世界の羊飼養数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

Food and Agriculture Organization（国際連合食糧農業機関）が2024年7月に発表したデータによると、1970年の羊飼養数ランキングの1位はオーストラリア（約1億8千万匹）、2位は中国（約8千万匹）、3位はニュージーランド（約6千万匹）でした。他にもアルゼンチン、インド、トルコ、南アフリカといった国々が上位にランクインしており、羊飼養の多い国はその地理的条件や経済活動、文化的背景と密接に結びついていることが窺えます。一方で、日本は119位（約2.1万匹）と極めて低い順位にあり、アジア全体でも飼養数が比較的低い国に分類されます。

順位	国名	地域	飼養数(匹)
1	オーストラリア	オセアニア	180,079,584
2	中国	アジア	79,710,000
3	ニュージーランド	オセアニア	60,276,112
4	アルゼンチン	南アメリカ	43,000,000
5	インド	アジア	40,656,000
6	トルコ	アジア	36,351,008
7	南アフリカ	アフリカ	34,286,000
8	イラン（イスラム共和国）	アジア	29,500,000
9	イギリス	ヨーロッパ	26,189,888
10	アフガニスタン	アジア	21,500,000
11	アメリカ合衆国	北アメリカ	20,423,008
12	ウルグアイ	南アメリカ	19,892,752
13	スペイン	ヨーロッパ	18,729,280
14	ブラジル	南アメリカ	17,773,008
15	モロッコ	アフリカ	17,000,000
16	ペルー	南アメリカ	16,811,008
17	ルーマニア	ヨーロッパ	13,835,900
18	イラク	アジア	13,099,000
19	パキスタン	アジア	13,095,000
20	モンゴル	アジア	12,631,000
21	フランス	ヨーロッパ	10,036,700
22	ブルガリア	ヨーロッパ	9,223,079
23	ソマリア	アフリカ	9,200,000
24	イタリア	ヨーロッパ	8,137,600
25	アルジェリア	アフリカ	7,788,000
26	ギリシャ	ヨーロッパ	7,680,270
27	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	6,786,800
28	チリ	南アメリカ	6,130,000
29	メキシコ	南アメリカ	6,113,150
30	シリア・アラブ共和国	アジア	6,045,758
31	マリ	アフリカ	5,750,000
32	ニジェール	アフリカ	4,873,970
33	チュニジア	アフリカ	4,750,000
34	モーリタニア	アフリカ	4,500,000
35	ポルトガル	ヨーロッパ	4,421,800
36	ケニア	アフリカ	3,900,000
37	ナミビア	アフリカ	3,660,000
38	インドネシア	アジア	3,362,000
39	ナイジェリア	アフリカ	3,219,000
40	ポーランド	ヨーロッパ	3,199,200
41	ハンガリー	ヨーロッパ	3,023,807
42	タンザニア連合共和国	アフリカ	2,823,000
43	アイルランド	ヨーロッパ	2,788,200
44	ドイツ	ヨーロッパ	2,536,800
45	サウジアラビア	アジア	2,345,000
46	チャド	アフリカ	2,300,000
47	イエメン	アジア	2,167,000
48	リビア	アフリカ	2,163,000
49	エジプト	アフリカ	2,066,000
50	カメルーン	アフリカ	2,000,000
51	コロンビア	南アメリカ	1,962,000
52	エクアドル	南アメリカ	1,895,000
53	ノルウェー	ヨーロッパ	1,752,910
54	レソト	アフリカ	1,655,128
55	ブルキナファソ	アフリカ	1,648,000
56	セネガル	アフリカ	1,500,000
57	ガーナ	アフリカ	1,330,900
58	アルバニア	ヨーロッパ	1,276,500
59	コートジボワール	アフリカ	832,500
60	ウガンダ	アフリカ	827,500
61	ジンバブエ	アフリカ	811,000
62	アイスランド	ヨーロッパ	780,462
63	コンゴ民主共和国	アフリカ	686,700
64	マダガスカル	アフリカ	666,162
65	ヨルダン	アジア	664,223
66	ネパール	アジア	630,000
67	トーゴ	アフリカ	619,000
68	オランダ	ヨーロッパ	610,272
69	ベナン	アフリカ	580,300
70	グアテマラ	南アメリカ	570,000
71	カナダ	北アメリカ	528,000
72	バングラデシュ	アジア	490,000
73	キプロス	アジア	415,000
74	スウェーデン	ヨーロッパ	334,616
75	ギニア	アフリカ	330,000
76	パラグアイ	南アメリカ	324,647
77	ボツワナ	アフリカ	320,000
78	スイス	ヨーロッパ	291,100
79	キューバ	南アメリカ	280,000
80	レバノン	アジア	243,604
81	ブルンジ	アフリカ	226,990
82	ジブチ	アフリカ	200,000
83	イスラエル	アジア	194,500
84	フィンランド	ヨーロッパ	188,600
85	ルワンダ	アフリカ	186,657
86	シエラレオネ	アフリカ	185,000
87	ミャンマー	アジア	182,970
88	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	180,000
89	アンゴラ	アフリカ	159,281
90	リベリア	アフリカ	150,000
91	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	140,000
92	オーストリア	ヨーロッパ	121,191
93	モザンビーク	アフリカ	118,435
94	ギニアビサウ	アフリカ	115,000
95	ガンビア	アフリカ	106,800
96	ガイアナ	南アメリカ	98,500
97	アラブ首長国連邦	アジア	95,000
98	クウェート	アジア	82,553
99	マラウイ	アフリカ	81,136
100	ハイチ	南アメリカ	75,000
101	デンマーク	ヨーロッパ	69,610
102	フェロー諸島	ヨーロッパ	69,198
103	中央アフリカ共和国	アフリカ	64,000
104	ドミニカ共和国	南アメリカ	45,000
105	バルバドス	南アメリカ	43,000
106	ガボン	アフリカ	40,000
107	エスワティニ	アフリカ	39,749
108	マレーシア	アジア	39,213
109	タイ	アジア	39,000
110	東ティモール	アジア	38,920
111	マルティニーク	南アメリカ	38,000
112	コンゴ	アフリカ	38,000
113	オマーン	アジア	38,000
114	カタール	アジア	34,000
115	ザンビア	アフリカ	32,000
116	赤道ギニア	アフリカ	28,000
117	フィリピン	アジア	27,881
118	スリランカ	アジア	26,297
119	日本	アジア	21,392
120	バハマ	南アメリカ	20,000
121	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	13,650
122	ブータン	アジア	9,200
123	グレナダ	南アメリカ	9,000
124	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	8,600
125	マルタ	ヨーロッパ	8,401
126	セントルシア	南アメリカ	8,400
127	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	6,000
128	コモロ	アフリカ	6,000
129	ジャマイカ	南アメリカ	6,000
130	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	5,000
131	プエルトリコ	南アメリカ	4,700
132	ニューカレドニア	オセアニア	4,300
133	モーリシャス	アフリカ	4,200
134	ホンジュラス	南アメリカ	4,000
135	グアドループ	南アメリカ	4,000
136	エルサルバドル	南アメリカ	4,000
137	フランス領ポリネシア	オセアニア	3,100
138	ドミニカ	南アメリカ	2,975
139	スリナム	南アメリカ	2,700
140	レユニオン	アフリカ	2,600
141	ベリーズ	南アメリカ	2,400
142	大韓民国	アジア	2,200
143	サントメ・プリンシペ	アフリカ	2,159
144	バーレーン	アジア	2,000
145	フランス領ギアナ	南アメリカ	2,000
146	コスタリカ	南アメリカ	1,950
147	カーボベルデ	アフリカ	1,938
148	ニカラグア	南アメリカ	1,450
149	パプアニューギニア	オセアニア	272
150	中国、香港特別行政区	アジア	28
+ すべての国を見る

このランキングにおける羊飼養数は、各国が抱える羊産業の規模を端的に示しており、食肉や羊毛の生産、あるいは文化や生活習慣への影響まで多岐にわたる要因を反映しています。オーストラリアが圧倒的な1位となっている理由として、その広大な牧草地帯の存在、主に羊毛の輸出産業の強み、さらには乾燥した気候が羊の飼養に適している点が挙げられます。ニュージーランドも同様に、適度な降水量と広大な草原が羊飼養に適しており、同国の経済と文化を象徴する重要な産業の一つとなっています。

中国は2位にランクインしていますが、その飼養数の主な背景として、農村部での自給自足的な利用や、羊肉が食文化に根付いている点が挙げられます。中国では地域によって異なりますが、一部砂漠気候地域や高地などの地理的条件が羊の飼育に適しており、そこが主要な飼養地となっています。一方でインド、トルコ、イランなども上位に含まれますが、羊はこれらの国々では宗教的・文化的な重要性も持ち、食肉や繊維といった経済的価値も大きいです。

欧州勢では、イギリスが9位、フランスが21位と比較的上位に位置していますが、これは歴史的に羊毛産業が発展してきた背景と関連しています。また、アフリカ地域では南アフリカ（7位）が孤軍奮闘する形で、羊飼養の中心地となっています。

一方で日本の飼養数は2.1万匹と最下位に近い順位に位置しており、家畜飼養全体に占める割合も極めて小さいです。日本では羊毛や羊肉の利用よりも、稲作や魚介類などの農業・漁業が基幹産業であり、他国ほど羊が経済的な意味を持たない点が要因の一つと考えられます。さらに、日本の地理的条件として、可耕地面積が狭く、羊の飼養に必要な広大な牧草地が限られていることも影響しています。

このランキングは、各国の地政学的背景や地域特性とも密接に関連しています。例えば、乾燥地帯を有する国々では、羊が放牧しやすいため飼養規模が拡大しやすい状況です。また、冷戦期の社会情勢や経済条件も影響した可能性があり、特に南米や中東では政治的・経済的動向に連動して羊産業が強まったと考察されます。

未来に向けた課題として、気候変動が羊飼養業に与える影響が挙げられます。干ばつや異常気象が続くことは、牧草地帯の減少や水供給の制約を引き起こし、特にオーストラリアやニュージーランドのような羊大国にとって深刻な問題となる可能性があります。また、急速な人口増加や都市化により、羊肉や羊毛の需要が世界的に変化することが予想されます。これに対応するため、国際機関や各国が協力して、牧草地の品質向上や持続可能な畜産システムを構築する努力が不可欠です。

さらに、疫病の蔓延や輸出入政策の変化にも対応できる柔軟な生産体制が求められます。例えば、日本では、国内での需要が少ない分、輸出入の枠組み改善や技術協力を通じて他国と連携することが、消費者と生産者の双方にとって重要となるでしょう。

結論として、1970年の羊飼養数ランキングは各国の経済、気候、文化的背景を反映したものですが、今後の持続可能性を考える上では、各国の協力体制や環境への対応策が鍵となるといえます。国際的な資源管理の枠組み強化や地域ごとの環境適応技術の共有が、未来への持続可能な成長を支える基礎となるでしょう。