国際連合食糧農業機関(FAO)が提供する最新のデータによると、ブルンジの落花生生産量は1961年以降、長期的には増加傾向を示しているものの、特に1990年代以降には顕著な変動が見られています。近年においては、2023年の生産量が10,602トンに達し、直近の数年間と比較してやや回復の兆しがあります。しかし、過去最高生産量を記録した1987年の14,400トンには遠く及ばず、依然として不安定な推移が続いています。
ブルンジの落花生生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 10,602 |
12.79% ↑
|
2022年 | 9,400 |
-0.25% ↓
|
2021年 | 9,424 |
0.74% ↑
|
2020年 | 9,354 |
-7.37% ↓
|
2019年 | 10,098 |
-18.38% ↓
|
2018年 | 12,372 |
38.65% ↑
|
2017年 | 8,923 |
21.48% ↑
|
2016年 | 7,345 |
-42.51% ↓
|
2015年 | 12,776 |
37.44% ↑
|
2014年 | 9,296 |
-9.25% ↓
|
2013年 | 10,243 |
2.81% ↑
|
2012年 | 9,963 |
7.14% ↑
|
2011年 | 9,299 |
1.23% ↑
|
2010年 | 9,186 |
14.82% ↑
|
2009年 | 8,000 |
-13.04% ↓
|
2008年 | 9,200 |
-3.16% ↓
|
2007年 | 9,500 |
3.26% ↑
|
2006年 | 9,200 |
-5.15% ↓
|
2005年 | 9,700 |
-1.02% ↓
|
2004年 | 9,800 |
4.26% ↑
|
2003年 | 9,400 |
2.17% ↑
|
2002年 | 9,200 |
4.55% ↑
|
2001年 | 8,800 |
0.41% ↑
|
2000年 | 8,764 |
-11.32% ↓
|
1999年 | 9,883 |
9.81% ↑
|
1998年 | 9,000 |
-18.18% ↓
|
1997年 | 11,000 |
10% ↑
|
1996年 | 10,000 |
-20.88% ↓
|
1995年 | 12,639 |
27.18% ↑
|
1994年 | 9,938 |
-28.5% ↓
|
1993年 | 13,900 |
-2.11% ↓
|
1992年 | 14,200 |
2.16% ↑
|
1991年 | 13,900 |
2.21% ↑
|
1990年 | 13,600 |
-2.16% ↓
|
1989年 | 13,900 |
-3.47% ↓
|
1988年 | 14,400 | - |
1987年 | 14,400 |
2.86% ↑
|
1986年 | 14,000 |
7.69% ↑
|
1985年 | 13,000 |
8.33% ↑
|
1984年 | 12,000 | - |
1983年 | 12,000 |
9.09% ↑
|
1982年 | 11,000 |
-8.33% ↓
|
1981年 | 12,000 |
20% ↑
|
1980年 | 10,000 |
20.48% ↑
|
1979年 | 8,300 |
31.75% ↑
|
1978年 | 6,300 |
-33.68% ↓
|
1977年 | 9,500 |
4.4% ↑
|
1976年 | 9,100 |
1.11% ↑
|
1975年 | 9,000 |
7.14% ↑
|
1974年 | 8,400 |
7.69% ↑
|
1973年 | 7,800 |
8.33% ↑
|
1972年 | 7,200 |
2.86% ↑
|
1971年 | 7,000 |
12.9% ↑
|
1970年 | 6,200 |
-8.82% ↓
|
1969年 | 6,800 |
-5.56% ↓
|
1968年 | 7,200 |
10.77% ↑
|
1967年 | 6,500 |
56.63% ↑
|
1966年 | 4,150 |
3.75% ↑
|
1965年 | 4,000 | - |
1964年 | 4,000 |
33.33% ↑
|
1963年 | 3,000 | - |
1962年 | 3,000 |
-3.23% ↓
|
1961年 | 3,100 | - |
ブルンジの落花生生産量の推移は、その地政学的背景や国内外の経済・社会環境を反映したものです。1960年代から1980年代にかけては、全体的に増加基調にあり、特に1980年から1987年にかけての急増が目立ちます。この時期には、生産手法の改善や農業インフラの整備が進んだことが背景として挙げられます。また、農産物取引の拡大と国内需要の伸長がこの増加を下支えしました。
しかしながら、1990年代以降の増減を繰り返す不安定な動向は、一連の政治的不安定や内戦と無関係ではありません。ブルンジは1990年代に深刻な内戦を経験し、この期間中の生産量は1994年に9,938トンまで大幅に落ち込む結果となりました。その後、紛争が終結した後も、農業におけるインフラの回復や農学的支援の遅れが産業全体の停滞につながりました。
近年に目を向けると、2015年以降には一時的な好転が見られたものの、依然として収穫量には大きな変動があります。たとえば、2015年には12,776トンとピークに近い値を記録しましたが、その後2016年には7,345トンに急落しています。これは、気候変動の影響や地元農家の経済的不安が一因と考えられます。自然災害や降雨パターンの変化は、ブルンジのように農業に強く依存する国では特に深刻な影響をもたらします。
2023年に10,602トンの生産量を記録したことはやや安心材料ではあるものの、この値も長期的な観点から見ると十分に安定しているとは言いがたいものです。ブルンジが農業大国として成長するためには、いくつかの課題に取り組む必要があります。まず第一に、気候変動への適応策が不可欠です。灌漑技術の導入や乾燥耐性種子の利用など、農業技術の革新が重要です。さらに、落花生の生産を支える市場基盤の構築、すなわち地方競争力を強化し、輸出入政策を見直すことが将来的に求められるでしょう。
また、ブルンジ国内の政治的安定を維持することも生産拡大のための前提条件です。地政学的リスクによるチャンスの損失を防ぐためには、国際社会との協調が鍵となるでしょう。例えば、国連や地域協力機構を通じた資金援助や技術支援の継続が期待されます。
さらに、落花生はブルンジの栄養改善や収入源としても重要な作物です。そのため、国内消費を切り口とした農業の多角化も検討する必要があります。生産者支援のプログラムを策定し、小規模農家が国際市場にアクセスしやすい環境を整えることで、長期的な競争力を確保することが可能です。
最終的に、ブルンジの落花生生産量の増加と安定化は、単に国の農業基盤を強化するだけでなく、貧困削減や地域全体の食料安全保障にも寄与するでしょう。そのためには、技術革新、政策支援、そして国際的な協力を一体化して進める必要があります。このような多角的な取り組みが、持続的で安定した生産量の実現に役立つと考えられます。