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パラグアイのブドウ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月発表の最新データによると、パラグアイのブドウ生産量は、1961年の8,000トンから1985年の23,060トンへと順調な成長を見せましたが、その後急激に減少しました。特に2000年代初頭からの減少が顕著で、生産量は2010年代以降1,900トン前後と低迷し、2023年には539トンという大幅な減少が見られました。この推移は、ブドウ産業の成長と停滞を示す重要な指標であり、その背景にはさまざまな要因があると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 539
-72.06% ↓
2022年 1,930
-0.23% ↓
2021年 1,935
0.42% ↑
2020年 1,927
-0.16% ↓
2019年 1,930 -
2018年 1,930 -
2017年 1,930
0.52% ↑
2016年 1,920
0.37% ↑
2015年 1,913
-1.14% ↓
2014年 1,935
0.78% ↑
2013年 1,920
-0.83% ↓
2012年 1,936 -
2011年 1,936 -
2010年 1,936
7.02% ↑
2009年 1,809
2.38% ↑
2008年 1,767
-23.17% ↓
2007年 2,300
7.98% ↑
2006年 2,130
1.43% ↑
2005年 2,100
-4.42% ↓
2004年 2,197
-38.41% ↓
2003年 3,567
-57.45% ↓
2002年 8,383
0.53% ↑
2001年 8,339
6.86% ↑
2000年 7,804
-32.69% ↓
1999年 11,594
-7.9% ↓
1998年 12,589
-1.03% ↓
1997年 12,720
12.7% ↑
1996年 11,287
1.14% ↑
1995年 11,160
1.56% ↑
1994年 10,989
3.44% ↑
1993年 10,624
0.23% ↑
1992年 10,600
1.36% ↑
1991年 10,458
-53.18% ↓
1990年 22,336
-2% ↓
1989年 22,792
7% ↑
1988年 21,301
3% ↑
1987年 20,681
-5.6% ↓
1986年 21,907
-5% ↓
1985年 23,060
3% ↑
1984年 22,388
7% ↑
1983年 20,923
10.01% ↑
1982年 19,020
5.67% ↑
1981年 18,000 -
1980年 18,000
10.43% ↑
1979年 16,300
4.96% ↑
1978年 15,530
9.99% ↑
1977年 14,120
-2.01% ↓
1976年 14,410
2.56% ↑
1975年 14,050
5.01% ↑
1974年 13,380
10.03% ↑
1973年 12,160
-5% ↓
1972年 12,800
3.23% ↑
1971年 12,400
3.33% ↑
1970年 12,000 -
1969年 12,000 -
1968年 12,000
-11.11% ↓
1967年 13,500
12.5% ↑
1966年 12,000 -
1965年 12,000
4.35% ↑
1964年 11,500
4.55% ↑
1963年 11,000 -
1962年 11,000
37.5% ↑
1961年 8,000 -

パラグアイのブドウ生産の歴史を振り返ると、1960年代から1980年代半ばにかけては安定した成長が見られます。1961年の8,000トンからスタートし、1985年には23,060トンに達しています。この成長は、国内の農業インフラ拡充やブドウ栽培への関心の高まりといった要因が大きく寄与したと推測されます。特にこの期間は、パラグアイ国内におけるワイン産業の発展や農家の参入が後押ししており、ブドウ生産は一つの成功例であったといえます。

しかし、1990年代初頭以降、状況は大きく変わりました。1991年には10,458トンとそれまでの半減近い生産量となり、その後も低迷が続きました。そして2000年には7,804トン、2003年にはわずか3,567トンへと劇的に減少し、最終的には2010年代以降の1,900トン前後に低い水準で推移するようになります。この転換の背景には、複数の要因が存在すると考えられます。具体的には、国内の農業政策の課題、土地の劣化、水資源の不足、そして気候変動といった地政学的要因が挙げられます。また、経済的理由によりブドウ生産が他の収益性の高い作物に置き換えられた可能性も指摘できます。

2023年には生産量がわずか539トンにまで激減しました。この急激な減少は、一時的な疫病の発生、異常気象、または新型コロナウイルスによる社会的混乱が影響した可能性があります。このような外部要因は脆弱な農業インフラを持つパラグアイにとって、致命的な打撃を与える場合があります。特に、2023年のデータからは、持続可能な農業モデルの欠如や農村経済の不安定性が課題として浮き彫りになっています。

ブドウ生産が減少すると、ワイン醸造業をはじめとする関連産業に悪影響が及びます。その結果、農村地域での雇用機会の減少や、輸出収益の低下といった経済的課題も加速しています。他国を見てみると、例えばフランスやイタリアといったワイン大国では、伝統的な農法と現代技術を融合させ、気候変動への適応を進めています。一方、隣国アルゼンチンではワイン産業を支える灌漑技術の発達と市場拡大が進んでいます。このような事例を参考に、パラグアイもブドウ生産の回復を目指した長期的な対策が必要です。

未来にむけた具体的な提言として、まず土地と水資源の管理を徹底するための大規模な農業改革が求められます。例えば、省水型灌漑システムの導入や適切な農業技術の普及を通じて、効率的な資源利用を目指すべきです。また、気候への適応を念頭に置いた耐病性の高いブドウ品種の研究・導入が生産量の安定に寄与するでしょう。さらに、農村の生産者たちへの教育プログラムや資金融資制度を拡充することで、彼らの経済的負担を軽減しつつ、持続可能な農業を促進することが重要です。

国際的な視点では、同様の課題を抱える他国と協力し、気候変動や農業技術に関する情報共有を行うことも有益です。他の地域との連携や国際協力の枠組みを強化することで、外的要因への対応力を高めることができます。

結論として、1960年代以降のパラグアイのブドウ生産は成長と停滞を繰り返してきましたが、2023年のデータが示すように持続可能性における課題が顕在化しています。これを改善するためには、国内の政策改善と国際的な支援が不可欠です。迅速かつ包括的な対策を講じることで、ブドウ産業の復興と発展を実現し、農村経済の安定化を図ることが期待されます。