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パラグアイのサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、パラグアイのサツマイモ生産量は、1961年に72,000トンを記録し、それ以降、長期間にわたり変動を伴いながら推移しています。特に1970年代後半から1980年代にかけて急激に増加し、1987年には140,453トンという最大値を記録しました。その後の生産量は上下しつつも、2008年以降、減少傾向が続き、2022年時点では約51,634トンとなっています。過去数十年の中で特に顕著な減少や変動の要因に注目することが今後の政策・対策を考える上で重要です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 26,407
-48.86% ↓
2022年 51,634
-1.44% ↓
2021年 52,388
0.66% ↑
2020年 52,046
3.02% ↑
2019年 50,520
-0.16% ↓
2018年 50,599
1.71% ↑
2017年 49,750 -
2016年 49,750
3.25% ↑
2015年 48,183
-7.34% ↓
2014年 52,000
14.52% ↑
2013年 45,405 -
2012年 45,405 -
2011年 45,406
5.95% ↑
2010年 42,858
-3.71% ↓
2009年 44,511
2.58% ↑
2008年 43,390
-58.28% ↓
2007年 104,000
-37.16% ↓
2006年 165,490
23% ↑
2005年 134,540
-19.4% ↓
2004年 166,932
56.99% ↑
2003年 106,332
-14.51% ↓
2002年 124,383
-5% ↓
2001年 130,929
89.6% ↑
2000年 69,054
-12.99% ↓
1999年 79,365
3.14% ↑
1998年 76,947
-1.42% ↓
1997年 78,053
16.37% ↑
1996年 67,076
-5.29% ↓
1995年 70,824
-33.41% ↓
1994年 106,359
7.5% ↑
1993年 98,937
17.05% ↑
1992年 84,523
0.35% ↑
1991年 84,232
-20% ↓
1990年 105,291
-20.01% ↓
1989年 131,622
-3.69% ↓
1988年 136,662
-2.7% ↓
1987年 140,453
60.37% ↑
1986年 87,582
-13.99% ↓
1985年 101,825
10.68% ↑
1984年 92,000
5.02% ↑
1983年 87,600
5.54% ↑
1982年 83,000
10.52% ↑
1981年 75,100
-33.01% ↓
1980年 112,100
5.45% ↑
1979年 106,307
-9.08% ↓
1978年 116,922
-1.92% ↓
1977年 119,206
4.98% ↑
1976年 113,555
7.82% ↑
1975年 105,317
8.44% ↑
1974年 97,121
10.27% ↑
1973年 88,076
22.16% ↑
1972年 72,100
-27.17% ↓
1971年 99,000
0.51% ↑
1970年 98,500
4.98% ↑
1969年 93,830
10% ↑
1968年 85,300
-5.01% ↓
1967年 89,800 -
1966年 89,800
-9.93% ↓
1965年 99,700
15.59% ↑
1964年 86,250
16.24% ↑
1963年 74,200
6% ↑
1962年 70,000
-2.78% ↓
1961年 72,000 -

パラグアイのサツマイモ生産量の推移データを詳しく見ると、生産量は時期によって大きく異なります。1961年から1980年後半にかけて、全体的には増加傾向が見られますが、特に1976年から1987年にかけての生産量の急上昇は目を引きます。この期間には、農業部門への技術投入や農地拡大が進み、結果として生産量の増加に貢献した可能性が指摘されています。例えば、1987年に記録された140,453トンの最大値は、国内外の需要への対応や農産物流通の改善が背景にあったと考えられます。

しかし、それ以降は全体的に不安定な傾向を示し、とりわけ2008年以降に顕著な減少が見られます。この変化については、いくつかの要因が考えられます。まず第一に、自然災害や気候変動が農作物の生産に悪影響を及ぼしている可能性が挙げられます。パラグアイはラテンアメリカの内陸国で、雨量や気温の変動が農業生産に与える影響が大きいとされています。また2000年代後半からは、競合法的経済作物(例えば、大豆やトウモロコシ)へのシフトが進み、サツマイモの栽培面積が減少したことが一因と考えられます。

近年、特に2013年以降のデータでは、生産量が約45,000トン前後で停滞もしくはわずかな増減を繰り返しており、成長が見られていないことが特徴的です。この背景には、国内市場での需要減少や輸出市場での競争激化のほか、生産技術の効率化が進んでいないことなどが挙げられます。

加えて、地域内の農業政策の不十分さや資金・技術の不足も課題です。例えば、日本や中国では、サツマイモをバイオエタノールの原料や健康志向の食品として積極的に開発し、その生産効率を上昇させています。一方、パラグアイではサツマイモの産業的価値が他地域に比べて十分に認識されておらず、その結果、農家にとっての魅力的な作物とは見なされにくい状況になっています。

未来への提言としては、以下のような施策が必要です。まず、農業技術の近代化を進めることで、気候変動による影響を軽減できる耐性のあるサツマイモ品種の開発を推奨します。次に、国内外の市場においてサツマイモの新たな価値を創出し、高付加価値製品(スナック菓子やエタノールの原材料など)の開発を促進すべきです。さらに、農家に対する補助金や教育プログラムを拡充することで、栽培面積の拡大を支援することも重要です。

加えて、パラグアイが直面する地政学的な課題も考慮する必要があります。例えば、周辺国との農業競争や輸出関税の問題が長期的な農業戦略に影響を与える可能性があります。そのため、地域ブロック内での協力関係を強化し、輸出に関する貿易協定の再交渉や新規締結を通じて、国際市場での競争力を高める努力も求められます。

これらの具体的な取り組みを通じて、パラグアイのサツマイモ生産の復調が見込まれます。特に、農業分野の活性化は農村部の経済にとっても重要であり、サツマイモを中心に据えた持続可能な農業政策を展開することで、長期的には地域社会の発展にも貢献することが期待されます。