1990年から2023年にかけて、ブルネイ ダルサラームのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、全体として増加傾向を見せるものの、大幅な増減が見られる傾向にあります。特に2005年から2017年にかけて生産量が急増した一方、2018年以降は減少傾向に転じています。データの最新年である2023年の生産量は605トンで、2016年のピーク時である1,343トンの半分以下に留まっています。この生産量変化は、農業政策、気候条件、経済状況、および市場動向に依存している可能性があります。
ブルネイ ダルサラームのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 605 |
-0.99% ↓
|
2022年 | 611 |
-0.97% ↓
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2021年 | 617 |
-12.17% ↓
|
2020年 | 703 |
-43.02% ↓
|
2019年 | 1,233 |
81.56% ↑
|
2018年 | 679 |
-45.02% ↓
|
2017年 | 1,235 |
-8.04% ↓
|
2016年 | 1,343 |
26.22% ↑
|
2015年 | 1,064 |
16.63% ↑
|
2014年 | 912 |
14.15% ↑
|
2013年 | 799 |
34.87% ↑
|
2012年 | 593 |
-14.72% ↓
|
2011年 | 695 |
3.02% ↑
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2010年 | 675 |
3.09% ↑
|
2009年 | 654 |
16.84% ↑
|
2008年 | 560 |
-1.41% ↓
|
2007年 | 568 |
-24.79% ↓
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2006年 | 755 |
-18.62% ↓
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2005年 | 928 |
41.46% ↑
|
2004年 | 656 |
9.15% ↑
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2003年 | 601 |
8.09% ↑
|
2002年 | 556 |
7.54% ↑
|
2001年 | 517 |
0.58% ↑
|
2000年 | 514 |
26.29% ↑
|
1999年 | 407 |
10.9% ↑
|
1998年 | 367 |
-4.92% ↓
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1997年 | 386 |
-1.03% ↓
|
1996年 | 390 |
12.39% ↑
|
1995年 | 347 |
23.93% ↑
|
1994年 | 280 |
7.28% ↑
|
1993年 | 261 |
83.8% ↑
|
1992年 | 142 |
-20.67% ↓
|
1991年 | 179 |
44.35% ↑
|
1990年 | 124 | - |
ブルネイ ダルサラームにおけるカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産動態をみると、多様な要因がその生産量変動に影響を与えていることが分かります。1990年には124トンという控えめな生産量から始まり、2000年代半ばまでに徐々に増加しました。この期間の安定的な増加の背景には、農業技術の向上や市場需要の増大が含まれていると考えられます。特に2005年の928トンや2016年の1,343トンは、地元市場での需要の高まりだけでなく、気候条件や政府の農業支援策の寄与が想定されます。
しかしながら、2018年以降、生産量は減少傾向を辿っています。例えば2018年の生産量は679トンであり、前年の1,235トンと比較して大幅な下落を記録しています。この減少は、ブルネイ全体の農業分野が抱える課題、例えば極端な気象条件や新型コロナウイルス感染症による供給鎖の混乱、農業労働力不足によるものと考えられるでしょう。パンデミックがもたらした物流の停滞や輸入依存の影響もまた、農産物生産の不安定化を招いた要因となり得ます。
地域的には、ブルネイは小規模な農業国であり、限られた地理的条件の中で農作物の生産に取り組んでいます。同じアジア地域の国々であるインドや中国などとは異なり、ブルネイは土地面積が小さく、農業に適した土地資源が制約となっています。そのため、他国と比較した場合の生産規模は小さい一方で、特定作物の需要動向や自然環境の変化に対して、生産量が大きく影響されやすい構造を持っています。
今後の課題としては、持続可能な農業技術の導入や新たな市場の開拓、また天然資源依存型経済からの脱却を伴う生産基盤の強化が必要です。具体的には、水資源の効率的利用や作物の多様化を進めることが挙げられます。特に気候変動の影響を抑えるためには、ドローンを活用した精密農業の導入、降雨不足を見越した灌漑インフラの整備といった取り組みが鍵となるでしょう。また、農業従事者の技術教育やインセンティブ策を通じて、農業分野への若年層の参入を促進することも重要です。
加えて、周辺国との農業協力体制を構築することで、需要予測や技術共有を可能にし、生産量の安定化を目指すことが考えられます。例えば、ASEAN(東南アジア諸国連合)での連携を強化することにより、共同で持続可能な農業政策を策定し、気候変動や農業リスクに対応する取り組みを進めることが期待されます。
結論として、ブルネイ ダルサラームのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量推移は、過去に大きな増加を見せた一方で、近年は国際的および国内的課題の中、停滞および減少傾向にあります。この状況を受けて、農業の近代化、資源の効率的利用、地域間協力の強化を通じて、将来的な農業分野の安定と成長を目指す政策が求められるでしょう。