国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、クロアチアのラズベリー生産量は、1990年代には増加傾向を見せ1999年にピークの1,152トンを記録しましたが、2000年代以降減少傾向に転じ、2014年にはわずか41トンまで低下しました。その後若干の回復を見せて2023年には160トンとなったものの、依然としてピーク時の水準には遠く及びません。こうした変動には、農業政策、気候変動、労働力不足など複合的な要因が影響していると考えられます。
クロアチアのラズベリー生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 2023年 | 160 |
-5.88% ↓
|
|
| 2022年 | 170 |
70% ↑
|
|
| 2021年 | 100 |
-66.67% ↓
|
|
| 2020年 | 300 |
-45.45% ↓
|
|
| 2019年 | 550 |
400% ↑
|
|
| 2018年 | 110 |
41.03% ↑
|
|
| 2017年 | 78 |
-41.35% ↓
|
|
| 2016年 | 133 |
-29.71% ↓
|
|
| 2015年 | 189 |
361.49% ↑
|
|
| 2014年 | 41 |
-81.45% ↓
|
|
| 2013年 | 221 |
-27.69% ↓
|
|
| 2012年 | 306 |
-22.73% ↓
|
|
| 2011年 | 396 |
-17.66% ↓
|
|
| 2010年 | 480 |
-13.74% ↓
|
|
| 2009年 | 557 |
-13.99% ↓
|
|
| 2008年 | 647 |
-6.78% ↓
|
|
| 2007年 | 694 |
-2.69% ↓
|
|
| 2006年 | 714 |
-4.13% ↓
|
|
| 2005年 | 744 |
-6.95% ↓
|
|
| 2004年 | 800 |
3.76% ↑
|
|
| 2003年 | 771 |
-15.83% ↓
|
|
| 2002年 | 916 |
2.58% ↑
|
|
| 2001年 | 893 |
-6.88% ↓
|
|
| 2000年 | 959 |
-16.75% ↓
|
|
| 1999年 | 1,152 |
12.94% ↑
|
|
| 1998年 | 1,020 |
16.84% ↑
|
|
| 1997年 | 873 |
23.48% ↑
|
|
| 1996年 | 707 |
19.43% ↑
|
|
| 1995年 | 592 |
-2.31% ↓
|
|
| 1994年 | 606 |
42.92% ↑
|
|
| 1993年 | 424 |
80.43% ↑
|
|
| 1992年 | 235 | - | |
| + すべての年度を見る | |||
クロアチアのラズベリー生産量推移は、同国の農業分野が直面する課題と動向を象徴的に示しています。データを見ると、1990年代には持続的な成長を見せ、1999年には1,152トンの生産量を記録するまで増加しました。この時期の増加は、適切な気候条件と国際市場の需要拡大に支えられたものと考えられます。しかしながら、2000年代以降は徐々に減少に転じ、2014年には41トンとさらに極端に落ち込みました。
この減少の背景には複数の要因が絡んでいます。まず、気候変動や異常気象が、作物の生長環境に直接的な影響を及ぼしたと考えられます。ラズベリーは、適切な気温と降水量を必要とするデリケートな作物であるため、異常気象や乾燥化がその収穫量を大きく左右してきた可能性があります。また、労働人口の減少や農業従事者の高齢化も生産量低下の一因となるでしょう。特にクロアチアでは、若年層が農業から離れ都市部や国外へ移住する傾向が顕著で、この問題はラズベリー生産の持続性を著しく阻害しています。
加えて、欧州連合(EU)への加盟後、クロアチアは既存の農業補助金制度の再構築を余儀なくされました。この過程で、小規模農家が競争力を失い、ラズベリー生産から撤退するケースも増えたと思われます。こうした地政学的要因が生産量の劇的な低下を加速させたと言えるでしょう。
一方で、2015年以降、生産量はやや回復の兆しを見せており、2019年には550トンまで上昇しました。しかしその後も安定した成長には至らず、2023年には再び160トンに留まっています。この揺れ動きは、依然として構造的な課題が解消されていないことを示しています。
未来に向けての課題として、安定した収穫量を実現するための灌漑設備の整備や、気候変動の影響を緩和するための研究開発が必要不可欠です。また、若年層の農業従事を促すための教育プログラムや経済的なインセンティブが重要と言えるでしょう。特に、日本やドイツのように農業機械化や高度技術を取り入れることで、農業のイメージ向上と効率性の向上を図る施策が参考になるかもしれません。
さらに、地域間協力の枠組みを強化し、例えば隣国のセルビアやボスニア・ヘルツェゴビナと連携した供給チェーンの構築が有用と考えられます。これらの国々も同じような気候条件下でラズベリーを栽培しているため、地域全体での競争力を強化することが可能です。加えて、地政学的リスクや市場の不安定性に対処するため、国際的な農業協定や金融支援プログラムへの参加を検討することが重要でしょう。
結論として、クロアチアのラズベリー生産量の減少は、農業経済全体が抱える課題を如実に反映しています。一方で、技術革新や政策的支援を強化することで、一定の回復と持続的成長が見込めます。このような取り組みが進むことで、クロアチアの農業が再び活気を取り戻し、地域経済や国民生活全体の安定に寄与していくのではないでしょうか。
クロアチアの統計データ
- クロアチアの総人口推移【1950年~2100年】
- クロアチアの平均寿命推移【1950年~2100年】
- クロアチアの平均年齢推移【1950年~2100年】
- クロアチアの人口増加推移【1950年~2100年】
- クロアチアの鶏卵生産量の推移
- クロアチアの馬肉生産量の推移
- クロアチアの米生産量の推移
- クロアチアのトウモロコシ生産量の推移
- クロアチアの小麦生産量の推移
- クロアチアの大豆生産量の推移
- クロアチアのジャガイモ生産量の推移
- クロアチアの天然蜂蜜生産量の推移
- クロアチアのテンサイ(甜菜)生産量の推移
- クロアチアのアーモンド生産量の推移
- クロアチアのクルミ(胡桃)生産量の推移
- クロアチアのオリーブ生産量の推移
- クロアチアのオリーブ油生産量の推移
- クロアチアのキャベツ生産量の推移
- クロアチアのほうれん草生産量の推移
- クロアチアのトマト生産量の推移
- クロアチアのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移
- クロアチアのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量の推移
- クロアチアのキュウリ類生産量の推移
- クロアチアのナス生産量の推移
- クロアチアのニンニク生産量の推移
- クロアチアのネギ生産量の推移
- クロアチアの牛乳生産量の推移
- クロアチアのエンドウ豆(生)生産量の推移
- クロアチアのニンジン・カブ類生産量の推移
- クロアチアの大麦生産量の推移
- クロアチアのキノコ・トリュフ生産量の推移
- クロアチアのバナナ生産量の推移
- クロアチアのオレンジ生産量の推移
- クロアチアのレモン・ライム生産量の推移
- クロアチアのリンゴ生産量の推移
- クロアチアのナシ生産量の推移
- クロアチアのサワーチェリー生産量の推移
- クロアチアのさくらんぼ生産量の推移
- クロアチアの桃(モモ)・ネクタリン生産量の推移
- クロアチアのイチゴ生産量の推移
- クロアチアのラズベリー生産量の推移
- クロアチアのブルーベリー生産量の推移
- クロアチアの豚飼育数の推移
- クロアチアの鶏飼養数の推移
- クロアチアのヤギ飼養頭数の推移
- クロアチアの牛飼養数の推移
- クロアチアの馬飼養数の推移
- クロアチアのブドウ生産量の推移
- クロアチアのスイカ生産量の推移
- クロアチアのメロン生産量の推移
- クロアチアのアボカド生産量の推移
- クロアチアのオート麦生産量の推移
- クロアチアの牛乳生産量の推移
- クロアチアのそば生産量の推移
- クロアチアのヨーグルト生産量の推移
- クロアチアの羊飼養数の推移
- クロアチアの羊肉生産量の推移
- クロアチアのヤギ肉生産量の推移
- クロアチアの羊の毛生産量の推移
- クロアチアのアスパラガス生産量の推移
- クロアチアのレタスおよびチコリ生産量の推移
- クロアチアのプラムとスロー生産量の推移
- クロアチアのイチジク生産量の推移