Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月のデータに基づくと、ブルネイ ダルサラームにおけるトマトの生産量は、1990年の21トンから2022年には139トンへと増加しています。この期間において、大規模な生産量の伸びが見られたものの、2017年以降はほぼ横ばいの状態となっています。
ブルネイ ダルサラームのトマト生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 141 |
1.5% ↑
|
2022年 | 139 |
-0.19% ↓
|
2021年 | 139 |
0.4% ↑
|
2020年 | 139 |
-0.23% ↓
|
2019年 | 139 |
-0.72% ↓
|
2018年 | 140 |
2.17% ↑
|
2017年 | 137 |
-2.08% ↓
|
2016年 | 140 |
1.86% ↑
|
2015年 | 137 |
2.7% ↑
|
2014年 | 134 |
1.18% ↑
|
2013年 | 132 |
1.72% ↑
|
2012年 | 130 |
6.04% ↑
|
2011年 | 123 |
4.39% ↑
|
2010年 | 117 |
5.22% ↑
|
2009年 | 112 |
11.61% ↑
|
2008年 | 100 |
2.04% ↑
|
2007年 | 98 |
-8.41% ↓
|
2006年 | 107 |
-3.6% ↓
|
2005年 | 111 |
-1.77% ↓
|
2004年 | 113 |
8.65% ↑
|
2003年 | 104 |
8.33% ↑
|
2002年 | 96 |
7.87% ↑
|
2001年 | 89 |
-1.11% ↓
|
2000年 | 90 |
28.57% ↑
|
1999年 | 70 |
11.11% ↑
|
1998年 | 63 |
-10.65% ↓
|
1997年 | 71 |
5.24% ↑
|
1996年 | 67 |
11.67% ↑
|
1995年 | 60 |
25% ↑
|
1994年 | 48 |
6.67% ↑
|
1993年 | 45 |
87.5% ↑
|
1992年 | 24 |
-22.58% ↓
|
1991年 | 31 |
47.62% ↑
|
1990年 | 21 | - |
ブルネイ ダルサラームのトマト生産量の推移に注目すると、1990年代から2010年代前半にかけては明らかな増加傾向が見られます。1990年時点での生産量がわずか21トンであったのに対して、2000年には90トンと約4倍以上の成長を記録しました。この期間に見られる急速な増加は、ブルネイ政府が国内農業への投資を拡大させ、食料自給率の向上を目指した結果であると考えられます。また、この時期に気候や土地利用の改善、現代的な農業技術の導入が進んだことも大きく影響しています。
2000年代後半以降も生産量はほぼ年間100トンを上回る水準を維持しており、2010年以降は一段の成長が続きました。ただし、2017年以降は139トン前後で横ばいの状態が見られ、この数字には明確な停滞が反映されています。この横ばい現象は、農地面積や労働力といった生産の基本要素に限界が達している可能性を示唆しています。また、ブルネイにおける人口減少傾向や限られた農業用地の問題も背景にあると推測されます。
他国との比較を行うと、日本や韓国、中国といった国々ではトマト生産がより大規模で、効率的な施設園芸(温室栽培など)による年間を通じた安定供給が実現しています。しかし、ブルネイ ダルサラームは国土面積が比較的小さいことや高湿度の気候が続くことから、このような技術の導入が簡単ではありません。このため、高密度な栽培方法や新しい品種の開発が必要とされています。たとえば、耐熱性や耐病性に優れた品種の採用は、生産効率を向上させるための一案となるでしょう。
一方で、地政学的リスクや自然災害、新型コロナウイルスの影響など、最近の地域情勢も生産量動向に一定の影響を与えていると考えられます。具体的には、パンデミックの期間中に国際的な農産物供給網が混乱したため、国内農業の重要性が再認識されました。このような背景下で、ブルネイ ダルサラームがトマトの生産増強をどのように図るかは、今後の課題となります。
課題を克服するために、まずは技術協力や知識の共有が最も効果的な方法の一つと考えられます。他国との共同研究や技術移転を促進することで、未利用地を活用し、持続可能な農業形態の構築が期待されます。また、資金力を活かして最新の農業ロボット技術やスマート農業分野への投資を行うことで、労働力不足の課題を解消する方向性もあります。さらに、ブルネイの地理的条件に合わせた農業政策を策定し、地域需要に応える農業基盤の整備を進めることも重要です。
結論として、ブルネイ ダルサラームのトマト生産量は1990年から長期的に増加しているものの、近年では頭打ちの兆候が見えています。しかし、技術革新や政策的な対応を通じて、この停滞を打破する可能性を秘めています。国際機関や周辺国との協力を強化しつつ、気候変動や人口動態を見据えた柔軟な対策を講じることで、トマト生産を新たな段階へと発展させることが可能となるでしょう。