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オランダのトマト生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に発表したデータによると、オランダのトマト生産量は1961年に225,196トンだったのが、2020年には910,000トンに達し、長期的には大幅に増加してきました。しかし、2021年から生産量が減少し、2022年には770,000トンまで落ち込んでいます。この減少傾向は、新型コロナや農業政策の影響、さらにエネルギー価格の上昇が原因である可能性があります。

年度 生産量(トン)
2022年 770,000
2021年 880,000
2020年 910,000
2019年 910,000
2018年 910,000
2017年 910,000
2016年 900,000
2015年 890,000
2014年 900,000
2013年 855,000
2012年 805,000
2011年 815,000
2010年 815,000
2009年 800,000
2008年 730,000
2007年 685,000
2006年 680,000
2005年 660,000
2004年 655,000
2003年 595,000
2002年 555,000
2001年 550,000
2000年 520,000
1999年 525,000
1998年 510,000
1997年 510,000
1996年 479,800
1995年 600,700
1994年 560,700
1993年 606,000
1992年 652,000
1991年 636,100
1990年 649,900
1989年 620,800
1988年 567,000
1987年 547,000
1986年 547,000
1985年 526,000
1984年 488,000
1983年 475,000
1982年 473,000
1981年 409,000
1980年 396,000
1979年 405,000
1978年 372,000
1977年 367,000
1976年 373,000
1975年 346,900
1974年 371,700
1973年 363,200
1972年 361,600
1971年 345,868
1970年 392,254
1969年 357,966
1968年 343,749
1967年 346,189
1966年 297,876
1965年 312,410
1964年 291,789
1963年 226,355
1962年 229,162
1961年 225,196

オランダのトマト生産量を見ていくと、1961年の225,196トンから順調に増加を続け、特に1990年代中盤以降には技術革新や栽培環境の改善が進み、生産量は飛躍的に増加しました。2003年以降は年平均600,000トンを超える規模が維持され、2013年には過去最高の855,000トン、さらに2014年には900,000トンに達しています。これは、オランダがガラスハウス栽培や温室技術を活用し、世界的にも効率的な農業生産国としての地位を築いた成果といえます。このガラスハウスとは、温度や湿度を管理して作物を栽培する構造体で、オランダの農業生産性向上の中心的な役割を果たしています。

ただし、2021年以降は減少傾向に転じ、2022年には770,000トンまで落ち込んでいます。この減少の背景には、複数の要因が考えられます。第一に、新型コロナウイルスの影響により、労働力の不足や物流の混乱が生じました。これに伴い、生産現場や国際市場での移動制限が農業全般に影響を与えました。第二に、エネルギー価格の高騰も大きな問題です。温室栽培ではエネルギー消費が非常に高く、特に化石燃料価格の上昇はコスト増につながります。この問題は、他のヨーロッパ諸国や日本でも共通して見られる課題です。さらに、気候変動の影響も無視できません。一部の地域では気温や湿度の異常が確認されており、トマト栽培に適する環境を維持するのが困難となっています。

ここで注目すべきは、ドイツやイギリスのような周辺国との比較です。これらの国々でもオランダ産トマトは主要な輸入品であり、オランダの生産量減少がそれらの国々の供給不足へと直結する可能性があります。このため、地域間協力や新たな輸入先の確保といった政策が必要とされています。また、アメリカや中国、インドなどの新興市場と比較すると、オランダが小規模ながら付加価値の高い農業技術を持つことが強みといえます。

この状況を受けて、オランダが取り組むべき課題として、持続可能な農業の推進とエネルギー効率の向上が挙げられます。例えば、再生可能エネルギーを活用した温室設備の導入は、現在の課題を解決する効果的な方法です。また、気候に対する適応能力を高めるための研究開発も必要です。さらに、労働力不足への対策として移民政策の緩和や労働環境の改善も検討すべきでしょう。

地球規模での食糧安全保障を考えると、オランダの農業は他国への重要なモデルとなります。そのため、国際機関や地域間の枠組みを活用し、資源の効率化や環境保全を進めるべきです。気候変動やエネルギー問題を踏まえ、農業技術の輸出やノウハウ共有をより積極的に進めることが、オランダ農業の未来を拓く鍵となるでしょう。