国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、パラグアイの豚飼育数は1961年以降、大きな変動を伴いながら推移しています。1961年には約57.6万頭であった飼育数は、1989年に230万頭を超えピークを迎え、その後1990年代後半から減少に転じました。近年では緩やかな増加傾向を見せ、2022年には約130万頭となっています。これらの変化は、国内の農業政策、経済状況、国際市場の動向、さらには疫病や地域的な衝突など、複数の要因が絡んでいると考えられます。
パラグアイの豚飼育数推移(1961-2022)
年度 | 飼育数(頭) |
---|---|
2022年 | 1,302,282 |
2021年 | 1,298,550 |
2020年 | 1,294,819 |
2019年 | 1,264,337 |
2018年 | 1,318,562 |
2017年 | 1,314,797 |
2016年 | 1,300,064 |
2015年 | 1,265,328 |
2014年 | 1,229,760 |
2013年 | 1,197,698 |
2012年 | 1,168,606 |
2011年 | 1,142,044 |
2010年 | 1,117,664 |
2009年 | 1,095,174 |
2008年 | 1,072,655 |
2007年 | 1,200,000 |
2006年 | 1,300,000 |
2005年 | 1,450,000 |
2004年 | 1,506,833 |
2003年 | 1,473,974 |
2002年 | 1,364,791 |
2001年 | 1,804,353 |
2000年 | 1,800,000 |
1999年 | 1,850,000 |
1998年 | 2,000,000 |
1997年 | 2,100,000 |
1996年 | 2,268,000 |
1995年 | 2,525,000 |
1994年 | 2,500,000 |
1993年 | 2,485,000 |
1992年 | 2,510,000 |
1991年 | 2,580,083 |
1990年 | 2,444,363 |
1989年 | 2,305,239 |
1988年 | 2,107,936 |
1987年 | 1,809,374 |
1986年 | 1,507,777 |
1985年 | 1,278,168 |
1984年 | 1,109,138 |
1983年 | 1,065,131 |
1982年 | 1,023,427 |
1981年 | 1,003,081 |
1980年 | 995,500 |
1979年 | 1,272,700 |
1978年 | 1,201,400 |
1977年 | 1,173,600 |
1976年 | 1,102,000 |
1975年 | 974,800 |
1974年 | 841,100 |
1973年 | 725,700 |
1972年 | 617,500 |
1971年 | 578,800 |
1970年 | 588,564 |
1969年 | 636,000 |
1968年 | 710,000 |
1967年 | 786,000 |
1966年 | 861,000 |
1965年 | 810,000 |
1964年 | 751,842 |
1963年 | 525,000 |
1962年 | 512,000 |
1961年 | 575,355 |
パラグアイの豚飼育数の推移を振り返ると、興味深い特徴がいくつか見受けられます。まず、1961年の約57.6万頭から1989年の約230万頭までは、全体的に増加傾向にありました。この増加は主に、農業部門の発展と、豚肉需要の高まりが寄与したと考えられます。1970年代から1980年代にかけて特に著しい伸びを見せたのは、この時期に国内の農業政策が強化され、輸出を目的とした生産の増加が促されていた背景が影響しています。さらに、世界的な畜産の強化がパラグアイにも影響を与えたと推測されます。
1990年代に入ると減少傾向が目立ちはじめ、1999年には約185万頭、2000年代に入るとさらに減少し、2008年には約107万頭まで減少しました。この要因としては、地域の経済不安、国際市場における競争の激化、また口蹄疫など畜産業に大きな打撃を与える疫病の発生が挙げられます。また、この頃はパラグアイ国内での環境意識の高まりの中で、農業や畜産の経済的・持続可能性が再評価された時期とも重なります。
しかし、2010年以降は再び穏やかに増加する動きが見え、2022年には約130万頭に達しました。これは、近年の農業技術の進化に伴う効率化や、国内外の豚肉需要の新たな上昇と一致しています。特に新型コロナウイルスのパンデミック以降、食糧供給網の再編が求められ、畜産物の生産に対する需要が高まったことがこの回復の一因と考えられます。
他国との比較において、パラグアイは中国やアメリカのような大規模畜産国と比べて明らかに飼育数では劣るものの、地理的条件や資源を背景に、地域特化型の畜産業としての特徴を持っています。一方で、近隣諸国のブラジルやアルゼンチンと比較すると、輸出競争力の面で課題が残されていると言えます。パラグアイの豚飼育は主に中小規模農家が担っているため、技術支援や市場のサポートが強化されることで、そのポテンシャルを一層引き出すことが期待されます。
将来の課題としては、地域的な農業バリューチェーンを確立し、効率を高めることが挙げられます。特に疫病の発生リスクには十分注意を払い、継続的な予防措置として検疫体制を強化し、国際基準に準拠した安全な輸出産業を構築する必要があります。さらに、畜産業における温室効果ガス排出の問題も重要なテーマであり、環境負荷の少ない生産体制の導入が求められます。
総じて、これまでの豚飼育数推移の分析から、パラグアイ畜産業の発展には持続可能性と効率性を両立する政策が不可欠であることがわかります。国際的な競争力を高めるための輸出体制の整備や労働力の確保、中小規模農家への支援の強化を進めるべきです。また、疾病管理や環境保護の観点で地域間協力を強化し、安全かつ安定的な豚肉供給を維持することが、今後の課題解決の鍵となるでしょう。