ブルンジの鶏卵生産量は、データが記録され始めた1961年には836トンであったものの、1960年代から1980年代後半にかけて増加を続けました。ピークは1989年の4,100トンに達した後、1990年代以降は減少傾向に転じ、一部の年でやや改善が見られたものの、2023年には2,297トンとなり、いまだ回復傾向が限定的です。この間には政治的不安定性や内戦、環境問題などの多くの課題が関係していると考えられます。
ブルンジの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 2,297 |
1.36% ↑
|
2022年 | 2,266 |
1.05% ↑
|
2021年 | 2,242 |
-5.85% ↓
|
2020年 | 2,382 |
9.58% ↑
|
2019年 | 2,174 |
0.08% ↑
|
2018年 | 2,172 |
-22.44% ↓
|
2017年 | 2,800 |
29.14% ↑
|
2016年 | 2,168 |
0.08% ↑
|
2015年 | 2,167 |
0.08% ↑
|
2014年 | 2,165 |
-31.28% ↓
|
2013年 | 3,150 |
1.61% ↑
|
2012年 | 3,100 |
1.64% ↑
|
2011年 | 3,050 |
1.67% ↑
|
2010年 | 3,000 |
-3.23% ↓
|
2009年 | 3,100 | - |
2008年 | 3,100 |
3.33% ↑
|
2007年 | 3,000 |
-1.96% ↓
|
2006年 | 3,060 |
0.33% ↑
|
2005年 | 3,050 |
-4.69% ↓
|
2004年 | 3,200 |
6.67% ↑
|
2003年 | 3,000 | - |
2002年 | 3,000 | - |
2001年 | 3,000 | - |
2000年 | 3,000 |
-11.76% ↓
|
1999年 | 3,400 |
-2.86% ↓
|
1998年 | 3,500 |
4.48% ↑
|
1997年 | 3,350 |
-1.47% ↓
|
1996年 | 3,400 |
-2.86% ↓
|
1995年 | 3,500 |
-4.11% ↓
|
1994年 | 3,650 |
-2.67% ↓
|
1993年 | 3,750 |
2.74% ↑
|
1992年 | 3,650 |
4.29% ↑
|
1991年 | 3,500 |
4.48% ↑
|
1990年 | 3,350 |
-18.29% ↓
|
1989年 | 4,100 |
2.5% ↑
|
1988年 | 4,000 |
8.11% ↑
|
1987年 | 3,700 |
5.26% ↑
|
1986年 | 3,515 |
2.78% ↑
|
1985年 | 3,420 |
2.86% ↑
|
1984年 | 3,325 |
2.94% ↑
|
1983年 | 3,230 | - |
1982年 | 3,230 |
3.03% ↑
|
1981年 | 3,135 |
3.13% ↑
|
1980年 | 3,040 |
3.23% ↑
|
1979年 | 2,945 |
3.33% ↑
|
1978年 | 2,850 |
3.45% ↑
|
1977年 | 2,755 |
3.57% ↑
|
1976年 | 2,660 |
21.74% ↑
|
1975年 | 2,185 |
4.55% ↑
|
1974年 | 2,090 |
4.76% ↑
|
1973年 | 1,995 |
5% ↑
|
1972年 | 1,900 |
5.26% ↑
|
1971年 | 1,805 |
5.56% ↑
|
1970年 | 1,710 |
12.5% ↑
|
1969年 | 1,520 |
2.56% ↑
|
1968年 | 1,482 |
8.33% ↑
|
1967年 | 1,368 |
9.09% ↑
|
1966年 | 1,254 |
6.45% ↑
|
1965年 | 1,178 |
6.9% ↑
|
1964年 | 1,102 |
11.54% ↑
|
1963年 | 988 |
8.33% ↑
|
1962年 | 912 |
9.09% ↑
|
1961年 | 836 | - |
ブルンジの鶏卵生産量の推移を見ると、初期の1960年代には安定した増加が見られます。特に1961年から1983年までの期間では、年間100トン以上の増加を続けており、この増加の背景には、農業技術の進歩や家禽(家で飼育される鳥類)の飼育体制の拡大が挙げられます。この時期はブルンジ国内でも比較的安定的な経済成長期に該当するため、家禽飼育が農家の収入源や自給自足体制において重要な役割を果たしていたと考えられます。
しかし、1990年代以降、鶏卵生産量は明らかな減少傾向を示します。特に1990年には3,350トンと急激な落ち込みが見られ、その後も断続的に減少する場面が多く見受けられます。この要因として、ブルンジが抱えていた内戦(特に1993年以降のブルンジ内戦)や地域的な政治的不安定、気候変動の影響、さらには家畜飼育の効率性の低下が挙げられます。その結果として、家禽用飼料や衛生的な飼育施設へのアクセスが限られ、生産の停滞を引き起こしたと考えられます。
また、鶏卵生産量は2000年代以降に底値を記録し、2010年代には大きな回復が見られないまま推移しています。特筆すべきは2014年の2,165トンの急激な落ち込みで、この量は1960年代後半のレベルにまで戻っています。この減少の背景には、極端な気候変動や、ブルンジの農村地域でのインフラ不足が影響していると推測されます。さらに2020年以降を見ても、若干の回復傾向があるものの、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が物流や市場へのアクセスに悪影響を及ぼした可能性が高いです。
現状を踏まえると、ブルンジの鶏卵生産量が世界の水準に比べて非常に低いことが分かります。例えば、2023年の生産量2,297トンは、それぞれの国土面積や人口を考慮した場合、日本やインドなどのアジア諸国、さらにはケニアやタンザニアといったアフリカ地域の近隣諸国とも大きな差があります。鶏卵は重要なタンパク源の一つであり、食糧安全保障の観点で見ると、これらの差はブルンジ国民の栄養状態に影響を与える可能性があります。
将来的にブルンジが抱える課題として、まず農業技術の向上が必要です。具体的には、効率的な飼料の供給方法や、病気に強い品種を増やす取り組みが不可欠です。また、地域紛争や内戦が多く発生してきた地政学的な問題の影響も踏まえた政策が必要で、特に国際的な支援による持続可能な食糧生産構造の構築を目指すべきです。気候変動への対応も重要であり、水資源の持続的利用や農村部での灌漑システム整備が優先されるべきでしょう。
さらに、国際機関や隣国との協力体制を強化し、食品輸出入の多様化を図ることも考えられます。持続可能な家畜飼育を目指すためには、飼育農家への金融支援や教育プログラムの導入が有効な手段となるでしょう。
結論として、ブルンジの鶏卵生産量の推移に見られるように、内戦や自然災害などの影響を受け続けてきたことが明白です。今後の課題として、国内の農業基盤を強化し、地政学的課題への適応力を高める施策を打ち出すことが重要です。同時に国際社会の援助を最大限活用し、地域経済全体を支えるべく、家禽生産の安定と増加を追求していく必要があります。