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パラグアイのナシ生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新した最新データによると、パラグアイのナシ生産量は1961年の50トンから徐々に増加し、特に1980年代に急上昇を見せました。1990年代には比較的安定した水準を維持し、2000年代以降は200~230トン程度で推移しています。しかし、直近の2023年では215トンと、やや減少傾向が見られます。このデータは、パラグアイの果樹農業の変遷を示す重要な指標であり、気候条件や農業政策、持続可能な生産体制の必要性を理解するうえで大変参考になります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 215
-1% ↓
2022年 217
0.36% ↑
2021年 216
0.23% ↑
2020年 216
-0.87% ↓
2019年 218
0.05% ↑
2018年 218
-0.38% ↓
2017年 219
-0.79% ↓
2016年 220
-1.63% ↓
2015年 224
5.09% ↑
2014年 213
-4.81% ↓
2013年 224
-6.75% ↓
2012年 240
4.67% ↑
2011年 229
1.24% ↑
2010年 226
-1.53% ↓
2009年 230
19.04% ↑
2008年 193
0.02% ↑
2007年 193
-3.17% ↓
2006年 200
-0.9% ↓
2005年 201
0.66% ↑
2004年 200
-9.09% ↓
2003年 220
1.03% ↑
2002年 218
-2.78% ↓
2001年 224
6.76% ↑
2000年 210
4.91% ↑
1999年 200
11.11% ↑
1998年 180
6.51% ↑
1997年 169
-9.14% ↓
1996年 186
-8.37% ↓
1995年 203
-8.97% ↓
1994年 223
0.9% ↑
1993年 221
1.38% ↑
1992年 218
0.46% ↑
1991年 217
0.46% ↑
1990年 216
0.93% ↑
1989年 214
0.47% ↑
1988年 213
-4.05% ↓
1987年 222
2.3% ↑
1986年 217
5.34% ↑
1985年 206
4.57% ↑
1984年 197
42.75% ↑
1983年 138
5.34% ↑
1982年 131
204.65% ↑
1981年 43
-28.33% ↓
1980年 60
-20% ↓
1979年 75
2.74% ↑
1978年 73
-1.35% ↓
1977年 74
-9.76% ↓
1976年 82
2.5% ↑
1975年 80
2.56% ↑
1974年 78
2.63% ↑
1973年 76
1.33% ↑
1972年 75
1.35% ↑
1971年 74 -
1970年 74
5.71% ↑
1969年 70
16.67% ↑
1968年 60
9.09% ↑
1967年 55 -
1966年 55
10% ↑
1965年 50 -
1964年 50 -
1963年 50 -
1962年 50 -
1961年 50 -

パラグアイのナシ生産量推移のデータを分析すると、1960年代から徐々に増加し始め、1980年代に入ると劇的な成長を見せています。例えば、1981年の43トンから1983年には138トン、さらに1985年には206トンという飛躍的な伸びがありました。この背景には、当時の農業技術の進展や果樹農業への関心の高まりが影響を与えた可能性が考えられます。ただし、1990年代以降は増加率が鈍化し、安定的な水準となりました。この安定期は、パラグアイにおけるナシ生産の基盤が成熟した時期とも言えるでしょう。

2000年代以降の生産量は200~230トンの範囲で大きな変動はありませんが、2023年には215トンと若干の減少が見られます。この要因の一つとして、気候変動の影響による収穫量の不安定さが挙げられます。また、農家の世代交代や若者人口の都市流出による労働力不足も無視できない課題です。これらの問題は、他の果実生産地域である日本や韓国にも共通する課題であり、農業の持続可能性を確保するためには緊急の対策が求められています。

一方で、パラグアイのナシ生産量は国際市場全体から見ると依然として小規模です。例えば、中国は世界最大のナシ生産国であり、年間生産量は1900万トンを超えます。この数字と比較すると、パラグアイの生産量はわずかに過ぎませんが、地元市場においては重要な役割を果たしています。このため、生産効率の向上と収益性の維持が、パラグアイの農業政策上の課題となるでしょう。

また、地政学的背景から見ても、パラグアイの農業は輸入資材への依存度が高いため、国際的な資材価格の変動や物流の混乱に対して脆弱です。近年の新型コロナウイルスのパンデミックやウクライナ情勢に起因する物流の遅延も、農業セクターに影響を与えた可能性があります。これを踏まえると、安定した農業生産体制を構築することが急務です。

未来に向けた具体的な提言として、灌漑技術の導入や近代的な農業器具の活用、さらにはナシ以外の果物との混合作物栽培を推進することが挙げられます。これにより、ナシ生産のみに依存せず、リスクを分散することが可能になります。また、国際機関や近隣国との協力のもと、気候変動の影響を軽減するための研究開発も必要です。

結論として、パラグアイのナシ生産は過去数十年にわたり徐々に成長し、現在は安定期にあります。しかし、外的要因によるリスクが存在するため、持続可能で気候に強い農業システムの設立が不可欠です。政府と農業従事者が連携し、技術革新や教育への投資を進めることで、将来的にさらに強い農業基盤を築くことが期待されています。