Skip to main content

オランダの大麦生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、オランダの大麦生産量は1961年に385,077トンでスタートし、その後長期的に上下を繰り返しつつ、総じて減少傾向を示しています。2023年には230,510トンを記録し、1960年代と比べると大幅に減少しています。一方、2022年には一時的に283,230トンまで生産量が増加しましたが、翌2023年には再び減少しました。この長期的な推移は気候、農業政策、市場需要など複合的な要因によると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 230,510
-18.61% ↓
2022年 283,230
44.07% ↑
2021年 196,590
-20.15% ↓
2020年 246,190
1.58% ↑
2019年 242,370
-2.07% ↓
2018年 247,500
21.14% ↑
2017年 204,316
-13.51% ↓
2016年 236,231
3.05% ↑
2015年 229,233
16.41% ↑
2014年 196,925
-5.36% ↓
2013年 208,084
1.05% ↑
2012年 205,912
0.59% ↑
2011年 204,702
0.13% ↑
2010年 204,444
-33.97% ↓
2009年 309,619
-0.19% ↓
2008年 310,200
19.31% ↑
2007年 260,000
-3.24% ↓
2006年 268,700
-12.5% ↓
2005年 307,100
6.78% ↑
2004年 287,600
-17.61% ↓
2003年 349,067
10.71% ↑
2002年 315,300
-18.49% ↓
2001年 386,800
34.4% ↑
2000年 287,800
-21.15% ↓
1999年 365,000
70.16% ↑
1998年 214,500
-20.05% ↓
1997年 268,290
14.26% ↑
1996年 234,800
15.95% ↑
1995年 202,500
-11.03% ↓
1994年 227,600
-10.04% ↓
1993年 253,000
24.01% ↑
1992年 204,024
-14.25% ↓
1991年 237,921
8.64% ↑
1990年 219,000
-12.65% ↓
1989年 250,712
-17.06% ↓
1988年 302,290
15.45% ↑
1987年 261,847
-0.13% ↓
1986年 262,191
32.83% ↑
1985年 197,387
2.94% ↑
1984年 191,747
8.38% ↑
1983年 176,920
-28.49% ↓
1982年 247,400
-0.46% ↓
1981年 248,531
-3.59% ↓
1980年 257,791
-10.41% ↓
1979年 287,750
-18.96% ↓
1978年 355,050
23.9% ↑
1977年 286,554
8.79% ↑
1976年 263,397
-21.59% ↓
1975年 335,924
6.65% ↑
1974年 314,991
-17.68% ↓
1973年 382,651
12.64% ↑
1972年 339,712
-8.95% ↓
1971年 373,111
11.61% ↑
1970年 334,300
-14.15% ↓
1969年 389,393
-0.02% ↓
1968年 389,478
-12.81% ↓
1967年 446,679
7.26% ↑
1966年 416,450
11.72% ↑
1965年 372,764
-0.8% ↓
1964年 375,753
-2.86% ↓
1963年 386,835
-10.25% ↓
1962年 430,996
11.92% ↑
1961年 385,077 -

オランダの大麦生産量の推移は複雑な変動を伴っていますが、特に1960年代から1980年代にかけては比較的高い生産量を維持していました。しかし、1980年代半ば以降、総じて減少の一途をたどり、2023年には1960年代の生産量の半分以下となっています。このような傾向にはさまざまな要因が関与しており、気候変動、農作物の多様化、そして政策的な要因が主要な要因として挙げられます。

気候変動の影響も無視できません。ヨーロッパ全体で異常気象や乾燥した夏が増える中、大麦のような穀物作物にはマイナスの影響が出ることがあります。特に近年(2021年や2023年など)の生産量減少は、極端な天候や降雨不足が一因となった可能性があります。また、2022年に生産量が一時的に増加していることから、年ごとの気候変動が生産量の短期的な変動に強く影響を与えていることが伺えます。

政策面で見ると、ヨーロッパ連合における農業政策も大きな役割を果たしていると考えられます。オランダにおいては、農地の利用効率を高めるために、作物の栽培に関して重点がより収益性の高い作物や需要の高い食料品に移行したため、大麦の作付け面積が縮小した可能性があります。同様に他国でも、農業の方向性は広い意味でグローバル市場の需要に影響を受けています。

市場需要の観点では、食料や飼料としての大麦の需要が増減する中で、経済の動向とも密接に関連しています。近年では、ビールの原料としての需要が特定地域では増加する一方、国ごとでは飼料用の需要縮小など地域差が生じています。また、日本や中国、フランスのような他国と比較しても、大麦生産に対する経済依存度はオランダでは低い傾向が見られます。これはオランダの輸出重視型農業、特に温室栽培技術を用いた園芸作物の輸出拡大政策が影響していると考えられます。

このような背景を踏まえると、オランダにおける大麦栽培の将来にはいくつかの課題が予想されます。例えば、気候変動への適応策を強化し、極端な天候条件に対応するための穀物栽培技術の開発が重要です。また、農家に対して環境に配慮した栽培方法に転換する支援や適切な補助金の提供も考慮するべきでしょう。同時に、国際的な需給バランスに応じた効率的な農業政策を維持することが課題となるでしょう。

さらに地政学的な背景として、ウクライナ紛争の影響はヨーロッパ全域における穀物市場に重要な影響を与えています。ウクライナは世界有数の穀物輸出国であり、その輸出量の減少がヨーロッパ全体の穀物価値に波及効果を及ぼし、代替的な穀物生産地としてオランダにも影響を及ぼしている可能性があります。これに伴い、食料供給の安定や価格の適正化に向けた農業政策の柔軟性が今後注目されるでしょう。

結論として、大麦生産量の減少傾向には地域的および国際的な課題が重なっていることが見て取れます。そのため、持続的な食料供給を維持するために、科学技術の活用や農業政策の最適化、さらには国際的な協調が求められます。オランダの強みである農業技術を最大限に活かしつつ、気候変動や地政学的リスクに柔軟に対応していくことが重要です。