国際連合食糧農業機関(FAO)による最新のデータから、オランダにおけるカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1987年の50トンという小規模から2023年の39,950トンへと、大きく成長していることが示されています。特に、2000年代以降は年間平均12,000~18,000トンという安定した生産量を維持しつつ、2017年以降急激に増加しています。この傾向は、輸出需要の拡大や農業技術の進展などが背景にあると考えられます。
オランダのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 39,950 |
11.31% ↑
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2022年 | 35,890 |
-0.61% ↓
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2021年 | 36,110 |
10.13% ↑
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2020年 | 32,790 |
2.05% ↑
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2019年 | 32,130 |
4.66% ↑
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2018年 | 30,700 |
17.18% ↑
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2017年 | 26,200 |
55.03% ↑
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2016年 | 16,900 |
-8.15% ↓
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2015年 | 18,400 |
5.14% ↑
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2014年 | 17,500 |
2.94% ↑
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2013年 | 17,000 | - |
2012年 | 17,000 |
-5.56% ↓
|
2011年 | 18,000 | - |
2010年 | 18,000 |
-2.7% ↓
|
2009年 | 18,500 |
12.12% ↑
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2008年 | 16,500 |
17.86% ↑
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2007年 | 14,000 |
21.74% ↑
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2006年 | 11,500 |
-4.17% ↓
|
2005年 | 12,000 |
9.09% ↑
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2004年 | 11,000 |
-8.33% ↓
|
2003年 | 12,000 |
9.09% ↑
|
2002年 | 11,000 | - |
2001年 | 11,000 | - |
2000年 | 11,000 |
-12% ↓
|
1999年 | 12,500 |
13.64% ↑
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1998年 | 11,000 |
-13.39% ↓
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1997年 | 12,700 |
20.95% ↑
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1996年 | 10,500 |
-27.08% ↓
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1995年 | 14,400 |
82.28% ↑
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1994年 | 7,900 |
3.95% ↑
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1993年 | 7,600 |
4.11% ↑
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1992年 | 7,300 |
4.29% ↑
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1991年 | 7,000 | - |
1990年 | 7,000 |
600% ↑
|
1989年 | 1,000 |
300% ↑
|
1988年 | 250 |
400% ↑
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1987年 | 50 | - |
オランダのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産推移を見ると、1987年から2010年代まで、徐々に安定的な成長を遂げていることがわかります。特に1987年の50トンから1990年には7,000トン、さらに1995年には14,400トンと、数年ごとに生産量が大幅に増加しました。この急増には、オランダの施設園芸技術の定着化や、EU市場への流通網の拡大が関与していると考えられます。
2000年代に入ると生産量は年間11,000~18,000トンの間で比較的一定の水準を保ちました。この期間における生産の安定は、持続可能な農業技術や施設管理の向上、また気候変動に対する適応策の導入が順調に進んだ結果と考えられます。ただし、特定の年(1996年や2004年など)における収量の変動には、天候不順や市場動向の変化が影響した可能性があります。
特筆すべきは2017年以降の急激な増加傾向です。2016年の16,900トンに対して、2017年には26,200トン、2023年には39,950トンと、生産量がほぼ倍増しています。この成長の背後には、オランダ国内外での需要の拡大が挙げられます。カボチャやスクワッシュは、ヨーロッパ諸国での健康志向の拡がりを背景に、スーパーフードとしての人気が高まっており、これらの作物の輸出需要が急速に高まったと推測されます。また、オランダの農業システムにおける自動化や高度な温室栽培技術の普及が、生産性向上に大きく寄与していると考えられます。
一方で、今後の課題としては、品質の均一化、労働力不足への対応、気候変動の影響が挙げられます。特に気候変動は、極端な気象条件を生み出し、作物の成長時期や収量に予測困難な影響を与える可能性があります。このため、さらなる施設内環境管理技術の開発と、温室効果ガス排出を抑えた持続可能な農法への転換が求められます。
また、地政学的背景として、他の主要生産国との競争も影響を及ぼす可能性があります。例えば、中国やインドといったアジア諸国もカボチャやスクワッシュの生産量が多い国であり、これらの国との貿易競争が激しさを増しています。オランダがこれらの国と生産コストで競うことは難しいため、ブランド力と品質の高さを軸に、欧州市場内外で独自のポジションを確立することが鍵となります。
新型コロナウイルスの影響で物流が制限されていた2020年~2022年についても、オランダは堅調に生産を維持しています。この期間において持続可能な生産体制を構築できたことは、今後の環境変化や不測の事態に対する耐性を他国に先駆けて高める礎となったといえるでしょう。
結論として、オランダのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産は、多角的なスキームに支えられた成長を遂げていますが、将来的な安定を図るには、輸出主力市場の維持、農業労働力の確保、気候変動への適応といった問題への明確な政策対応が必要です。国際機関や民間セクターとの連携強化を通じて、地域間協力の枠組みを構築し、持続可能な生産拡大を図ることが大きな課題となるでしょう。