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パラグアイのアボカド生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、パラグアイのアボカド生産量は1960年代において10,000トン前後で推移し、その後1970年代から1980年代半ばにかけて緩やかに増加しました。しかし、1987年以降は全体的に減少基調に転じ、1990年代には13,000トン前後に落ち込みました。その後2000年代以降はやや持ち直し、2010年代以降では15,000トン前後で一定の安定を見せています。2023年には15,701トンとなり、再び増加傾向が見られる状況です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 15,701
2.43% ↑
2022年 15,329
0.48% ↑
2021年 15,256
-0.66% ↓
2020年 15,357
-0.1% ↓
2019年 15,373
2.23% ↑
2018年 15,038
-3.98% ↓
2017年 15,661
1.56% ↑
2016年 15,420
9.89% ↑
2015年 14,032
-13.95% ↓
2014年 16,308
2.44% ↑
2013年 15,919
2.7% ↑
2012年 15,500
3.7% ↑
2011年 14,946
3.19% ↑
2010年 14,485
3.46% ↑
2009年 14,000
1.84% ↑
2008年 13,747
1.83% ↑
2007年 13,500
0.91% ↑
2006年 13,378
1.66% ↑
2005年 13,160
1.23% ↑
2004年 13,000
-3.7% ↓
2003年 13,500
3.85% ↑
2002年 13,000
4% ↑
2001年 12,500
1.89% ↑
2000年 12,268
2.24% ↑
1999年 12,000
4.35% ↑
1998年 11,500
2.1% ↑
1997年 11,264
-8.75% ↓
1996年 12,344
-8.75% ↓
1995年 13,528
-8.75% ↓
1994年 14,825
1% ↑
1993年 14,678
-2% ↓
1992年 14,978
-2.78% ↓
1991年 15,407
-2.78% ↓
1990年 15,847
-2.76% ↓
1989年 16,296
-0.1% ↓
1988年 16,312
-9.91% ↓
1987年 18,106
0.43% ↑
1986年 18,029
1% ↑
1985年 17,850
2.98% ↑
1984年 17,334
3.18% ↑
1983年 16,800
3.07% ↑
1982年 16,300
-1.21% ↓
1981年 16,500
-2.94% ↓
1980年 17,000
-1.73% ↓
1979年 17,300
2.98% ↑
1978年 16,800
7.01% ↑
1977年 15,700
-3.09% ↓
1976年 16,200
3.18% ↑
1975年 15,700
-1.88% ↓
1974年 16,000
0.63% ↑
1973年 15,900
2.58% ↑
1972年 15,500
3.33% ↑
1971年 15,000
3.45% ↑
1970年 14,500
13.28% ↑
1969年 12,800
14.29% ↑
1968年 11,200
21.74% ↑
1967年 9,200
3.37% ↑
1966年 8,900
3.49% ↑
1965年 8,600
4.88% ↑
1964年 8,200
2.5% ↑
1963年 8,000
-20% ↓
1962年 10,000 -
1961年 10,000 -

パラグアイのアボカド生産量は、長年にわたり一定周期で変動してきました。1960年代は概ね10,000トン台で安定していましたが、1970年代には増産の兆しを見せ、14,000~16,000トン台へと達しました。この時期は農業技術の向上や需要拡大が寄与したと考えられます。しかし、1980年代末から1990年代にかけて急激な減少が見られ、最低で11,264トン(1997年)に達しました。この減少は、外的な経済環境の悪化や農業分野のインフラ不足、さらには地域の気候変動や土地の利用形態の変化によるものと推測されます。

2000年代以降は徐々に生産が回復し、2020年代には15,000トン前後に安定する状況になっています。この安定化には農業政策や国際的な市場のニーズ、栽培技術の改善が背景にあるとみられます。しかし、2024年最新データの15,701トンという現状は、ピークを迎えたわけではなく、今後の成長が不確実な要素も含んでいます。

同じ南米のアボカド生産国としては、メキシコが圧倒的な規模で世界最大の生産量を誇り、ブラジルやチリも中規模の生産を行っています。これらの国々はパラグアイよりもはるかに大規模な生産体制を有しており、国際市場での競争力も非常に高いです。一方で、パラグアイの地理的な条件や限られた農業資源を考慮すると、国際市場を指向しつつも国内消費の強化や特定市場でのニッチ戦略を進めることが重要です。

また、生産量の変動には地政学的背景や気候変動も影響を与える可能性があります。例えば、気候変動による降雨量や気温の変化はアボカドの収穫量に直接関係し、近年南米諸国で頻発する異常気象がこの傾向をさらに不安定にしています。また、地域での経済的および政治的な不安定要因が農業分野にも影響を及ぼしています。

このような背景を考慮し、今後の課題として挙げられるのは、まず土壌の保全と気候変動への適応です。耐寒性・耐暑性のあるアボカド品種の導入や、農業用水の効率的な利用が求められます。また、国内外のマーケットに適した高品質のアボカド生産を推進するために、生産者の研修制度の充実や国内での物流インフラの改善も急務です。地域的な取り組みとしては、農地の連携や協働を促進する制度を構築し、地域間で技術の共有を図ることも有効でしょう。

さらに、中南米における経済協力機構の一環として、近隣諸国と共同でアボカド輸出の枠組みを設定することで、競争力のある価格と持続可能な供給体制を実現することが期待されています。国際機関や環境NGOと協力し、地球温暖化による農業影響を緩和するための投資を引き込むことも重要な要素です。

結論として、パラグアイのアボカド生産は一時期の停滞から抜け出しつつあるものの、気候変動や国際競争を背景に、生産規模の拡大と安定には多面的な対策が必要とされています。これには短期的な技術強化とともに、長期的な持続可能性を見据えた政策が鍵となるでしょう。