Skip to main content

オランダのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、オランダのトウモロコシ生産量はこの数十年で大きな変動を見せています。1960年代から1990年代前半までは年間生産量が数千トンにとどまっていましたが、1990年代中盤以降には急成長を遂げ、2000年代には20万トンを上回る生産量を記録しました。しかし、2010年代半ば以降では減少が顕著になり、直近のデータである2022年には176,900トンと減少傾向が続いています。

年度 生産量(トン)
2022年 176,900
2021年 171,420
2020年 165,790
2019年 148,300
2018年 89,280
2017年 116,711
2016年 84,641
2015年 121,114
2014年 173,066
2013年 185,284
2012年 191,363
2011年 204,400
2010年 196,903
2009年 244,911
2008年 252,300
2007年 230,600
2006年 181,200
2005年 183,000
2004年 190,000
2003年 206,000
2002年 230,000
2001年 242,000
2000年 223,300
1999年 112,300
1998年 150,700
1997年 64,000
1996年 87,200
1995年 63,400
1994年 83,100
1993年 94,600
1992年 62,600
1991年 90,000
1990年 30,000
1989年 5,000
1988年 4,000
1987年 3,000
1986年 2,000
1985年 5,000
1984年 1,000
1983年 2,000
1982年 1,000
1981年 510
1980年 2,000
1979年 2,000
1978年 5,000
1977年 5,000
1976年 5,000
1975年 7,000
1974年 10,000
1973年 11,000
1972年 10,000
1971年 11,000
1970年 4,000
1969年 376
1968年 200
1967年 800
1966年 200
1965年 200
1964年 200
1963年 179
1962年 293
1961年 729

オランダのトウモロコシ生産の歴史的な推移を振り返ると、生産量は激しい変動を伴っています。1960年代には、年間生産量がわずか数百トンにすぎない年もありましたが、1970年代には一部で1万トン以上に達するケースも見られました。この時期の増減の背景としては、国内の農業政策やトウモロコシの需要そのものが限られていたことが考えられます。

大きな転換点は1990年代で、1990年に30,000トンだった生産量が翌年には90,000トンと3倍に拡大し、1998年には150,700トン、2000年には223,300トンと劇的に増加しました。この急激な成長は、単位面積あたりの収量を高める栽培技術の進化や、EU加盟国間での農業政策統一がもたらした市場拡大が一因とされています。また、トウモロコシが家畜飼料として需要を伸ばしたことや、輸出市場の拡大もこの時期の背景に挙げられます。

2000年代には安定して20万トン近い生産量を維持していましたが、2010年代半ば以降、再び減少傾向が目立つようになります。2016年には84,641トンと2000年代の水準を下回り、2022年の176,900トンという数値も過去の最盛期と比べると低調な水準です。この傾向の背景としては、EU共通農業政策の変更や、トウモロコシ以外の作物への転換が進んだこと、さらには気候変動の影響による収穫条件の不安定化などが指摘されています。

オランダの地理的特性に目を向けると、限られた土地面積を最大限に活用する農業技術には定評があるものの、国内での需要を賄うためだけでなく、輸出のプレッシャーも存在します。特に、近年のEU全域で進む環境規制の厳格化や、トウモロコシをめぐる世界的な市場動向が、オランダの生産に影響を与えています。また、気候変動の影響により、夏季の高温化や干ばつを受けて収量が安定しないリスクも課題です。

将来的な課題として、持続可能な生産体制の確立が挙げられます。土地や資源の効率的な利用は引き続き重要ですが、それに加えて、環境負荷の軽減や、気候変動に強い作物の品種改良が欠かせません。また、EU域内の輸出需要に対応するためには、農業技術のさらなる進歩と均衡のとれた農業政策が求められます。

結論として、オランダのトウモロコシ生産は、過去数十年にわたり国内需要、気候条件、EU政策、輸出需要といった複合的な要因に大きく左右されています。今後も環境変化や市場の動向が生産に影響を与える可能性が高く、地域間での技術共有や政策の連携を進めることが、長期的な安定と成長に繋がると考えられます。国際機関や国内外の研究機関と連携し、持続可能な農業技術への投資を強化することが特に重要です。