国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ブルンジの茶葉生産量は1967年に18トンという小規模な段階からスタートしました。その後、特に1980年代初頭から1990年代への転換期にかけて急成長し、1990年代には1年間に3万トンを超える水準に到達しました。2000年代以降にも安定した生産量の推移が見られ、2019年には最多の54,043トンを記録しました。ただし、2020年以降は減少傾向が見られ、2022年には50,400トンに止まっています。これらの数字はブルンジの農業政策や気候条件、内政外政環境の変化を反映していると考えられます。
ブルンジの茶葉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 62,914 |
24.83% ↑
|
2022年 | 50,400 | - |
2021年 | 50,400 |
-1.26% ↓
|
2020年 | 51,043 |
-5.55% ↓
|
2019年 | 54,043 |
0.82% ↑
|
2018年 | 53,604 |
15.78% ↑
|
2017年 | 46,300 |
-12.15% ↓
|
2016年 | 52,701 |
-2.05% ↓
|
2015年 | 53,802 |
-0.17% ↓
|
2014年 | 53,893 |
28.88% ↑
|
2013年 | 41,817 |
-0.78% ↓
|
2012年 | 42,147 |
3.17% ↑
|
2011年 | 40,853 |
7.86% ↑
|
2010年 | 37,875 |
19% ↑
|
2009年 | 31,828 |
0.13% ↑
|
2008年 | 31,787 |
-5.61% ↓
|
2007年 | 33,676 |
9.21% ↑
|
2006年 | 30,836 |
-21.61% ↓
|
2005年 | 39,335 |
4.83% ↑
|
2004年 | 37,523 |
6.52% ↑
|
2003年 | 35,225 |
5.99% ↑
|
2002年 | 33,234 |
-25.15% ↓
|
2001年 | 44,400 |
30.36% ↑
|
2000年 | 34,060 |
13.53% ↑
|
1999年 | 30,000 |
3.45% ↑
|
1998年 | 29,000 |
61.11% ↑
|
1997年 | 18,000 |
-26.53% ↓
|
1996年 | 24,500 |
-19.41% ↓
|
1995年 | 30,400 |
1.33% ↑
|
1994年 | 30,000 |
25% ↑
|
1993年 | 24,000 |
-7.69% ↓
|
1992年 | 26,000 |
12.55% ↑
|
1991年 | 23,100 |
471.78% ↑
|
1990年 | 4,040 |
4.61% ↑
|
1989年 | 3,862 |
3.79% ↑
|
1988年 | 3,721 |
-15.08% ↓
|
1987年 | 4,382 |
21.79% ↑
|
1986年 | 3,598 |
-13.2% ↓
|
1985年 | 4,145 |
20.32% ↑
|
1984年 | 3,445 |
47.6% ↑
|
1983年 | 2,334 |
7.16% ↑
|
1982年 | 2,178 |
-4.1% ↓
|
1981年 | 2,271 |
56.19% ↑
|
1980年 | 1,454 |
-9.8% ↓
|
1979年 | 1,612 |
12.65% ↑
|
1978年 | 1,431 |
-1.78% ↓
|
1977年 | 1,457 |
14.01% ↑
|
1976年 | 1,278 |
56.04% ↑
|
1975年 | 819 |
-1.21% ↓
|
1974年 | 829 |
26.37% ↑
|
1973年 | 656 |
34.7% ↑
|
1972年 | 487 |
49.85% ↑
|
1971年 | 325 |
121.09% ↑
|
1970年 | 147 |
59.78% ↑
|
1969年 | 92 |
16.46% ↑
|
1968年 | 79 |
338.89% ↑
|
1967年 | 18 | - |
ブルンジは東アフリカ大地溝帯に位置し、亜熱帯の気候と標高の高い地勢的特徴が質の高い茶葉の生産を可能にしています。同国の茶葉生産は、1967年のわずか18トンから急速に成長を遂げ、1980年代に2,000トンを、1990年代初頭には3万トンを超える生産量に達しました。この時期の飛躍的な伸びは、政府の農業への積極的な投資、輸出向けインフラの整備、茶産業の持続可能性を意識した機構改革が背景にあると考えられます。
しかし、長期的な推移を見ると、一貫した上昇傾向が途切れる時期も確認できます。2000年代初頭と2017年以降の停滞が特に課題として挙げられます。2020年から2022年にかけては新型コロナウイルス感染症の世界的影響が直接的要因となり、労働力不足や輸送網の制限が茶葉の収穫量や輸出市場の拡大に悪影響を与えた可能性があります。
地域的な視点では、ブルンジの茶葉生産量はケニアやスリランカなど世界的な主要茶葉生産国と比較すると小規模です。例えば、ケニアは年平均で50万トン以上を生産しており、それに比べるとブルンジの生産規模は約10分の1に過ぎません。こうした規模の違いは、地政学的な安定性やインフラ整備、水資源管理の違いによるものと考えられます。
ブルンジ政府が直面している現在の課題としては、以下の点が挙げられます。第一に、茶葉の生産効率を高めるための近代的な農業技術の普及が不足しており、労働集約的で生産コストが高いという問題があります。第二に、国内外市場における茶葉価格の安定性を確保するための貯蔵施設および流通網の強化が依然として課題です。第三に、世界的な気候変動の影響で、洪水や干ばつなど極端な気象現象が発生しており、水資源の管理と茶園の保護が急務となっています。
未来を見据えた具体的な提言としては、まず農業技術の革新を図る政府主導のプログラムが必要です。例えば、灌漑設備の改良や水質保全技術の導入、農機具のシェアリングプラットフォームの構築が効果的と考えられます。また、地域内の協力体制を活かして、ルワンダやタンザニアといった近隣諸国との共同マーケティング戦略を試みるべきです。さらに、国際連携により、ブルンジ産茶葉のブランディングを進め、高付加価値市場への参入を図ることも重要となります。
結論として、ブルンジの茶葉生産は長期的には着実な成長を続けていますが、気候変動や国際情勢に伴うリスク、加えて生産システムにおける効率の課題を抱えています。これら課題を克服するためには技術革新の促進、国際市場での競争力向上、地域間協力の強化が鍵となるでしょう。地政学的・経済的観点をふまえた戦略的アプローチが必要とされる段階にあるといえます。