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ボスニア・ヘルツェゴビナのラズベリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ボスニア・ヘルツェゴビナのラズベリー生産量は過去数十年間で著しい変動を見せてきました。特に2016年から2018年にかけて生産量が急増し、2018年には過去最高の27,466トンを記録しました。しかし、2019年以降は減少傾向が続き、2023年には12,080トンと、2018年のピーク時に比べて半減しています。このような生産量の変動には、地政学的状況や気候変動、農業技術の進展、経済的要因が関与しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 12,080
-0.89% ↓
2022年 12,188
-27.59% ↓
2021年 16,833
-10.43% ↓
2020年 18,794
-4.84% ↓
2019年 19,749
-28.1% ↓
2018年 27,466
21.15% ↑
2017年 22,671
2.31% ↑
2016年 22,160
62.57% ↑
2015年 13,631
28.44% ↑
2014年 10,613
16.95% ↑
2013年 9,075
29.35% ↑
2012年 7,016
-25.83% ↓
2011年 9,459
19.18% ↑
2010年 7,937
-6.48% ↓
2009年 8,487
13.42% ↑
2008年 7,483
-6.84% ↓
2007年 8,032
24.49% ↑
2006年 6,452
56.66% ↑
2005年 4,118
142.26% ↑
2004年 1,700
-1.11% ↓
2003年 1,719
-31.24% ↓
2002年 2,500
-25.86% ↓
2001年 3,372
68.6% ↑
2000年 2,000
100% ↑
1999年 1,000
-16.67% ↓
1998年 1,200
-33.33% ↓
1997年 1,800
-25% ↓
1996年 2,400
-5.3% ↓
1995年 2,534
-6.14% ↓
1994年 2,700
-10% ↓
1993年 3,000
-8.76% ↓
1992年 3,288 -

ボスニア・ヘルツェゴビナは、豊かな自然環境と適した気候条件を背景に、高品質なラズベリーの生産地として知られています。同国のラズベリー生産は、主に小規模農家が担っており、地域経済において重要な位置を占めています。しかし、1990年代には同国で起きた紛争の影響により、農業全体が深刻なダメージを受けました。この時期、生産量は急激に減少し、1999年には1,000トンと、ピーク時の半分以下に落ち込んでいます。

2000年代に入ると、復興プロセスが進み、特に2005年から2010年の間には支援政策や農業技術の向上を背景に生産量が着実に増加しました。ラズベリーは収益性が高く、ヨーロッパ市場でも需要が伸びていたため、輸出産業としての重要性も高まりました。この傾向は2011年以降さらに顕著になり、2014年以降の急成長期においては、外部投資の増加や新しい栽培技術の採用が生産性向上に貢献しました。特に2016年から2018年には、好天候と農家の効率的な経営が影響し、27,466トンというピークに達しました。

しかし、2019年以降は減少傾向が顕著になり、2023年には生産量が12,080トンまで落ち込んでいます。この原因として、気候変動による異常気象や、農業資材の価格上昇、さらにはヨーロッパ市場での競争激化が挙げられます。また、近年の水不足や異常高温、甚大な洪水被害は農産物全体に影響を及ぼしており、生産の不安定化に拍車をかけています。さらに、若年層の農業離れによる労働力不足や、農業従事者の高齢化といった社会的要因も見逃せません。

ラズベリー生産を安定させるためには、まず気候変動の影響を軽減する適応策が必要です。たとえば、灌漑施設の整備や耐暑性の高い品種の導入などが効果的と考えられます。また、生産者の収益性を確保するため、政府による価格補助や市場開拓支援も重要です。一方で、国際市場での競争力を高めるため、ボスニア・ヘルツェゴビナ産ラズベリーの品質やブランド価値の向上を図る取り組みも欠かせません。EU市場への輸出機会をさらに拡大するためには、食品安全基準の遵守とトレーサビリティシステムの導入に注力する必要があります。

さらに、農業分野への若年層の参画を促進するためには、教育プログラムや農業イノベーション技術の導入を進めるとともに、農村地域のインフラ整備や生活環境の向上を図ることも重要です。これらの取り組みを通じて、ボスニア・ヘルツェゴビナのラズベリー産業の持続可能性を高めることが期待されます。

将来的には、気候変動や市場の変化を乗り越えるための国際連携も重要となります。例えば、気候変動の影響調査や適応政策の共有など、他国との情報交換と協力を積極的に進めるべきです。また、持続可能な農業を推進するために、国際機関や非政府組織(NGO)からの技術的支援や資金援助を要請することも効果的です。

以上のように、ボスニア・ヘルツェゴビナのラズベリー生産には多くの可能性と課題が共存しています。政策的な取り組みや農村地域の支援を強化することで、この重要な産業の未来をより明るくすることができるでしょう。

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