感染拡大による農業労働力不足やサプライチェーンの混乱、また気候変動による影響が挙げられるでしょう。特にラズベリーは、気候条件や病害虫に敏感な作物であるため、異常気象や災害の多発が生産量に大きな影響を及ぼしている可能性があります。

国際的な視野を広げると、ラズベリーの生産ではアメリカ、ポーランド、チリなどが主要な生産国として位置づけられ、これらの国ではスロベニアのような低迷状況はそれほど見られません。たとえば、アメリカでは2018年以降も安定した生産量を維持し、新しい品種や農業技術の導入によって効率的な栽培が行われています。これらの国と比較して、スロベニアの問題は技術導入やインフラ整備の不足、さらには輸出市場への参入における柔軟性の欠如にあると指摘できます。

スロベニアにおける今後の課題は、ラズベリーの安定的な生産を実現するための持続可能な農業体制の構築にあるといえるでしょう。第一に、気候変動に対処するためのスマート農業技術の導入が求められます。EUが推進する「グリーン・ディール」に基づく新しい補助金を活用し、耐病性の強い品種の導入や灌漑システムの改良など、より効率的な生産方法を模索することが重要です。第二に、若手農業従事者への支援制度を充実させ、農業労働力を安定的に確保する施策が必要です。教育プログラムを通じて新しい栽培技術の普及を行い、農業分野への新規就業者を増やす取り組みも有効です。

また、地域間協力の枠組みを強化し、周辺国との共同研究や技術共有も生産量回復の鍵となるでしょう。同地域内で安定的なサプライチェーン構築を目指し、輸出市場への参入を支援する包括的な政策を導入することが求められます。

結論として、スロベニアのラズベリー生産量は多くの年で不安定な傾向を示してきましたが、過去の教訓を踏まえた対策を講じることで再び成長軌道に戻る可能性があります。国際機関やEUの支援を積極的に活用し、地元農業従事者と協力して持続可能な生産モデルを確立することが肝心です。このような取り組みを通じて、スロベニアのラズベリー産業が再び輝きを取り戻すことが期待されます。

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