ブルネイ ダルサラームのサツマイモ生産量は1960年代の急激な減少後、1970年代にはやや安定し、その後長期にわたり少量の増加傾向を示してきました。1961年の生産量は1,064トンと高水準でしたが、1965年には181トンと大幅に減少しました。その後、2000年に200トンを超え、2010年代には270トン前後に達し、2022年には277トンとほぼ横ばいを維持しています。このデータは、国内農業の変遷や地域的な食料需給の変化を反映しています。
ブルネイ ダルサラームのサツマイモ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 277 |
2021年 | 278 |
2020年 | 278 |
2019年 | 277 |
2018年 | 279 |
2017年 | 277 |
2016年 | 275 |
2015年 | 273 |
2014年 | 272 |
2013年 | 270 |
2012年 | 265 |
2011年 | 261 |
2010年 | 256 |
2009年 | 252 |
2008年 | 248 |
2007年 | 243 |
2006年 | 238 |
2005年 | 261 |
2004年 | 243 |
2003年 | 230 |
2002年 | 220 |
2001年 | 200 |
2000年 | 190 |
1999年 | 180 |
1998年 | 170 |
1997年 | 160 |
1996年 | 155 |
1995年 | 150 |
1994年 | 143 |
1993年 | 137 |
1992年 | 131 |
1991年 | 125 |
1990年 | 119 |
1989年 | 130 |
1988年 | 140 |
1987年 | 150 |
1986年 | 140 |
1985年 | 150 |
1984年 | 140 |
1983年 | 148 |
1982年 | 132 |
1981年 | 167 |
1980年 | 134 |
1979年 | 400 |
1978年 | 500 |
1977年 | 500 |
1976年 | 600 |
1975年 | 600 |
1974年 | 600 |
1973年 | 600 |
1972年 | 600 |
1971年 | 509 |
1970年 | 300 |
1969年 | 183 |
1968年 | 150 |
1967年 | 82 |
1966年 | 120 |
1965年 | 181 |
1964年 | 302 |
1963年 | 847 |
1962年 | 1,089 |
1961年 | 1,064 |
国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ブルネイ ダルサラームにおけるサツマイモ生産量は、1961年の1,064トンをピークにいったん急激な減少を見せました。その後1970年台には600トン近い安定期がありましたが、1980年代半ばには100トン台へと再び低下しました。2000年代に入るとじわじわと増加を見せ、現在(2022年時点)の生産量は277トンでほぼ停滞的な推移を示しています。
1960年代の急激な減少は、ブルネイの経済構造や農業施策の変化による影響が大きいと考えられます。この時期、原油と天然ガスの生産が経済の中心となり、資源に依存した経済成長が加速しました。その結果、農業分野への投資や人員が減少し、国内での食料生産量が縮小しました。また、ブルネイの国土面積は比較的小さく土地の利用可能性が制限されていることや、都市化の進展が農地の縮小につながった点も影響を及ぼしていると考えられます。
2000年代以降の増加は、逼迫する食料安全保障の課題や国内での農業振興政策が影響していますが、それでも増加は極めて緩慢です。ブルネイは小規模な農業国として地方市場を対象に生産を行う一方で、多くの食品を輸入に頼る実情があります。周辺のASEAN諸国例えばタイやフィリピンでは、サツマイモの大規模栽培が進み輸出用の産業としても成長していますが、ブルネイのような小規模経済では輸出よりも国内供給の維持が優先されています。
長期的には、少子化と人口高齢化の影響がブルネイの農業従事者の減少をさらに加速させることが懸念されます。これにより今後の農業生産が縮小する可能性があります。また、地政学的な影響や気候変動による天候リスクが、特に熱帯気候のブルネイにおける生産量に予測困難な影響を与える可能性もあります。
持続可能な生産維持のためにはいくつかの課題解決が必要です。例えば、現代農業技術を導入し、生産効率を改善することが重要です。こうした技術には、病害虫対策としてのバイオテクノロジーや、高収量の品種改良が含まれます。また、土地利用の最適化や地域農業の支援プログラムの実施を通じて、小規模農家を保護する政策が鍵となります。さらに、ブルネイ国内での持続可能な農業教育の普及や、青年層を農業に引き込む施策も重要です。
国際的な協力の枠組みにおいては、ASEAN諸国との共同研究開発や技術交流を強化することが推奨されます。特に、気候変動に対応するレジリエンスの高い作物栽培技術の共有は、ブルネイのような小国にとって大きな利益をもたらす可能性があります。また、サツマイモに付加価値を付けた加工品の開発や、生産拡大に向けたマーケティングの強化も、新たな収益源となり得ます。
結論として、ブルネイ ダルサラームのサツマイモ生産量の増減は、経済構造と政策変化に大きく影響されてきたことがデータから読み取れます。今後、食料安全保障の観点からも農業セクターへの適切な投資を行い、持続可能な農業基盤を構築していくことが必要です。地域協力と国内政策の強化を通じて、長期的な生産性の向上を目指すことが求められるでしょう。