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パラグアイの牛乳生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、パラグアイの牛乳生産量は過去数十年間、全体として増加傾向をたどっています。1961年に78,000トンであった生産量は、2022年に558,738トンへと大幅に成長しました。しかし、この間に一部の年で減少も見られます。特に1999年から2000年や2015年から2017年などは、生産量の急激な落ち込みが観察されます。この推移データから、近年の復調傾向や成長を支えている要因、そして未来への課題を考察することが求められます。

年度 生産量(トン)
2022年 558,738
2021年 536,808
2020年 541,033
2019年 480,093
2018年 473,947
2017年 459,808
2016年 510,000
2015年 515,000
2014年 525,000
2013年 518,000
2012年 515,000
2011年 512,000
2010年 490,350
2009年 467,000
2008年 442,000
2007年 417,000
2006年 392,000
2005年 372,380
2004年 362,040
2003年 380,000
2002年 375,127
2001年 331,000
2000年 329,800
1999年 368,132
1998年 445,000
1997年 444,206
1996年 403,824
1995年 357,873
1994年 290,954
1993年 288,074
1992年 255,281
1991年 240,466
1990年 225,790
1989年 206,011
1988年 200,011
1987年 194,186
1986年 187,529
1985年 182,075
1984年 175,071
1983年 168,937
1982年 164,548
1981年 163,829
1980年 163,013
1979年 162,207
1978年 149,186
1977年 136,195
1976年 127,947
1975年 120,627
1974年 109,698
1973年 95,471
1972年 91,759
1971年 89,388
1970年 87,738
1969年 87,016
1968年 86,400
1967年 87,223
1966年 85,600
1965年 84,232
1964年 83,100
1963年 82,068
1962年 80,400
1961年 78,000

パラグアイの牛乳生産量推移データを振り返ると、1960年代から一貫した増加基調が見られます。この国の乳製品産業は、伝統的に家族経営の牧畜が主流でした。1961年から1980年にかけてのデータは、毎年約1~2%ずつの緩やかな増加を示しており、農業技術の改善や家畜管理技術の普及が重要な要因であったと考えられます。1970年代後半以降の急激な増加は、地域的な需要の拡大と農業経済の資本投資による影響が大きいと推察されます。

一方で、1999年から2000年に見られる約16%の大きな減少や、2015年以降の伸び悩み、そして2017年での生産量低下は、地域的および経済的課題に関連していると考えられます。これらの減少期には、干ばつや疫病、あるいは経済不安定性が牛乳生産の妨げになった可能性があります。特に1999年から2000年の減少については、南米市場全体の金融危機がパラグアイの農業に影響を及ぼしたことも示唆できます。また、2015年以降の停滞は、国際的な乳製品価格の下落と、投入資源である飼料や労働コストの上昇が要因かもしれません。

はっきりとした成長が見られる2020年以降の生産量増加は注目すべき点です。2020年に541,033トンと急増し、2022年には過去最高である558,738トンに達しています。この要因として、新型コロナウイルスのパンデミック期間中に現地市場での乳製品需要が増加したこと、また、一部の増産政策や農牧民への補助金が効を奏した可能性が挙げられます。しかし2021年には微減していることから、この上昇トレンドが安定して維持されるわけではないことも考慮する必要があります。

このデータの分析を通じて、いくつかの将来的な課題が浮かび上がってきます。まず、天候や地政学的リスクに対する強靭性を高めるためのインフラ整備が必要です。例えば、干ばつによる飼料不足を最小化するため、中長期的には灌漑設備の拡充や乾燥耐性の高い牧草種の導入が効果的です。また、乳製品の品質向上や輸出競争力を高めることを目的として、生産過程の統一基準を策定し、トレーサビリティを強化することも有用です。

さらに、持続可能な生産方法への移行も重要です。パラグアイは国際市場に向けた輸出潜在力を秘めていますが、温室効果ガス排出を抑制するためのエコロジカル牧畜法を取り入れるべきです。例えば、ブラジルやアルゼンチンで最近注目されている「集約型放牧(インテンシブグレージング)」の技術導入は、幅広い利益をもたらす可能性があります。エネルギー効率を向上させつつ、土壌や水資源への環境負荷を軽減することで、持続可能性の確保と生産性の向上を同時に実現する道が開けます。

結論として、パラグアイの牛乳生産量は全体的上昇トレンドを維持していますが、短中期的な減少期や、気候条件や経済動向に強く左右される特徴もあります。これからの成長を維持し、さらに発展するためには、国内での生産基盤の強化とともに、国際市場での競争力を視野に入れた農業政策が求められます。国際機関との協力や地域間連携の枠組みを活用することで、より安定した成長が期待されるでしょう。