国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ブルンジの羊肉生産量は1961年の480トンから長期間にわたり増減を繰り返しており、2023年には567トンに達しました。この間、大規模な変動が幾度も見られ、特定の年には生産量が急減する一方、特定の条件が重なる年に急増した傾向も確認されています。これらの変動は、内政的、地政学的要因や気候変動などの影響を強く受けていると考えられます。
ブルンジの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 567 |
-26.86% ↓
|
2022年 | 776 |
-3.48% ↓
|
2021年 | 804 |
-7.92% ↓
|
2020年 | 873 |
34.13% ↑
|
2019年 | 651 |
-26.69% ↓
|
2018年 | 888 |
-17.82% ↓
|
2017年 | 1,080 |
-15.84% ↓
|
2016年 | 1,283 |
43.64% ↑
|
2015年 | 893 |
-18.18% ↓
|
2014年 | 1,092 |
-25.73% ↓
|
2013年 | 1,470 |
26.94% ↑
|
2012年 | 1,158 |
120.82% ↑
|
2011年 | 525 |
-28.93% ↓
|
2010年 | 738 |
9.86% ↑
|
2009年 | 672 |
32.64% ↑
|
2008年 | 507 |
9.46% ↑
|
2007年 | 463 |
-5.37% ↓
|
2006年 | 489 |
30.79% ↑
|
2005年 | 374 |
3.41% ↑
|
2004年 | 362 |
85.92% ↑
|
2003年 | 194 |
-50.81% ↓
|
2002年 | 395 |
13.96% ↑
|
2001年 | 347 |
-4.57% ↓
|
2000年 | 364 |
-5.33% ↓
|
1999年 | 384 |
10.34% ↑
|
1998年 | 348 |
-3.33% ↓
|
1997年 | 360 |
7.14% ↑
|
1996年 | 336 |
3.7% ↑
|
1995年 | 324 |
-75.45% ↓
|
1994年 | 1,320 |
214.29% ↑
|
1993年 | 420 |
-36.36% ↓
|
1992年 | 660 |
52.78% ↑
|
1991年 | 432 |
2.86% ↑
|
1990年 | 420 |
-63.16% ↓
|
1989年 | 1,140 |
-3.06% ↓
|
1988年 | 1,176 |
12% ↑
|
1987年 | 1,050 |
-5.1% ↓
|
1986年 | 1,106 |
-0.86% ↓
|
1985年 | 1,116 |
-3.13% ↓
|
1984年 | 1,152 |
2.35% ↑
|
1983年 | 1,126 |
15.09% ↑
|
1982年 | 978 |
3.16% ↑
|
1981年 | 948 |
-3.89% ↓
|
1980年 | 986 |
12.14% ↑
|
1979年 | 880 |
9.4% ↑
|
1978年 | 804 |
-11.84% ↓
|
1977年 | 912 |
-1.3% ↓
|
1976年 | 924 |
-1.28% ↓
|
1975年 | 936 |
2.63% ↑
|
1974年 | 912 |
1.33% ↑
|
1973年 | 900 |
5.63% ↑
|
1972年 | 852 |
14.52% ↑
|
1971年 | 744 |
8.77% ↑
|
1970年 | 684 |
1.79% ↑
|
1969年 | 672 |
7.69% ↑
|
1968年 | 624 |
6.12% ↑
|
1967年 | 588 |
11.36% ↑
|
1966年 | 528 |
12.82% ↑
|
1965年 | 468 |
25.81% ↑
|
1964年 | 372 |
-11.43% ↓
|
1963年 | 420 |
-7.89% ↓
|
1962年 | 456 |
-5% ↓
|
1961年 | 480 | - |
ブルンジの羊肉生産量の推移は、農業生産の安定性を測る指標として興味深いデータを提供しています。過去数十年にわたるデータを詳しく見てみると、1960年代から1970年代にかけては、生産量が全体的に増加しました。特に1966年から1973年の間は毎年着実に伸びを見せ、最大で912トン(1974年)に達しました。この増加は、人口の増加による需要拡大や農業生産手法の改善が背景にあると推測されます。
しかし、1980年代に近づくにつれて安定性が見られず、1990年以降は特に大きな変動が頻発しています。例えば、1990年から1995年にかけての急激な減少(420トンから324トン)や、1994年での一時的な急増(1,320トン)のようなケースが際立っています。このような変動は、ブルンジが直面した内戦や政治的不安定、さらには家畜資源の管理不足に起因するものと考えられます。
その後、2000年から2020年にかけての生産量もまた、不安定な動きを示しましたが、2012年(1,158トン)や2013年(1,470トン)のように比較的高い数値を記録した年もありました。これらは一時的な条件の整備、例えば降水量の安定や農業政策の効果が現れた結果である可能性があります。ただし、この成果は継続的ではなく、その後の数年間で再び減少傾向が見られます。
近年では、2020年以降生産量が800トン前後で推移していますが、2023年には567トンと減少しており、現状は課題が山積していることが示唆されます。これには気候変動の影響や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う経済的影響が関連していると考えられます。COVID-19は供給チェーンの混乱を招き、家畜業全体が影響を受けたことが主な要因です。また、地政学的には資源争奪や土地利用の増加が家畜を育てる環境を制限していることも影響を及ぼしていると考えられます。
この変動を考慮すると、ブルンジの羊肉生産を安定させるためには、いくつかの具体的な対策が求められます。第一に、気候変動に対応した農業技術の導入が挙げられます。例えば、家畜育成に適した土地管理技術や、高温や干ばつにも耐えられる牧草の開発が必要です。第二に、地方政府や国際機関との協力による持続可能な家畜管理計画の策定が不可欠です。第三に、農業従事者への教育と技術支援が求められます。これにより、農家が新しい技術を理解し、生産性を向上させることが可能となります。
また、地政学的背景として、ブルンジでは土地資源とエネルギーをめぐる争いが羊肉生産にも影響を与えている可能性があります。こうした問題を解決するため、地域間での協力体制の構築が重要となります。近隣諸国と連携し、家畜管理や農業生産に関する知識共有が進むことで、全体的な安定化が期待されます。
結論として、ブルンジの羊肉生産量は、過去数十年にわたって多くの変動を経験しており、その背後には複数の複合的な要因があります。持続可能な発展を遂げるためには、農業全体の安定性を高める戦略が重要です。国際機関や近隣諸国との協力の強化、そして地域特有の課題への適応策を講じることで、ブルンジの羊肉生産は再び上昇傾向をたどることが期待されます。