国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、パラグアイの馬肉生産量は、2023年時点で1,698トンを記録しています。データをさかのぼれば、1960年代には馬肉生産量が大幅に増減する不安定な時期を経た後、1970年代後半から1990年代後半にかけて相対的に低位で安定していました。2000年代以降、徐々に増加傾向に転じ、特に2022年にはピークとなる2,100トンを記録しました。一方で、2023年には生産量が再び減少しており、馬肉供給の動向には今後の注目が集まります。
パラグアイの馬肉推移(1961年~2023年)
年度 | (トン) | 増減率 |
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2023年 | 1,698 |
-19.16% ↓
|
2022年 | 2,100 |
43.87% ↑
|
2021年 | 1,460 |
5.59% ↑
|
2020年 | 1,383 |
22.44% ↑
|
2019年 | 1,129 |
31.3% ↑
|
2018年 | 860 |
13.16% ↑
|
2017年 | 760 |
7.04% ↑
|
2016年 | 710 |
-21.11% ↓
|
2015年 | 900 |
-32.33% ↓
|
2014年 | 1,330 |
69.26% ↑
|
2013年 | 786 |
-19.1% ↓
|
2012年 | 971 |
-6.97% ↓
|
2011年 | 1,044 |
8.75% ↑
|
2010年 | 960 |
6.67% ↑
|
2009年 | 900 |
20.97% ↑
|
2008年 | 744 |
-3.13% ↓
|
2007年 | 768 |
6.67% ↑
|
2006年 | 720 |
3.45% ↑
|
2005年 | 696 |
9.43% ↑
|
2004年 | 636 |
3.92% ↑
|
2003年 | 612 |
2% ↑
|
2002年 | 600 |
13.64% ↑
|
2001年 | 528 |
4.76% ↑
|
2000年 | 504 |
10.53% ↑
|
1999年 | 456 |
4.11% ↑
|
1998年 | 438 |
0.72% ↑
|
1997年 | 435 |
-15.25% ↓
|
1996年 | 513 |
26.17% ↑
|
1995年 | 407 |
10.57% ↑
|
1994年 | 368 |
-0.66% ↓
|
1993年 | 370 |
18.08% ↑
|
1992年 | 314 |
-11.8% ↓
|
1991年 | 356 |
-1.25% ↓
|
1990年 | 360 |
-7.96% ↓
|
1989年 | 391 |
1.4% ↑
|
1988年 | 386 |
2.49% ↑
|
1987年 | 376 |
-30.99% ↓
|
1986年 | 545 |
5.21% ↑
|
1985年 | 518 |
12.94% ↑
|
1984年 | 459 |
3.16% ↑
|
1983年 | 445 |
1.94% ↑
|
1982年 | 437 |
0.25% ↑
|
1981年 | 435 |
0.79% ↑
|
1980年 | 432 |
0.84% ↑
|
1979年 | 428 |
-39.9% ↓
|
1978年 | 713 | - |
1977年 | 713 |
-58.75% ↓
|
1976年 | 1,728 |
-18.64% ↓
|
1975年 | 2,124 |
-43% ↓
|
1974年 | 3,726 |
-48.12% ↓
|
1973年 | 7,182 |
45.09% ↑
|
1972年 | 4,950 |
17.02% ↑
|
1971年 | 4,230 |
-34.54% ↓
|
1970年 | 6,462 |
-36.35% ↓
|
1969年 | 10,152 |
-30.02% ↓
|
1968年 | 14,508 |
59.6% ↑
|
1967年 | 9,090 |
80.36% ↑
|
1966年 | 5,040 |
154.55% ↑
|
1965年 | 1,980 |
-57.53% ↓
|
1964年 | 4,662 |
72.67% ↑
|
1963年 | 2,700 | - |
1962年 | 2,700 | - |
1961年 | 2,700 | - |
パラグアイにおける馬肉生産の動向を詳しく見ると、1960年代から1970年代初頭にかけては、経済的背景や需要の変化によって大きな増減が見られました。特に1967年から1969年にかけての急激な増加は、国内外での肉需要の変動や、農業政策の影響が関係している可能性があります。しかし1970年代後半以降、生産量は劇的に低下し、その後1980年代から1990年代に約300~500トン前後で低位で安定傾向を見せました。この時期、国内市場での馬肉の需要が低調であり、輸出産業としての地位もそれほど確立されていなかったことが一因と考えられます。
2000年以降、パラグアイの馬肉生産量は緩やかに上昇を続けています。この背景には、隣国アルゼンチンやウルグアイといった畜産業が盛んな国々との輸出市場の活発化が寄与していると分析されます。さらに、世界的な馬肉需要の変化や、特にヨーロッパ諸国における食文化の多様化、そして冷凍技術の進歩がパラグアイ産馬肉の国際市場での競争力を高める結果となっています。
2022年の2,100トンという記録的な生産量は、パラグアイの馬肉産業が一時的に大きく成長したことを示しています。ただし、2023年には1,698トンと再び減少しており、これは国内外の需要変動や、農業政策や取引条件の変化が影響している可能性があります。さらに、新型コロナウイルスのパンデミックが国際物流に与えた影響も、一時的な供給減少に関与していると考えられます。
また、地政学的な背景もこの分野に影響を与えています。パラグアイは内陸国であり、港湾インフラが不足しているため、輸出コストが比較的高くなりがちです。このような地理的制約が、特に国際競争力を高める上での課題となっています。また、近隣諸国との貿易交渉や環境規制の強化により、生産効率の見直しが求められるケースも増えています。
未来を見据えると、パラグアイの馬肉産業はさらなる成長が期待される一方で、いくつかの課題をクリアする必要があります。まず、輸出先を多様化し、ヨーロッパ市場だけでなくアジアや中東といった新しい市場を開拓することが挙げられます。これには、国際基準への適合や品質認証の取得が鍵となるでしょう。また、国内での生産技術の効率化や、環境に配慮した持続可能な畜産業の構築も重要です。特に水資源の管理や生態系保全に配慮した政策が必要となるでしょう。
結論として、パラグアイの馬肉生産は、過去から現在にかけて紆余曲折を経ており、近年の回復傾向は世界市場の需要と一致しています。ただし、継続的な成長を確保するためには、輸出の多様化や国内生産の効率化、そして地政学的制約に対する対策を講じる必要があります。国際的な競争力を維持するために、地域協力の強化とともに、国際機関との連携を通じた新しい輸出ルートの確立が求められるでしょう。