Food and Agriculture Organizationが発表した最新のデータによると、ギニアビサウの落花生生産量は1960年代から2000年代初頭にかけて不安定な推移を見せていましたが、近年は急成長を遂げています。特に2023年には143,818トンと過去最高を記録し、2010年代以降の右肩上がりのトレンドを継続しています。このような顕著な増加は国の農業生産の改善努力を反映するものといえます。
ギニアビサウの落花生生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 143,818 |
11.97% ↑
|
2022年 | 128,439 |
6.14% ↑
|
2021年 | 121,014 |
4.69% ↑
|
2020年 | 115,588 |
2.8% ↑
|
2019年 | 112,438 |
11.06% ↑
|
2018年 | 101,242 |
9.4% ↑
|
2017年 | 92,542 |
10.86% ↑
|
2016年 | 83,476 |
12.36% ↑
|
2015年 | 74,291 |
17.99% ↑
|
2014年 | 62,965 |
16.53% ↑
|
2013年 | 54,035 |
19.51% ↑
|
2012年 | 45,214 |
27.61% ↑
|
2011年 | 35,431 |
-2.06% ↓
|
2010年 | 36,177 |
17.86% ↑
|
2009年 | 30,696 |
-33.93% ↓
|
2008年 | 46,460 |
88.03% ↑
|
2007年 | 24,709 |
12.31% ↑
|
2006年 | 22,000 |
-9.98% ↓
|
2005年 | 24,439 |
28.63% ↑
|
2004年 | 19,000 |
-5% ↓
|
2003年 | 20,000 |
-7.14% ↓
|
2002年 | 21,537 |
2.46% ↑
|
2001年 | 21,020 |
2.18% ↑
|
2000年 | 20,572 |
8.27% ↑
|
1999年 | 19,000 |
6.91% ↑
|
1998年 | 17,772 |
-1.27% ↓
|
1997年 | 18,000 |
8.14% ↑
|
1996年 | 16,645 |
-2.09% ↓
|
1995年 | 17,000 |
-7.66% ↓
|
1994年 | 18,410 |
1.49% ↑
|
1993年 | 18,139 |
15.5% ↑
|
1992年 | 15,705 |
6.15% ↑
|
1991年 | 14,795 |
-18.58% ↓
|
1990年 | 18,171 |
13.07% ↑
|
1989年 | 16,070 |
14.26% ↑
|
1988年 | 14,064 |
-29.68% ↓
|
1987年 | 20,000 |
-31.03% ↓
|
1986年 | 29,000 |
7.41% ↑
|
1985年 | 27,000 |
-10% ↓
|
1984年 | 30,000 |
36.36% ↑
|
1983年 | 22,000 |
-37.14% ↓
|
1982年 | 35,000 |
16.67% ↑
|
1981年 | 30,000 | - |
1980年 | 30,000 |
-14.29% ↓
|
1979年 | 35,000 | - |
1978年 | 35,000 |
18.64% ↑
|
1977年 | 29,500 |
-34.44% ↓
|
1976年 | 45,000 |
21.62% ↑
|
1975年 | 37,000 |
7.25% ↑
|
1974年 | 34,500 |
-9.21% ↓
|
1973年 | 38,000 |
13.77% ↑
|
1972年 | 33,400 |
16.17% ↑
|
1971年 | 28,750 |
-24.34% ↓
|
1970年 | 38,000 |
-5.71% ↓
|
1969年 | 40,300 |
16.81% ↑
|
1968年 | 34,500 | - |
1967年 | 34,500 |
-9.21% ↓
|
1966年 | 38,000 |
-9.52% ↓
|
1965年 | 42,000 |
-30% ↓
|
1964年 | 60,000 |
-3.23% ↓
|
1963年 | 62,000 |
-4.62% ↓
|
1962年 | 65,000 | - |
1961年 | 65,000 | - |
ギニアビサウの落花生生産量データを振り返ると、1961年に65,000トンを記録した後、主に減少傾向がみられました。1960年代半ばから1980年代後半にかけては、政治的混乱や資源の不足、気候変動による影響で、生産量は40,000トンを大きく下回る年が続きました。この時期、1973年の独立戦争をはじめとした内戦が農業基盤に深刻なダメージを与えた結果、食物供給の安全性や生産性が低下した可能性が考えられます。1980年代から1990年代にかけては、多くの年で生産量が20,000トン未満に抑えられ、低迷期を脱する兆しが見られませんでした。
2000年以降は徐々に改善が進み、生産量は増加基調に転じました。特筆すべきは2013年以降の顕著な増加であり、2013年には54,035トン、2015年には74,291トンと着実に生産量を拡大しました。その後も成長は続き、2023年には143,818トンと1960年代のピークを大きく上回る結果となっています。この成長の背景には、農業に特化した国際支援や農業技術の革新、適した気候条件の活用が関与していると考えられます。また、ギニアビサウの近年の政治・社会的安定を取り戻そうとする努力も影響しているかもしれません。
しかしながら、このデータが示すポジティブなトレンドの背後には、解決すべき課題も残されていることを忘れてはなりません。まず、ギニアビサウの脆弱なインフラが生産物の流通や市場進出に対する障壁となっている点が挙げられます。落花生は輸出商品としての可能性も非常に高い作物ですが、インフラが発展していないため、その輸出ルートや保存、加工施設の整備が急務です。また、気候変動の影響は依然として無視できない要素であり、長期的な落花生生産の安定性を確保するためには、耐旱性品種の導入や気候変動に適応した農法の普及が必要です。
さらには、農家レベルでの教育や技術訓練の不足も課題です。多くの小規模農家が現代的な農業技術や市場のニーズに関する知識を十分に持ち合わせていないことが、生産性の最大限の向上を妨げています。他国、特にギニアビサウと同様に重要作物として落花生を生産しているインドなどと比較すると、依然として収量は低く、競争力の向上には長期的な視野が求められます。
これらの課題を解決するための具体策として、政府や国際機関が協力し、農業生産性向上のための支援体制を構築することが考えられます。たとえば、小規模農家を対象にした技術普及プログラムやマイクロファイナンス政策を通じて、持続可能な農業経営を可能にする取り組みを実施することが効果的です。また、地域間協力を強化し、隣国と連携して輸出ルートの整備や市場アクセスの拡充を図ることが重要です。
さらに、政治的な安定を支える政策、気候変動への適応策、そして農業研究開発のための投資を強化することで、再び下降傾向に転じるリスクを最小限に抑えることができます。抑えられたリスクの中で、持続可能かつ安定した成長を維持するためには、国際社会との協調も欠かせません。
ギニアビサウの落花生生産量は、人々の生活向上と経済の活性化を象徴する指標とも言えます。このデータが示唆する未来の可能性を最大限活かすためには、上記のような課題解決策を実行していくことが求められるでしょう。