ギニアビサウのカシューナッツ生産量推移（1961年～2023年）

出典： Food and Agriculture Organization「国際連合食糧農業機関」

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表したデータによると、ギニアビサウのカシューナッツ生産量は1961年の2,000トンから着実に増加し、特に1980年代以降急激に成長を見せています。近年では2020年に120,000トンを達成し、2021年には123,686トンまで拡大しましたが、その後やや減少し、2023年には114,561トンとなっています。このデータから、ギニアビサウのカシューナッツ生産が全体的に成長基調にある一方で、直近の数年間では変動が見られる状況が浮き彫りとなっています。

年度	生産量(トン)	増減率
2023年	114,561	-1.65% ↓
2022年	116,485	-5.82% ↓
2021年	123,686	3.07% ↑
2020年	120,000	9.09% ↑
2019年	110,000	0.04% ↑
2018年	109,960	0.22% ↑
2017年	109,722	0.23% ↑
2016年	109,468	0.01% ↑
2015年	109,454	-0.26% ↓
2014年	109,744	-0.52% ↓
2013年	110,320	-0.79% ↓
2012年	111,199	-0.36% ↓
2011年	111,596	-0.15% ↓
2010年	111,767	0.23% ↑
2009年	111,514	0.46% ↑
2008年	111,000	13.27% ↑
2007年	98,000	3.16% ↑
2006年	95,000	6.74% ↑
2005年	89,000	-0.33% ↓
2004年	89,295	4.67% ↑
2003年	85,313	-0.8% ↓
2002年	86,000	1.18% ↑
2001年	85,000	16.88% ↑
2000年	72,725	-0.59% ↓
1999年	73,156	14.31% ↑
1998年	64,000	10.56% ↑
1997年	57,887	50.04% ↑
1996年	38,580	33% ↑
1995年	29,007	17% ↑
1994年	24,793	-6.26% ↓
1993年	26,448	-11.84% ↓
1992年	30,000	44.06% ↑
1991年	20,824	-30.59% ↓
1990年	30,000	-
1989年	30,000	66.67% ↑
1988年	18,000	-
1987年	18,000	20% ↑
1986年	15,000	15.38% ↑
1985年	13,000	8.33% ↑
1984年	12,000	140% ↑
1983年	5,000	-
1982年	5,000	-
1981年	5,000	42.86% ↑
1980年	3,500	16.67% ↑
1979年	3,000	-
1978年	3,000	-
1977年	3,000	20% ↑
1976年	2,500	-
1975年	2,500	-
1974年	2,500	-
1973年	2,500	-
1972年	2,500	-
1971年	2,500	-
1970年	2,500	25% ↑
1969年	2,000	-
1968年	2,000	-
1967年	2,000	-
1966年	2,000	-
1965年	2,000	-
1964年	2,000	-
1963年	2,000	-
1962年	2,000	-
1961年	2,000	-

ギニアビサウは、カシューナッツの主要生産国の1つであり、特にアフリカ地域では重要な生産地となっています。1961年時点でわずか2,000トンだった生産量は、1980年代半ばから大きな飛躍を遂げ、1989年には30,000トンを突破、さらに2000年代には100,000トンを超える規模に達しました。こうした成長は、国際的な需要の増加やギニアビサウ政府による農業支援政策の導入、および農民たちの積極的な栽培努力が要因として挙げられます。

しかしながら、特に2022年以降、若干の下降傾向が見られます。2020年の120,000トンに対して、2023年は114,561トンと減少しています。この要因として、気候変動による天候不順や、地域のインフラ整備の遅れ、さらにはカシューナッツの国際市場価格の不安定性が考えられます。また、ギニアビサウは西アフリカ地域に位置し、政治的な不安定さや地政学的リスクも農業生産に影響を与えている可能性があります。

カシューナッツ生産の増減には、農業技術の向上や投入資材の使用のほか、農民への教育や支援が重要です。例えば、インドのように技術革新を取り入れ、生産量を増加させるとともに品質管理を強化することで、国際市場での競争力を強化しています。また、ベトナムでは加工技術を進化させることで単なる原材料供給国から付加価値の高い加工品輸出国に変貌を遂げています。これに対してギニアビサウは、依然として加工インフラが整備されておらず、カシューナッツは原材料段階で輸出されることが大半です。この点は改善の余地があります。

さらに、カシューナッツ生産に関連する農村インフラの改善も必要不可欠です。道路や貯蔵設備を整備することで、収穫後の損失を減少させるとともに、国際市場へのアクセスを強化することが可能です。また、持続可能な農業を推進するため、環境に配慮した農法の導入や森林減少の抑制に取り組むことも重要です。

カシューナッツ生産の将来に向けた課題には、持続可能性と競争力の両立があります。特に気候変動の影響を軽減するための灌漑施設や耐候性のある品種の開発は喫緊の課題です。この点で、国際協力や地域間連携を進めることが不可欠です。例えば、アフリカ開発銀行や国際食糧政策研究所との連携を強化し、資金と技術の両面で支援を受けることが必要です。

結論として、ギニアビサウのカシューナッツ生産は長期的な発展を見せていますが、昨今の変動を踏まえると、気候変動や国際市場の動向に対応するための具体的な対策が必要です。国内の加工インフラを整備し、高付加価値製品の輸出を目指すとともに、農業技術の向上や持続可能な農業政策の策定を優先していくことが、ギニアビサウのカシューナッツ産業のさらなる成長に繋がると考えられます。